自営業者や学生の多くは国民年金に加入していますが、国民年金の保険料を払わないとどのようなことになるのでしょうか。ここでは、国民年金の保険料を滞納し続けた場合のデメリットや、経済的な理由で国民年金の保険料を払うことができないときの対処法について詳しく解説します。
目次
「払いたくない」なら支払い不要?
国民年金の保険料納付は義務
日本は国民皆年金制度を採用しており、20歳以上のすべての国民が年金制度に加入することが法律により義務付けられており、会社員などは厚生年金、自営業者や学生は国民年金に加入することになっています。したがって、強制加入である国民年金の保険料の納付は義務となっており、加入したくないから払わない、ということはできません。
国民年金を払わないとどうなる?
催告状の送付
国民年金の保険料は、納付対象月の翌月末日までに納付することになっています。納付期限を過ぎても支払いが済んでいないと、被保険者に催促状が送付されて電話での催告も行われます。催告状はいわば支払期限への確認であり、受け取ったからといってペナルティが発生するという訳ではありません。
催告状や保険料の支払いを促す電話がかかってきた場合には、対象の未納月分を納付しましょう。催告状を受け取ったにもかかわらず、年金保険料の滞納をそのまま続けていると最終催告状が送付されます。
最終催告状は自主的な納付を促す最後の通告です。最終催告状が届いたときには速やかに未納分の保険料を納めましょう。
差し押さえ予告と財産調査の実施
最終催告状を送付しても保険料の納付がない場合、延滞金の発生と財産差し押さえ処分の予告が明示された督促状が送付されます。督促状が指示する支払期限までに延滞保険料を支払わない場合、当初の保険料納付期日に遡って年率14.6%の延滞金を課されることになります。
また、保険料を滞納している本人だけでなく、その世帯主や配偶者(連帯納付義務者)も徴収の対象です。義務者に対しても財産の差し押さえ予告が出され、所得や財産などの調査が行われます。
差し押さえによる強制徴収
所得や財産の調査の結果、本人に滞納保険料の支払い能力があると判断された場合、強制徴収として財産の差し押さえが行われます。現金や銀行の預貯金は、滞納保険料と延滞金に充当されるまで差し押さえられ、さらに不足があれば土地家屋や車なども差し押さえの対象になります。
国民年金を払わないデメリット
老齢年金が受給できない
国民年金の保険料を支払わないことによるデメリットは、支払いの催促や差し押さえだけではありません。国民年金は、10年間は加入者として保険料を納めていないと受給できません。年金が受給できない場合、老後の生活が困窮する可能性があります。
障害年金や遺族年金が受給できない
国民年金には、老後の生活の支えとしての老齢年金の他に、病気やケガで所得が減少したときのための「障害年金」や、被保険者が死亡したときに遺族の生活を支える「遺族年金」もあります。「障害年金」と「遺族年金」も国民年金へ一定期間以上加入していることが受給条件となっているため、年金保険料を長期にわたって支払っていない人に対しては支給がされません。
払えないときにはどうすればいい?
免除制度は滞納より得
経済的な事情によってどうしても保険料を支払うことができないときは、保険料を滞納するのではなく、保険料の支払免除に該当するか調べてみましょう。国民年金免除の相談は、市区町村の国民年金窓口で受け付けています。
国民年金は、被保険者と同額の負担分を国庫が拠出するため、免除制度を利用すれば保険料の半額を支払ったものとみなされます。免除制度を利用すれば、滞納を放置した場合と異なり、免除制度を適用されている間も年金の受給資格期間と認定されます。ただし、免除制度の適用には所得が一定以下などの条件があるため注意が必要です。
学生や50歳未満は猶予制度もある
20歳~50歳未満で所得が一定の金額以下の人は、免除制度の対象に当てはまらない場合でも、申請によって保険料の納付を猶予してもらえる可能性があります。学生については特例制度が設けられており、本人の所得が一定の金額以下であれば家族の所得の額にかかわらず、在学中の保険料の納付が猶予されます。ただし、猶予制度も特例制度も申請しなければ適用されません。
払えるようになったら追納
保険料の免除や猶予の制度を利用すると、対象期間は受給資格期間として扱われます。しかし、将来の年金受給額を左右する「実際に保険料を収めた期間」には含まれないので、受け取れる年金の額が少なくなります。保険料を納められないが将来受給する年金は減らしたくない場合は、免除や猶予を受けた月から10年以内に承認を得て追納しましょう。
まとめ
国民年金の保険料を払わないと、財産を差し押さえられたり、年金の受給資格がなくなったりするなどのリスクがあります。保険料の納付が難しい場合は免除・猶予制度や追納制度を活用して、国民年金保険料を滞納しないようにしましょう。