かんぽ生命の終身保険「新ながいきくん」は、定額型・ばらんす型2倍・ばらんす型5倍・おたのしみ型の4プランから選べる一生涯保障の保険です。加入年齢は15〜85歳(プランにより異なる)、保険金額は100万円〜1,000万円。プランごとに保障の増減や生存保険金の有無が大きく違うため、仕組みを理解せずに選ぶと「思っていた保障と違う」ということが起こります。
この記事では、4プランの違いを公式情報にもとづいて整理し、特に検索の多い「おたのしみ型」のメリットとデメリット、そして誤解されやすい「ばらんす型」の保障が減る仕組みを詳しく解説します。
2026年5月2日に保険料が改定されました
かんぽ生命は2026年5月2日に保険料を改定しています。終身保険も対象です。公式サイトが掲載している保険料例では、いずれも値下げになっています。
| 加入年齢 | 改定前 | 改定後 | 差額 |
|---|---|---|---|
| 30歳男性 | 16,100円/月 | 13,900円/月 | ▼2,200円(約13.7%) |
| 30歳女性 | 15,750円/月 | 13,400円/月 | ▼2,350円(約14.9%) |
月2,000円以上、率にして13〜15%の値下げは小さくありません。同じ保障額でも、改定前後で払込総額が大きく変わります。ネット上に残っている改定前の保険料を参考にしないでください。
なおこの改定は学資保険にも及んでいます。かんぽ生命の学資保険「はじめのかんぽ」は、この改定によって元本割れの状態から返戻率100%超に転じました。詳細はかんぽ生命の学資保険|2026年改定後の返戻率とはじめのかんぽ3コースで解説しています。
終身保険は自分に必要?FPが無料で必要保障額を診断します「新ながいきくん」以外の終身保険もあります
かんぽ生命の終身保険は「新ながいきくん」4プランだけではありません。公式サイトの終身保険カテゴリには、次の商品も掲載されています。
- かんぽにおまかせ(終身タイプ):公式サイトは終身保険について「健康状態に不安のある方でもご加入いただきやすい」プランがあると説明しています
- 一時払終身保険:まとまった資金を一括で払い込むタイプ
健康状態に不安があって通常の終身保険をあきらめていた方は、選択肢が残っている可能性があります。ただし引受基準を緩和した商品は保険料が割高になるのが一般的です。まず通常のプランで申し込めないかを確認してから検討してください。
かんぽ生命の終身保険「新ながいきくん」4プランの違い
かんぽ生命が現在販売している終身保険は「新ながいきくん」の1シリーズで、その中に4つのプランが用意されています。まず全体像を押さえましょう。
| プラン | 払込期間中の死亡保障 | 払込満了後の死亡保障 | 生存保険金 | 向いている人 |
|---|---|---|---|---|
| 定額型 | 基準保険金額のまま | 変わらない | なし | 一生涯、同じ保障額を確実に残したい |
| ばらんす型2倍 | 満了後の2倍 | 2分の1に減る | なし | 子育て期の保障を厚くし、保険料を抑えたい |
| ばらんす型5倍 | 満了後の5倍 | 5分の1に減る | なし | 現役期の保障を最優先したい |
| おたのしみ型 | 基準保険金額のまま | 継続 | 最大4回受け取れる | 老後に現金を受け取る楽しみもほしい |
加入できる年齢と保険金額
プランによって加入できる年齢の上限が異なります。ここは見落とされやすいので、検討の最初に確認しておきましょう。
| プラン | 加入年齢 | 保険金額 |
|---|---|---|
| 定額型 | 15〜85歳 | 100万円〜1,000万円 |
| ばらんす型2倍・5倍 | 15〜65歳 | 100万円〜1,000万円 |
| おたのしみ型 | 15〜70歳 | 100万円〜1,000万円 |
保険料の払込期間は加入年齢に応じて選択でき、公式サイトの例では「65歳まで」「70歳まで」「80歳まで」といった設定が示されています。かんぽ生命の商品全体の位置づけについてはかんぽ生命の評判って?加入者の口コミもあわせてご覧ください。
おたのしみ型のメリットとデメリット
