自動車保険には等級制度があり、加入する運転者の状況によってランク付けされていますが、等級によっては保険料の割引率が違う場合があります。自動車保険の新規加入や乗り換え、事故を起こした場合などの等級の取り扱いを解説します。
目次
自動車保険ってどんなもの?
「自賠責保険」と「任意保険」とは
自動車保険には主に「自賠責保険」と「任意保険」がありますが、「自賠責保険」は強制保険とも言われ、法律で加入が義務付けされている保険です。自動車やバイクを運転する場合は「自賠責保険」に加入する必要があります。
任意保険は加入が義務付けされていませんが、任意保険だけでは十分な補償額が確保されないケースが多く、民間の損害保険会社や共済などで加入する人が多いです。
自分の車に対する「車両保険」
「車両保険」は、事故を起こした相手に対する賠償ではなく自分の車の損害を補償するものです。車両保険は任意保険の補償のひとつであり、事故による車の修理以外に盗難や落書き、自然災害などにも適用される場合があります。車両保険には「一般車両保険」や保障内容を限定して保険料を安く抑える「エコノミー限定」の2種類があり、それぞれ保険料が異なります。
事故の有無で保険料が決まる等級制度
自動車保険の「任意保険」は事故の有無で割引率が決まる等級制度がありますが、契約者が使用する車の台数が9台以下の場合は「ノンフリート等級」が適用されます。等級制度は、各損害保険会社が加盟している「損害保険料算出機構」で決定されている制度です。保険料の算出には等級に応じた割引率や割増が適応されます。
等級の調べ方や上がり方は?
1~20等級までの20段階
「ノンフリート等級」には「無事故等級」と「事故有等級」の2種類があり、1等級から20等級まであります。等級が大きいほど割引率が大きく、一般的には20等級で約63%の割引になり、1等級では約64%の割増になります。
等級制度では、保険金の請求をしなければ等級は下がらない仕組みになっており、軽微な自損事故など保険金を請求しないで自分で修理した方が割安になる場合もあります。
新規加入時は通常6等級
自動車保険の「ノンフリート等級」では、初めて保険に加入する契約者は6等級になります。また、いったん自動車保険を解約した場合も再加入時に6等級からになることが多いです。ただし、同居の家族が自動車保険に加入しており、2台目以降の保険を新規で契約する場合は7等級から開始できます。
保険証券か電話で等級を確認できる
自分の等級を確認する場合は、更新時に送られてくる保険証券で確認が可能です。保険証券がない場合は加入している保険代理店や保険会社に電話をして確認することもできます。
電話で確認する際には、本人の生年月日や車の登録ナンバーを聞かれるため、車検証などがあれば事前に準備をしてから連絡すると良いでしょう。
事故がなければ等級・割引率は上がる
通常6級からスタートする自動車保険のノンフリート等級ですが、保険期間中に保険金を請求する事故がなかった場合は等級が上がり、割増率も増えていきます。例えば、6級でスタートした場合は1年間事故がなければ翌年に7等級となり、7等級になった年にも無事故であれば8等級に上がる仕組みです。
等級ダウンはどんな時に起こる?
事故を起こすと等級が下がる
自動車保険で事故を起こして保険金を受け取った場合には、事故の件数や種類によって等級が下がります。例えば、人身事故や車同士の事故など、通常の事故では翌年に3等級下がり、盗難、自然災害、いたずらなどの場合は1等級下が下がります。ただし、「弁護士特約」「個人賠償特約」などはノーカウント事故に該当するため、保険金を受け取っても等級は下がらない可能性が高いです。
「事故あり等級」の継続期間
自動車保険を使った場合は、「事故あり等級」に区分されて割引率が変わります。「事故あり等級」の継続期間は、3等級下がる事故については3年間、1等級下がる事故では1年間です。
例えば、無事故で9等級から10等級に上がった場合の割引率は45%ですが、13等級で事故を起こして10等級に下がった場合は、割引率が23%になります。その後12等級に上がった場合では一般が48%で事故ありが27%になり、事故あり等級」から外れる4年目以降に無事故の等級と同じ割引率が適用されます。
車両入れ替えや長期間乗らない時は?
車を乗り換えても等級の引き継ぎはOK
新しく車を購入したり車を譲ってもらったりして乗り換える場合は、契約車両が変わることになります。車を乗り換えた場合には、保険会社で車両入れ替えの手続きをすることによってそのままの等級で契約を継続することができます。
保険期間が満了した場合に別の会社に加入した場合でも、等級は一部の共済を除き各損害保険会社で共有されているため、前年の等級を引き継いた状態での契約が可能です。
長期間乗らない場合は中断手続き
入院や海外への転勤などで長期に車に乗らない場合は、自動車保険解約時に「中断手続き」を行うことができます。中断手続きを行うと中断証明書が発行され、再開する時に中断時の等級を引き継ぐことが可能です。
中断できる期間は10年以内で、保険の満期日までに車を廃車、譲渡、あるいは返還していることが中断する条件です。つまり、車を所持したままの中断は対象外です。万が一解約時に中断証明書の発行を忘れても、満期日から13か月以内であれば中断手続きをすることができます。
まとめ
自動車保険には等級があって新規に加入する場合や無事故の場合、事故で保険金を請求した場合などで細かく決められています。また中断や車両の入れ替えなどでは、手続きをすれば等級が引き継ぎできる場合もあります。自動車保険の新規加入や更新の際には、等級にも注目すると良いでしょう。