社会保険の被保険者の扶養に入ることで、健康保険や国民年金の保険料を払わなくても良くなる場合があります。では、子供や親は扶養に入ることができるのでしょうか?このページでは、社会保険の扶養の条件についてまとめています。
目次
社会保険の扶養とは?
社会保険と税務上の扶養は違う
社会保険上の扶養と税務上の扶養は同一のものではありません。税務上の扶養は、次の2つの条件をいずれも満たす人が対象です。なお、内縁の配偶者は対象外です。
・納税者と生計を一にしていること
・納税者の配偶者、および親族(6親等内の血族または3親等内の姻族)であること
厚生年金と健康保険が対象
社会保険のうち、厚生年金と健康保険には扶養の要件があります。健康保険における扶養の範囲は広く、次の2つの条件をいずれも満たしていれば内縁配偶者やその父母・子なども対象となります(内縁の配偶者死亡後についても同様)。
・主に被保険者の収入で生計を維持していること
・3親等内の親族であること
一方、厚生年金の扶養については「20歳以上60歳未満の配偶者(内縁の配偶者を含む)」のみが対象です。
家族の分の保険料が免除になる
健康保険の被保険者の扶養に入っている人は保険料が免除されるため、自分で保険料を支払わなくても保険証が交付され、医療費の負担が軽減されることになります。また、厚生年金の被保険者の扶養に入っている人は国民年金の第3号被保険者として、同様に保険料が免除されます。
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社会保険の扶養の対象の範囲
同居でも別居でも扶養に入れる人
社会保険(健康保険)の扶養に入ることのできる「3親等内の親族」のうち、被保険者の配偶者や子供や孫、親や祖父母、兄弟姉妹については、被保険者と同居している必要はありません。例えば、仕送りを受けながら別居している子供や親は、被保険者の扶養に入ることで、保険料の免除を受けることができます。
同居している場合に扶養に入れる人
一方、上記以外の3親等内の親族は、被保険者と同居していないと扶養に入ることはできません。例えば、被保険者の親の兄弟やその配偶者は3親等内の親族ではありますが、被保険者と同一世帯に属していなければ扶養に入ることができません。また、内縁の配偶者が扶養に入る場合も、被保険者と同居している必要があります。
社会保険の扶養の収入の条件は?
年間収入130万円未満
社会保険の被保険者の扶養に入るには、対象者の年間収入が130万円未満であることが条件になります(60歳以上、または障害者を持っている人は180万円未満)。ただし、年間収入がこの金額未満でも、主にその収入によって生活費をやりくりできている場合は「被保険者の収入により生計を維持されている」とはみなされず、扶養に入ることが認められないこともあります。
年収は将来の見込み額で判断
扶養に入るための条件である年間収入は、実際にその年に得た収入ではなく「見込み額」で判断されます。例えば、1月から6月までで合計80万円の収入を得た人は、6月末時点での年間収入額は80万円ですが、その後の6ヶ月も同額の収入が見込まれるので、年間見込み収入額は160万円という評価になるのです。
被保険者の収入や仕送りと比較した条件
被保険者の収入や仕送りと比較したとき、扶養に入ろうとする人の収入条件は以下の通りです。
・同居している場合…被保険者本人の収入の半分未満
・同居していない場合…被保険者本人からの仕送り未満
このため、別居の子供が親の仕送りを受けて生活していても、仕送りの金額が小額で、子供が自身のアルバイト代などで生計を立てているような場合、その子供は親の扶養に入ることができません。
社会保険の扶養に入るための手続き方法
勤務先を通じて「被扶養者(異動)届」を提出
社会保険の被保険者の扶養に入るための手続きは、扶養に入ろうとする本人ではなく、社会保険の被保険者が行います。具体的には、事業主を経由して日本年金機構へ「被扶養者(異動)届」を提出します。届出用紙は、最寄りの年金事務所の窓口で入手できる他、日本年金機構のホームページからダウンロードすることも可能です。扶養に入ろうとする人が条件を満たした時点から5日以内の届け出が原則ですが、それが難しい場合にはできるだけ速やかに手続きを行ってください。
収入や続柄を確認するための書類が必要
扶養の手続きに際して、扶養に入ろうとする人の収入や被保険者との続柄を確認するための書類を「被扶養者(異動)届」へ添付する必要があります。
事業主の証明があれば、所得税法上の扶養親族や配偶者(内縁の配偶者を除く)の収入確認書類は原則として不要です。しかし、それ以外の人については「退職証明書または雇用保険被保険者離職票の写し」や「雇用保険受給資格者証の写し」などの添付が求められます。また、続柄を確認するために「被保険者の世帯全員の住民票」などが必要となるため、どのような書類を準備すべきかを最寄りの年金事務所に問い合わせておくのが良いでしょう。
まとめ
子供や親であっても、本人の年間収入や仕送りの金額によっては扶養に入ることができない場合があります。一方、収入要件を満たして同居をしていれば、内縁関係であっても扶養家族と認められるケースもあります。保険の種類によって手続き上の必要書類も異なるため、不備のないよう事前に確認しておきましょう。