JA(農業協同組合)に、組合員でない人も加入できる自動車共済があることをご存じですか?この記事では、JAの自動車共済「クルマスター」の保障内容や手続きなどについて解説しています。
目次
JA共済で自動車保険に入れる?
JA共済は農業協同組合(JA)が運営
JAとは、農家の営農と生活を相互扶助により支え合うことを目的とした協同組合で、直接農業に関わるものの他、信用事業(JAバンク)や厚生事業など、多くの分野に事業を展開しています。このうちJA共済は、組合員や利用者が掛金を出し合い、JAが資金の運用・管理を行うことで万が一のときの損害に備えるサービスです。
JAでは「自動車共済」の名称で提供
JAが取り扱う自動車共済は、法令根拠が農業協同組合法である点・事業目的に営利性がない点などにおいて、損保会社の自動車保険とは異なるものです。しかし、少額の保険料(JA共済では「掛金」という)を支払って万が一のときに備える点など、サービスを受ける側から見た仕組みは似ていると言えます。また、JAでは、自動車共済の他にも、建物の損害を保障する建物更生共済や、加入者自身のライフスタイルに応じた生命共済・医療共済なども取り扱っています。
JA組合員以外も利用できる
組合員以外の利用を制限している共済も中にはありますが、JA共済は組合員でない人も利用することが可能です。共済の掛金は、営利目的の保険商品の保険料と比べて割安であることが多いため、新規加入や他の保険からの乗り換えを検討してみても良いかもしれません。
JA共済のクルマスターとは?
自分(家族)・相手・車の3つを保障
JAの自動車共済「クルマスター」は、運転者自身やその家族の保障・自動車事故を起こしたときの相手方の保障・加入者の車の損害に対する保障の3点が主な保障となっています。また、相手方と損害賠償請求の交渉が必要になった際の弁護士費用を保障する特約などを付加することも可能です。
ロードサービスや独自の割引も
クルマスターのロードサービス・レッカーサービスは、故障やトラブルで車が動かせなくなってしまったときに24時間365日体制でサポートが受けられます。JA窓口の営業時間外に事故に遭った際でも、JA共済事故受付センターに連絡すれば専任スタッフが事故対応を請け負ってくれます。また、自賠責保険もJAで加入すると、対人賠償保障の共済掛金が割引になるという割引制度も用意されています。
自転車特約はない
一方、多くの損保会社の自動車保険で用意されている、いわゆる「自転車特約」(被保険者やその家族が自転車を運転中に起こした事故に備える特約)に相当するものはありません。自転車事故によって他人にケガをさせてしまった場合などには「賠償責任共済」を利用することになります。
事故に遭ったときはどうする?
警察への届け出後、JAに連絡
交通事故に遭ってしまった際、まずはケガ人の救護や事故車両の移動を行いましょう。その後、警察への届け出を行ってからJAの事故受付センターへ連絡してください。
事故の相手方や目撃者がいる場合には、氏名や連絡先(相手側については免許証の番号や契約している保険会社も)を聞き、事故状況とともに事故受付センターへ伝えます。事故の相手方から、損害の賠償額の交渉などを持ちかけられることもありますが、後々のトラブルの原因となってしまうこともあるため、その場での交渉には応じず事故受付センターの指示に従いましょう。
事故内容によって翌年に等級がダウン
事故によって共済金を受け取ると、以下のように翌年の共済の等級がダウンすることがあります。
・特定の種類の災害を除く自然災害を原因とし、車両保険のみを使用した場合…1等級
・それ以外の場合…原則として3等級
また、1等級ダウンの際は1年間、3等級ダウンの際は3年間、事故有係数が適用された割増の掛金を支払わなければならないため、共済金を請求するかどうかは損害額を見極めて判断する必要があります。ただし、人身傷害条項や傷害定額給付条項、または弁護士費用保障特約などの特約のみを利用する場合には「ノーカウント事故」として扱われ、翌年の等級ダウンはありません。
更新や解約、その他の手続きは?
更新・解約・住所変更等はJAの窓口で
JAは地域ごとに管轄する組合(単位農協)が異なるため、契約の更新・住所変更・解約などの手続きについては、最寄りの農協窓口や代理店で行います。
対象車両の廃車や他人への譲渡を理由に解約を希望する場合、解約に合わせて中断証明書を取得すると、10年以内に再び自動車共済・自動車保険を契約する際に等級を引き継ぐことができます。ただし、中断証明書を使った等級の引き継ぎには一定の条件があるため、詳しくは約款を確認するか、JA共済の窓口に問い合わせるのが良いでしょう。
車両入れ替えは契約引き継ぎ可能
契約対象の車両を入れ替えたときや、ナンバープレートの番号変更があったときには、速やかに手続きを行わなければなりません。変更手続きを怠ると、事故に遭っても共済の保障適用外とみなされて共済金を受け取れない可能性があります。また、運転者制限の範囲外の人が車を使うようになる場合(実家に帰ってきた子供に自身の車を使用させる場合など)には、契約内容の変更を忘れずに行うようにしましょう。
まとめ
JAの自動車共済は、掛金が割安である点や独自の割引制度がある点などが特徴と言えます。組合員以外も加入することができるため、新規契約や乗り換えの検討先のひとつにしてみてはいかがでしょうか。