かんぽ生命保険は、日本郵政グループに所属する生命保険会社で、全国の郵便局で販売を行っています。元々は国が運営する事業でしたが、2007年10月の郵政民営化により民間企業となりました。今回は、かんぽ生命が販売する4種類の終身保険の特徴とメリット・注意点を紹介します。
目次
かんぽ生命の終身保険には何がある?
新ながいきくん(定額型)
契約時に決めた死亡保障額が一生涯続く終身保険です。亡くなった時、重度の障がい状態になった時に備えることができます。
生きていくための保障を特約で付けることができます。特約には事故での死亡や障がいに備える「災害特約」、ケガによる通院・手術に備える「傷害医療特約」と、ケガと病気の両方に備える「総合医療特約」の3つがあります。「医療特約」には、「入院保険金」のみのタイプと、入院保険金日額の5日分相当の「入院初期保険金」を受け取ることができるタイプがあり、どちらかを選択可能です。
新ながいきくん(ばらんす型2倍・5倍)
定額型との違いは、保険料払込期間満了を境に死亡保障額を減らすことができる点です。ばらんす型2倍は、保険料払込満了前は、死亡保険金額全額が保障されますが、保険料払込満了後は死亡保険金額の50%になります。同様に、ばらんす型5倍は20%になります。
払込期間満了年齢は契約年齢により異なりますが、55歳~95歳まで5歳刻みで設定可能です。家族への責任の重い時期は厚い死亡保障を、セカンドライフは保障を抑えるなどできるため、定額型と比べて保険料の負担を抑えることもできます。
新ながいきくん(おたのしみ型)
定額型との違いは、保険料払込期間満了時に生存している場合、満了時と満了後5年、10年、15年目に生存保険金を受け取ることができる点です。生存保険金は、死亡保険金額の20%となっています。生存保険金を受け取った後に亡くなったり、重度の障がい状態になったりした場合は、既に受け取った生存保険金の合計額を引いて残った保障額を受け取ることができます。
かんぽ生命の終身保険のメリット
低解約返戻金型なら保険料が抑えられる
解約返戻金とは、保険期間中に解約した場合に払込保険料から支払われるものですが、保険期間の始めの頃が少なく経過年数とともに増えることが一般的です。低解約返戻金型プランでは、保険料払込期間満了以前は、従来型に比べ解約返戻金額が低く設定されていますが、満了時に従来型の水準に一気に近づきます。保険料払込満了後は払込保険料の総額相当、あるいは総額よりも増える場合もあります。
かんぽ生命の4つの終身保険には、「低解約返戻金型」があります。「低解約返戻金型」は、保険料払込期間中の解約返戻金が少ない代わりに、保険料を抑えることも可能です。途中解約する可能性が低い場合、低解約返戻金プランを選ぶことも選択肢のひとつに入れると良いでしょう。
特約の返戻金が2つのタイプから選べる
かんぽ生命の特約には、「解約返戻金低減型」と「無解約返戻金型」があります。「解約返戻金低減型」は、保険料払込満了後、解約返戻金が徐々に減り、100歳の時に解約返戻金がなくなります。一方「無解約返戻金型」は解約返戻金をなくし、特約保険料の払込期間を95歳までにする代わりに、保険料を抑えることができます。
どちらの特約も、解約返戻金がある従来の特約に比べると保険料が抑えられており、「解約返戻金低減型」より「無解約返戻金型」の方が、保険料がお手頃になっています。
かんぽ生命の終身保険の注意点
特約還付金は保険金受取人に帰属しない
民営化前の「簡易保険」の主契約に付加した特約の保険料には、積立部分があります。死亡・解約・失効・変更等により特約が消滅した際に、積立部分の返還を請求することができ、還付されたお金を「特約還付金」といいます。
特約還付金の請求権は保険契約者のものであり、死亡保険金受取人のものではありません。被保険者が亡くなり、契約者と被保険者が同じ保険契約の特約が消滅した場合、特約還付金を請求できるのは契約者の相続人です。
特約還付金には非課税枠がない
生命保険の死亡保険金を受け取る際には、相続税での優遇措置があります。500万円×法定相続人数分が非課税です。
しかし、特約還付金は、死亡保険金ではなく、被相続人の相続財産であるため、相続税の死亡保険金に対する非課税枠は適用されません。相続財産として遺産分割協議の対象になります。被保険者が亡くなった際の保険会社から受け取る給付金であっても、特約還付金は扱いが異なりますので注意が必要です。
かんぽ生命の終身保険加入者の控除申請方法
年末調整での生命保険料控除申請方法
生命保険料控除制度とは、一年間に支払った生命保険料の額に応じて所得税の課税所得金額から一定額を差し引くことで、所得税や住民税の負担を軽減する制度です。制度の適用を受けるには、申告が必要です。給与所得者が年末調整で申告する場合は、給与所得者の保険料控除申告書を作成の上、保険料払込証明書を添付し、勤務先経由税務署に提出します。
保険料払込証明書は、通常10月中下旬以降に保険会社から発送されますので、手元に届いたら申告まで大切に保管してください。
生命保険料控除申告サポートツールで
2012年1月1日に生命保険料控除制度が改正されました。改正により、改正後に契約した保険契約には新制度が、改正前に契約したものには旧制度が適用され、それぞれを分けて計算する必要があります。
かんぽ生命のホームページでは、申告書に記載する控除額を計算する、生命保険料控除申告サポートツールを提供しています。ツールに従って、所定の枠に金額を入力すると、申告書に記載すべき各金額を割り出すことができます。かんぽ生命に加入している人は、一度確認してみると良いでしょう。
保険料払込証明書を紛失したら再発行を
万が一保険料払込証明書を紛失してしまった場合でも、再発行は可能です。手続きは郵便局の窓口、電話またはインターネットで行うことができます。
郵便局の窓口で手続きをする場合は、保険証券または保険証書と、本人確認書類を用意してください。電話やインターネットの場合は、保険証券または保険証書の記号番号が必要です。
保険料払込証明書は、保険会社に登録している契約者の住所に郵送されます。現住所と登録住所が異なる場合は、住所変更の手続きも行いましょう。証明書到着まで時間を要する場合もありますので、申告期限に間に合うように余裕をもって再発行の手続きを行うことをおすすめします。
まとめ
かんぽ生命の終身保険は主契約・特約の組み合わせ方により様々なパターンを作ることができます。保険料はかんぽ生命のホームページで計算することができ、郵便局の窓口で相談することもできます。保険料を抑えながら、自分に必要な保障を確保できるよう組み合わせてみてはいかがでしょうか。