会社員は毎年年末調整を行い、所得税の払い過ぎがあれば還付を受けます。国民年金の保険料を納付している場合は年末調整で控除もできますが、どのように書いたらよいのでしょうか。この記事では、年末調整で国民年金を申告する時の書きかたや、証明書をなくした時の対応などを紹介します。
目次
国民年金保険料は年末調整で書ける?
支払った額全てが所得控除対象に
会社に勤めていても厚生年金には加入せず、国民年金第1号保険者として国民年金保険料を納めている人は、国民年金保険料控除の対象となります。また、今年就職した人で就職前に国民年金保険料を払っていた人や、妻や子どもの国民年金保険料を本人の代わりに払っていた人も控除を受けることができます。国民年金保険料の控除額は、生命保険料や地震保険料などのような上限額はなく、支払った保険料がすべて控除の対象です。
控除証明書の添付を忘れずに
例年11月上旬頃に日本年金機構から「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」が国民年金の被保険者に対して送られてきます。年末調整の書類に控除証明書を添付して会社へ提出すると、控除を受けることができます。
控除証明書には、「納付済額」のほかに控除証明書作成時点と引き続き同じ方法で保険料を支払った場合の「見込額」が記載されている場合があります。見込額の記載通りに支払うのであれば、納付済額と見込額の「合計額」を申告することが可能です。
期限に間に合わないなら確定申告を
年末調整書類提出期限までに控除証明書が間に合わなかったとしても、確定申告をすれば保険料の控除を受けることができます。また10月以降にその年で初めて国民年金保険料を納めた場合は、控除証明書の発送が翌年2月上旬頃になることがあるため確定申告で還付の手続きをしましょう。確定申告をする時には、控除証明書に加えて会社から受け取る源泉徴収票を添付しないと正しい所得税額が計算できませんので、注意してください。
年末調整における国民年金の書き方
給料天引きなら家族分の保険料のみ
厚生年金に加入している人は毎月の給与から厚生年金保険料が控除されており、年末調整時に社会保険料控除額として計算されるため本人が厚生年金保険料を申告する必要はありません。したがって年末調整においては、給与から控除されていない、妻や子どもなどの家族分の国民年金保険料を申告することになります。
自分で支払ったなら全ての合計を記入
国民年金の保険料は被保険者本人が納付しなければならないのはもちろん、世帯主や配偶者も連帯して納付する義務を負っています。そして、家族分の保険料を代わりに納めた時は、納付した人が年末調整で保険料額を申告できます。
例えば、学生である子どもの保険料を父親が代わりに納付した場合、控除証明書は子ども宛てに送られてきますが、父親が子どもの保険料を年末調整で記入すれば控除されます。
前納した場合も証明書添付を忘れずに
国民年金保険料は、毎月納める以外にも2年分まとめて前納することもできます。2年前納された保険料については、納めた年に全額控除するか、各年分に相当する額を各年に控除するかのどちらかを選択可能です。
2年前納すると、各年に分割して利用することができる形式の控除証明書が送られてきます。各年分に相当する額を各年に控除する場合は、該当する年の控除証明書のみを切り離して添付しましょう。納めた年に全額控除する場合は、送られてきた控除証明書をすべて添付して控除を受けます。
控除証明書を紛失した・届かない場合
問い合わせ後に再発行も可能
控除証明書をなくしてしまった場合は、最寄りの年金事務所に相談をしてください。運転免許証などの本人確認書類と年金手帳を持参すれば、再発行の手続きができます。
ねんきんダイヤルでは電話による問い合わせも受け付けています。控除証明書が届かない場合も、年金事務所あるいはねんきんダイヤルに問い合わせをすれば、納付状況の確認後控除証明書が再発行されます。
手元の領収書添付でも大丈夫
控除証明書をなくしてしまった場合やまだ届いていない場合でも、保険料を納付した時の領収書の原本が手元にあれば、領収書を添付する方法でも差し支えありません。控除証明書の「納付済額」「見込額」以外に追加で保険料を支払った場合は、控除証明書に加えて追加で支払った分の領収書を添えれば控除を受けることができます。
まとめ
国民年金保険料は、本人だけではなく家族の分を納めた保険料の額を控除することができ、控除額には上限がありません。控除を受ければその分だけ所得税が軽減され、家計への負担が少なくなりますので、年末調整では国民年金保険料控除を忘れずに申告しましょう。