4プランのなかで最も問い合わせが多いのが「おたのしみ型」です。一生涯の死亡保障を持ちながら、生きているうちにお金を受け取れる点が特徴ですが、その分の代償もあります。
生存保険金の仕組み
おたのしみ型では、保険料の払込期間が満了したときと、その後5年ごとに、基準保険金額の20%が生存保険金として支払われます。受け取れるのは最大4回です。
基準保険金額500万円の契約なら、1回あたり100万円(500万円×20%)を4回、合計400万円を受け取る計算になります。ここで重要なのは、基準となるのが「基準保険金額」であって「死亡保険金額」ではないという点です。特約を付加している場合、死亡時に支払われる金額と基準保険金額は一致しません。
メリット
- 老後に4回、まとまった現金が入る:払込満了後は年金や退職金の補完として使えます。旅行や住宅の修繕など、使途が自由なのも利点です
- 死亡保障は一生涯続く:生存保険金を受け取っても、保険期間そのものは終身です
- 受け取りのタイミングが決まっている:解約の判断をしなくても、自動的に現金化される部分があります
デメリットと注意点
「おたのしみ型 デメリット」という検索が多いことからも分かるとおり、加入前に確認すべき点があります。
- 同じ保障額なら保険料は割高になる:生存保険金の原資を保険料で積み立てる構造のため、純粋な死亡保障だけを求めるなら定額型のほうが効率的です
- 加入年齢の上限が70歳:定額型(85歳)より15年短く、高齢での加入はできません
- 受け取りは払込満了後から:教育費など、それ以前に資金が必要なライフイベントには使えません
- 生存保険金には税金がかかる場合がある:契約者と受取人が同一なら一時所得として所得税・住民税の課税対象になります。詳しくは終身保険の解約返戻金は税金がかかる?で解説しています
「増える保険」として捉えるのではなく、「一生涯の死亡保障に、受け取りの仕組みを足したもの」と理解するのが実態に近い商品です。純粋に資産形成を目的とするなら、かんぽ生命の養老保険やNISA・iDeCoといった別の手段と比較したうえで判断してください。
ばらんす型2倍・5倍は「満了後に保障が減る」プラン
ばらんす型は誤解されやすいプランです。名称から「バランスよく一定の保障が続く」と受け取られがちですが、実際には保険料払込期間が満了すると死亡保障が減ります。
かんぽ生命の公式サイトには「保険料払込期間中は保険料払込期間満了後の2倍/5倍」と明記されています。つまり、払込満了後の保障額を基準として、払込期間中はその2倍または5倍が上乗せされているという設計です。
| 払込期間中(例:〜65歳) | 払込満了後(65歳〜) | |
|---|---|---|
| ばらんす型2倍 | 400万円 | 200万円 |
| ばらんす型5倍 | 1,000万円 | 200万円 |
これは欠点ではなく意図された設計です。子どもが独立するまでは大きな保障が必要でも、その後は葬儀費用程度で足りるという家庭は多く、必要な時期に必要な分だけ厚くすることで保険料を抑えられます。
問題になるのは、「一生涯このままの保障が続く」と誤解したまま加入してしまうケースです。契約前に、払込満了後にいくらの保障が残るのかを必ず設計書で確認してください。加入年齢の上限が65歳と最も短い点にも注意が必要です。
定額型はシンプルさが最大の強み
定額型は、契約時に決めた保障額が一生涯変わらないプランです。仕組みが単純で、15〜85歳という最も広い加入年齢が設定されています。
葬儀費用や身辺整理の資金として一定額を確実に残したい場合、相続時に受取人へ直接渡したい場合には、この定額型が適しています。死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」までの非課税限度額が適用されるため(受取人が相続人である場合)、現金で残すより有利になることがあります。
ただし非課税枠が使えるのは受取人が相続人であるときに限られ、相続放棄した人などには適用されません(出典:国税庁 No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金)。終身保険そのものの基礎知識は終身保険とは?特徴やおすすめの選び方で解説しています。
付加できる特約は3種類
