「自分にかけた個人年金なのに確定申告をしないといけないの?」と思っている方も多いのではないでしょうか。今回は、個人年金の確定申告に関して詳しくご紹介します。年金受取に関する税務についてしっかりと知識を得て、将来の不安を解消しましょう。
目次
確定申告不要制度とは
確定申告が不要な人とは
公的年金等の年間収入額が400万以下で、かつ、それ以外の所得が20万円以下の場合は確定申告をする必要がありません。(所得=収入から控除額や必要経費を差し引いたもの)
上記に該当していても確定申告を行った方がよいケース
確定申告不要制度に該当する人でも、確定申告をすることで税金が戻ってくる場合があります。いくつかの事例をご紹介しますので、自分が下記へ該当するかどうか判断が難しい場合には最寄りの税務署へ相談することをおすすめします。
●自分や家族(生計を一にする者)の医療費支払いが年間10万円を超えた人
●自然災害や火災、盗難、横領の被害にあった人
●ふるさと納税や公益法人、地方自治体などの対象団体に寄付をした人
●年金や健康保険などの社会保険料、確定拠出年金(iDeCo)、小規模企業共済掛金の支払いを行った人
●生命保険や個人年金保険、地震保険の保険料支払いを行った人
●扶養している配偶者の年収が103万以下の人
●自身の所得が1000万以下で、配偶者の年収が141万未満の人
●扶養家族がいる人
●自身・配偶者・扶養親族が障害者である人
●学校に通いながら働いている人(年収130万以下)
●死別または離別で配偶者を失い、扶養親族や子供(所得38万以下)がいる人
●死別または離別で配偶者を失い、所得500万以下の人
●自宅の改修工事費が50万を超えた人(※バリアフリー・省エネ・多世帯等に関する工事が対象)
住民税の申告が必要なケース
年末調整や確定申告を行うと、税務署から自治体へ申告内容が通知されます。そのため、改めて住民税の申告をする必要はありません。しかし、確定申告をしなかった人や確定申告の必要がなかった人の中には住民税の申告が必要なケースがありますので、いくつかご紹介します。
●扶養している配偶者の給与収入が98万を超えている人
●給与所得以外に所得がある人
●その年の途中で退職して年末調整を受けていない人
●確定申告不要制度を利用した公的年金受給者で、公的年金以外の所得がある人
●課税や非課税に関する証明書が必要な人
個人年金は確定申告が必要?
老後の資産形成準備のひとつである「個人年金」は、年金受取額に対して税金が発生します。ケースごとに詳しくみていきましょう。
毎年受け取る公的年金も個人年金も雑所得
公的年金、厚生年金基金、自社年金、特定退職金共済等から受ける年金は、所得税法上「公的年金等」と呼ばれています。この「公的年金等」と「個人年金」は「雑所得」という所得区分に含まれ、所得税の課税対象になります。
年間20万円を超えると確定申告不要制度の対象外
個人年金など(公的年金等以外)の所得が20万を超える場合には確定申告不要制度の対象から外れるため、確定申告を行う必要があります。これに対し、住民税は「1円でも所得があれば申告が必要」と定められており、所得が20万円以下であっても申告が必要となっています。
源泉徴収がされているケースもある
個人年金の保険料負担者と年金受取人が同じで、個人年金の所得から保険料(必要経費)を差し引いた残額が25万以上の場合、年金額から所得税が源泉徴収されます(保険料負担者と年金受取人が異なる場合は源泉徴収されないため、確定申告が必要です)。
個人年金の税金の計算方法とは
毎年受け取る個人年金の税金の計算方法
個人年金の雑所得としての金額は、総収入額から必要経費を差し引くことで算出できます。
個人年金の雑所得の金額=総収入額(a)-必要経費(b)
(a)=基本年金額+増額年金額+増加年金額
(b)=その年に支給される年金額×払込保険料等の総額/年金支給総額(見込額)※小数点第3位切り上げ
なお、年金支給総額は年金の種類に応じて計算方法が異なります。種類別の計算方法は以下の通りです。
・確定年金 : 年金年額×支給期間
・有期年金 : 年金年額×(支給期間の年数)または(年金支払開始日における被保険者の余命年数※)※いずれか短い方の年数
・終身年金 : 年金年額×年金支払開始日における被保険者の余命年数
・保証期間付終身年金 : 年金年額×(保証期間の年数)または(年金支払開始日における被保険者の余命年数※)※いずれか長い方の年数
参考:被保険者の余命年数
個人年金の税金の計算例
「保険料負担者=受取人 、保険の種類=10年確定年金・年金年額 60万・払込保険料総額500万」という前提で雑所得の計算をしてみましょう。
総収入額=60万円
必要経費=60万円×500万円/ 600万円
=60万円×0.833
=499,800円
総収入額-必要経費=雑所得の金額
60万円-499,800円=100,200円
まとめ
公的年金や個人年金の年金額によって申告が不要なケース・申告が必要なケースが存在するため、ややこしさを感じることもあるかもしれません。不明点がある場合などは税務署へ問い合わせるのも一つの方法です。確定申告の期間中は混雑が予想されますので、余裕を持った対応を心がけましょう。
上手に節税方法とは!?FPによる徹底解説&無料相談サービス実施中!