生命保険の契約には、保険としての保障だけでなく、保険契約の解約返戻金の一定範囲内を元手にして、保険会社から借り入れをする「契約者貸付」を利用することができます。第一生命でも契約者貸付を利用することができますが、どのようにして使えるのか、返済方法や利率などを解説します。
目次
第一生命の契約者貸付って?
解約返戻金の範囲で借り入れができる
契約者貸付は、契約している保険の解約返戻金のうち、一定の範囲内の金額まで保険会社から借り入れをする制度です。保険を契約している契約者が使用できる制度のひとつで、第一生命だけではなく他の生命保険会社でも実施されている制度となっています。ただし、お金を借りるという性質上、貸付を受ける際には保険会社が設定している利率での利息が発生するため注意が必要です。
学資保険・個人年金保険等で利用可能
契約者貸付を利用できる保険の種類には決まりがあり、貯蓄性がある保険商品に加入している契約者のみが契約者貸付ができるようになっています。契約者貸付を利用できる保険契約は以下の通りです。
・終身保険
一生涯にわたって、死亡や高度障害になった場合に保険金を受け取ることができる保険で、保険料の払込期間終了後の解約返戻金が多いことが特徴です。ただし、低解約返戻金型の終身保険では、保険料払込期間が短ければ短いほど解約返戻金が少なくなることもあります。
・養老保険
保険期間満了時まで生存していれば満期返戻金、保険期間中に万が一亡くなった場合は死亡保険金が受け取れます。保険期間の途中で解約した場合には、解約返戻金が発生します。
・学資保険やこども保険
子供の教育資金を準備するための保険商品です。進学祝金や満期金を教育費として使用することができます。契約者は親、被保険者が子供で契約する場合が多く、商品によっては、契約者が死亡した場合に保険契約内容はそのままに、保険料の払込が免除されるものもあります。
・個人年金保険
老後資金準備のための保険です。保険料払込期間満了後、あらかじめ設定した時期から年金形式や一時金として保険金を受け取ることができます。
金利・利率は保険の種類や時期次第
契約者貸付の制度を利用する場合、お金を保険会社から借りるため、借りたお金に対して利息が付きます。ただし、自身が積み立てたお金から借りるため、一般的なローンを利用した場合に比べて低い利率で借り入れができ、借り入れ時の審査等もありません。貸付時にかかる利息は、保険会社や契約している保険の種類、保険の加入時期によっても異なり、第一生命の場合には以下のようになります。
・契約者貸付金・保険料の自動貸付(立替)の利率(2016/7/1現在)
加入時期
1994/4/1以前 年5.75%
1994/4/2以降 年4.75%
1996/4/2以降 年3.75%
1999/4/2以降 年3.00%
ただし、社会情勢や大きな災害などが起こった場合や、個々の保険契約状況によっては利率が異なる場合もあります。
利用限度額は事前に確認できる
契約者貸付で借りることができる金額は、第一生命が提供している「生涯設計レポート」で確認することができます。また、第一生命カードを持っていればゆうちょ銀行やその他の銀行、インターネット、電話などでも貸付利用限度額を確認することができます。
電話やインターネットなどで問い合わせるような場合には、事前に保険証券や証券番号などを把握しておくことが必要となります。第一生命の担当者に確認して調べてもらうこともできますので、契約者貸付を利用する場合には連絡してみるといいでしょう。
第一生命提携ATMや電話・WEBの利用もOK
契約者貸付は、第一生命のATMやゆうちょ銀行ATM、提携しているATM、電話、インターネットなどから利用できます。ただし、ATMを利用する場合には第一生命カード、インターネットでの利用には第一生命カードと第一生命サービスパスポートを持っていることが条件です。どちらも持っていない場合は窓口や担当者経由、電話で利用しましょう。
返済の回数や方法は?
全額返済・一部返済に対応
契約者貸付を利用した場合には、借りたお金を返す必要があります。第一生命の契約者貸付では、全額返済だけでなく、一部返済をすることもできます。
全額返済を希望する場合には、利息を日割りで計算するため、返済予定日を第一生命コンタクトセンター、または第一生命窓口に連絡する必要があります。一部返済では、返済した分の金額は契約者貸付残高の一部と、その残高に対する利息に充当されるようになっています。
利息分のみの返済も可能
第一生命では、契約者貸付を利用した際の利息部分の金額だけを返済することもできます。「契約者貸付金利息繰り入れのお知らせ」に記載されている利息金取扱期間に返済すると、利息分のみの返済が可能です。利息金取扱期間は、利息繰り入れ日から翌月の20日までの期間です。
利息金取扱期間を経過すると、返済金額にかかわらず一部返済となってしまい、利息分のみの返済はできなくなってしまいます。また、利息分のみの返済については、払込票や払込用紙での入金のみの取り扱いとなり、ATM返済はできません。
第一生命カード所有者ならATM返済も可
第一生命カードを持っている場合は、ATMで返済もできます。返済できるATMは、第一生命ATMとゆうちょ銀行ATMです。しかし、ゆうちょ銀行ATMでの返済は一部返済しか取り扱っていないため、全額返済を希望する場合には、第一生命ATMか窓口などでの対応が必要となります。
手続き・返済の注意点は?
返済しないと保険が無効になることも
契約者貸付は、契約している保険契約の解約返戻金の一部を借り入れすることができる制度です。貸付利用限度額の範囲内であれば、何度でも自由に借り入れや返済を行うことができます。
ただし、返済が滞ってしまったり、返済金額が解約返戻金を上回ったりしてしまうと、契約が無効になってしまうこともあります。貸付を利用した場合には返済が滞ることがないようにしましょう。
返済時間が限定されている場合に注意
貸付の返済は、第一生命などのATMや電話やインターネットなどから行うことができます。ただし、ATMについては返済手続きを取り扱う時間が制限されています。
ゆうちょ銀行のATMでは、月曜~金曜は8:00~21:00まで、土日祝日は9:00~20:00までです。第一生命ATMでは、月曜~金曜(平日)9:00~17:00までの対応となっています。
まとめ
契約している保険が貯蓄性のある商品であれば、契約者貸付を利用できます。一時的に現金が必要な場合は、保険の解約ではなく契約者貸付を選択した方が良い場面もあるかもしれません。ただし、契約者貸付には利息が発生します。契約者貸し付けを利用する際には、よく調べてから利用するようにしましょう。