火災保険は、保険会社によって保険料や保障の内容は異なります。賃貸かマンションかなど、住居によっても火災保険を選ぶポイントがあります。万一の時に備えて正しい知識を確認しましょう。
目次
火災保険の補償対象になるのは?
持ち家は「建物」と「家財」が対象
持ち家において火災保険の対象となるものは「建物」と「家財」です。建物だけに火災保険をかけても、家財は保障されません。「建物」とされるもの、「家財」とされるものが何かという点については後述しますが、保険会社によって対象の認識に差異が生じている場合もあるため、加入の際には注意が必要です。
また、必ずしも「建物」「家財」両方へ加入しなければいけないわけではありません。保険料の予算などを考慮しながら、必要な保障を検討しましょう。
賃貸は「家財」と大家への賠償が対象
賃貸住まいの場合、建物は自分所有ではないため保険の対象とはなりません。しかし、家財を補償対象として火災保険へ加入しておくと、自分の家財へ損害が生じた時に保障を受けることができます。
また、火災などで賃貸物件に何らかの損害を与えてしまった際には、賃貸契約時に締結されている「原状回復義務」が生じます。そのような場合に大家への賠償を行うものとして「借家人賠償責任保障」が設けられています。
「建物」に含まれるもの
保険の対象としての「建物」には以下のようなものが含まれます。考え方としては、“固定されており、容易に動かせないもの”を指していると言えます。
1) 建物の基礎
2) 車庫や倉庫
3) トイレの便器
4) アンテナ
5) 調理台
6) 門扉
7) 床暖房設備
「家財」に含まれるもの
一方、「家財」には以下のようなものがあります。こちらは“容易に移動ができるもの”を指します。
1) テレビ
2) 洗濯機
3) 冷蔵庫
4) カーテン
5) 衣類
6) パソコン
7) 現金
以下のようなものは保険会社によって保険の対象となるかどうか判断が分かれるところでであるため、確認を行ってください。
1) エアコン
2) 備え付けられたオーブン
3) 庭の植木
補償範囲や保険金の設定方法は?
火災以外の補償範囲を選択
火災保険では、火災以外の補償内容を選択できる場合があります。必要のない保障をあらかじめ外すことで保険料を安く抑えることができます。
1) 火災
2) ガスなどの爆発・破裂
3) 落雷
4) 風や雪、雹による災害
5) 水災
6) 建物外部からの物体の飛来・落下・衝突
7) 漏水などの水漏れ
8) 集団行動による暴力など
9) 盗難
10)予測不可能かつ突発的に起こった事故
11)地震、噴火、これによって発生した津波による災害(地震保険で補償)
建物は構造で保険料が変わる
建物は、主要部分の材質や構造によって被害の程度が変わります。そのため、構造分類上「M構造」「T構造」「H構造」と分類され、保険料も異なる場合が多くなっています。
・以下に該当し、マンションなどの共同住宅であるもの⇒「M構造」/共同住宅でないもの⇒「T構造」
コンクリート造、コンクリートブロック造、レンガ造、石造、耐火建築物
・以下に該当するもの⇒「T構造」
鉄骨造、準耐火建築物、省令準耐火建物
・上記に該当しない部材(木造など)の造であるもの・M構造・T構造と確認出来ないものなど⇒「H構造」
一般的に、「M構造」→「T構造」→「H構造」の順に保険料は高くなる傾向にあります。
建物の保険金は保険価額が基準
保険価格とは、「保険金支払いに該当する事故が起こった際、被保険者が被る可能性のある損害額の最高見積もり額」を指します。したがって、保険金額へは保険価格を設定しておかないと、万一の時に損害額に匹敵する補償を得られないことがあります。
また、保険金額を保険価格以上に設定していても、実際に支払われる保険金額は損害額分のみとなります。超過した分の保険金は支払われないことになるため、保険料が無駄になってしまうこともあります。保険金額が保険価格より低く設定されていることを「一部保険」、反対に、保険金額が保険価格より高く設定されていることを「超過保険」と言います。
家財の保険金は所有する家財の価額まで
所有する家財が700万円相当であるとすると、1,000万円の補償へ加入することはできません。たとえ加入できたとしても、補償は700万円までということになります。
購入時より価値が下がっていると考えられる洋服・テレビ・冷蔵庫などについては、その分を割り引いて500万円などと設定すれば保険料を安くすることもできます。
地震保険付帯の有無を選択
火災保険には、地震保険を付帯することができます。逆に言えば、ほとんどの場合、地震保険は単独では加入することができません。注意が必要な点として、地震が原因の火災は地震保険の付帯なしでは補償されないケースが多いことなどが挙げられます。
また、地震保険の分の保険料については控除の対象となっています(火災保険単独だと控除の対象外)。必要に応じて、地震保険の付帯も検討してみましょう。
マンションの火災保険の入り方とは?
共用部分は原則として管理組合が加入
マンションの玄関ホールや通路などは共用部分とされ、通常は管理組合が一括で火災保険に加入することになっています。もしもの時に備え、管理組合がどのような火災保険に加入しているか確認しておくとよいでしょう。
専有部分は所有者が加入
室内や間仕切り壁などは専有部分といわれ、部屋の所有者が火災保険へ加入することになっています。多くのマンションには管理組合規約があり、「どこまでが専有部分であるのか」という点が明記されています。
壁や天井など、隣接する部屋との境界については基準が異なることがあります。管理組合規約に「天井、床及び壁は躯体部分を除く部分を専有部分とする」と書いてある場合、クロスから内側の部分が専有部分になります。上塗(うわぬり)基準あるいは内法(うちのり)基準と呼ばれる考え方です。火災保険に入る際は、専有部分の範囲についても確認しておきましょう。
まとめ
以上、火災保険について紹介しました。加入したい火災保険・現在加入している火災保険の保険料や補償範囲が適切なものかどうかをチェックし、万一の時に備えましょう。