新ながいきくんには、主契約に加えて最大3種類の特約を付加できます。
| 特約名 | 保障内容 |
|---|---|
| 無配当災害特約 | 不慮の事故によるケガでの死亡・身体障がいを保障 |
| 医療特約「もっとその日からプラス」 | 病気やケガによる入院・手術・放射線治療を保障 |
| 無配当先進医療特約 | 先進医療による療養を保障 |
特約は主契約とセットでしか加入できず、単体では契約できません。また特約を付けると保険料は上がるため、すでに医療保険に加入している場合は保障が重複しないか確認してください。郵便局で扱う保険商品の全体像は郵便局のゆうちょ保険にはどんな種類がある?にまとめています。
低解約返戻金プランという選択肢
ここで注意したいのが、「低解約返戻金プラン」はプランの種類ではなく、各プランに適用できるオプションだという点です。定額型・ばらんす型・おたのしみ型と並列の「4つ目のタイプ」ではありません。
かんぽ生命はこれを「通常のプランと比べて、保険料を抑え、保険料払込期間満了前の解約返戻金の水準を低くしているプラン」と説明しています。保険料が安くなる代わりに、払込満了前に解約すると受け取れる金額が通常プランより少なくなります。
払込満了まで継続する見込みが高い人には有利ですが、途中解約の可能性がある人には向きません。契約者貸付を使って解約を回避する方法もあります(かんぽ生命の契約者貸付とは?)。
どのプランが自分に合うか判断できない方へ|FPの無料相談生命保険料控除の申請方法
かんぽ生命に支払った保険料は生命保険料控除の対象です。会社員であれば、勤務先の年末調整で申請することで所得税・住民税が軽減されます。
- 必要書類:「給与所得者の保険料控除申告書」と、かんぽ生命から届く「保険料払込証明書」
- 証明書の到着時期:例年10月中旬ごろに契約者の住所へ郵送されます
- 紛失した場合:郵便局の窓口、電話、インターネットのいずれかで再発行を申請できます
2012年1月1日の制度改正により、それ以前の契約(旧制度)と以後の契約(新制度)で控除額の計算方法が異なります。両方の契約がある場合は分けて計算する必要があるため、かんぽ生命が公式サイトで提供している控除額の計算ツールを使うと確実です。
なお、住所が変わっていると証明書が届きません。転居した場合は先に住所変更の手続きを済ませてください(かんぽ生命の住所変更は郵送でも可能)。
よくある質問
おたのしみ型の生存保険金は受け取らずに置いておけますか?
据置の可否や利率については、かんぽ生命の公式サイトに明記がありません。契約内容によって取り扱いが異なる可能性があるため、加入前に窓口またはご契約のしおり・約款で必ずご確認ください。
ばらんす型の「2倍」「5倍」はどちらを選ぶべきですか?
払込満了後に残したい保障額を先に決め、そこから逆算するのが確実です。満了後200万円を残したい場合、現役期に1,000万円必要なら5倍、400万円で足りるなら2倍が該当します。「倍率が大きいほど得」ではありません。
65歳を過ぎていますが加入できますか?
ばらんす型は65歳、おたのしみ型は70歳が加入年齢の上限です。定額型のみ85歳まで加入できます。ただし高齢での加入は保険料が高くなるため、払込総額と保険金額を比較したうえで判断してください。
まとめ
かんぽ生命の終身保険「新ながいきくん」は、4つのプランで性格が大きく異なります。
- 定額型:一生涯同額。15〜85歳と加入年齢が最も広い
- ばらんす型2倍・5倍:払込満了後に保障が2分の1・5分の1に減る。現役期を厚くする設計
- おたのしみ型:基準保険金額の20%を最大4回受け取れる。その分、保険料は割高
- 低解約返戻金プラン:型ではなくオプション。途中解約に弱い代わりに保険料が下がる
特に「ばらんす型は満了後に保障が減る」という点は、契約後に気づくと取り返しがつきません。設計書で満了後の保障額を確認したうえで判断してください。保険料や保障内容は改定されることがあるため、最新の条件はかんぽ生命の公式サイトでご確認ください。
本記事は2026年8月時点の公開情報にもとづいて作成しています。実際のご契約にあたっては、必ずご契約のしおり・約款および重要事項説明書をご確認ください。

