保険は万が一のときに私たちを守ってくれる心強いものと言えます。しかし、種類や保障内容をきちんと把握していなければ、本当に必要な保険に加入することができません。今回は、保険の種類や特徴について説明しますので、検討する際の参考にしてみてください。
目次
保険の主な種類は4つ
保険には大きく分けて「公的医療保険」「生命保険」「医療保険」「損害保険」の4種類があります。まずは、それぞれの概要を紹介します。
公的医療保険
公的医療保険とは、病気やケガで治療が必要となった場合に治療費の一部を公的機関が負担してくれる保険です。日本ではすべての人が何らかの公的医療保険への加入を義務付けられており、会社員の場合は「健康保険」に、自営業者や専業主婦の場合は「国民健康保険」に加入します。
公的医療保険制度に加入すると、治療費の自己負担が1~3割に軽減されます。自己負担額が一定金額を超えると超過分の治療費が全額払い戻される「高額療養費制度」も公的医療保険のひとつです。
生命保険
生命保険とは、人の生存や死亡についてあらかじめ定められた保険金が支払われる保険です。実際に必要となった金額に関係なく決まった額が支給される「定額払い」であることが特徴です。人に対してかけられる保険であり、生命保険会社のみが契約を取り扱うことができます。
医療保険
医療保険は、被保険者が入院または手術・通院をした場合に給付金が支払われる保険です。生命保険にも損害保険にも該当しない第三分野の保険であり、生命保険会社と損害保険会社の双方で契約ができます。
損害保険
損害保険とは、偶発的な事故や災害によって建物や家財などに損害が生じた場合にその損害額に応じた保険金が支払われる保険です。生命保険とは異なり、損害額によって支払われる保険金額が変わる「実損払い」であることが特徴です。保険をかける対象はモノであり、損害保険会社のみが契約を請け負います。
生命保険に分類される保険の具体例
次に、生命保険に分類される「養老保険」「終身保険」「個人年金保険」の概要と特徴について説明します。
養老保険
養老保険とは、一定期間の死亡保障と生存保障が組み合わせられた「生死混合保険」と呼ばれる保険です。保険期間中に死亡または高度障害状態となった場合には死亡(高度障害)保険金が支払われ、保険期間満了時まで生存していた場合には満期保険金が支払われます。通常は死亡(高度障害)保険金と満期保険金が同額であり、被保険者の生死に関わらず保険金が支給されるというメリットがある反面、保険料が高額であるというデメリットもあります。
終身保険
終身保険とは、被保険者が死亡した際に保険金が支払われる保険のことをいい、契約を途中で解約しない限りは死亡保障が一生涯続きます。終身保険は解約をすると解約返戻金が支払われ、その金額は契約を継続する期間が長くなるほど増えていきます。
解約返戻金額が保険料の払込総額を超えるという貯蓄性の高さに注目が集まる保険ですが、返戻金を低く抑えて保険料を割安にした「低解約返戻金型」の商品も発売されています。
個人年金保険
個人年金保険とは、老後の資金を保険料の積み立てという形で準備するための保険です。保険は銀行の普通預金と違って簡単に使うことができないため、毎月自分で貯金をするのは難しいという人が老後の生活資金を準備する手段としておすすめできます。しかし、公的年金(国民年金・厚生年金)のようにインフレに対応しておらず、将来物価が上昇して貨幣価値が下がったとしても、契約時に定めた支給額には反映されないというデメリットがあります。
医療保険に分類される保険の具体例
以下では、医療保険に分類される「がん保険」「女性の保険」「介護保険」の概要と特徴について説明します。
がん保険
がん保険とは、がんを治療するのにかかる経済的負担を減らすことを目的とした保険です。被保険者ががんと診断されたときには「がん診断給付金」、がんで入院したときには「がん入院給付金」、がんで手術を受けたときには「がん手術給付金」、がんで通院したときには「がん通院給付金」が支払われます。
女性の保険
女性の保険とは、医療保険やがん保険の中でも、子宮筋腫や卵巣嚢腫など女性特有の病気にかかった場合の保障を手厚くしている保険をいいます。女性の保険に加入しておくと、女性特有の病気による入院や手術の場合に、通常の保障に上乗せして保障を受けることができます。通常と異なる分娩(帝王切開など)についても上乗せ保障の対象となるため、結婚して子どもを産みたいと考えている女性は、妊娠・出産時の備えとして加入を検討してもよいかもしれません。
介護保険
介護保険とは、介護にかかる経済的負担を減らすことを目的とした保険です。私たちは40歳になると公的介護保険に加入することが義務付けられていますが、40歳未満で要介護状態になった場合は公的介護保険の適用対象外となります。
また、40~64歳であっても、定められた特定疾病を原因とした要介護状態でなければ公的介護保険の対象とならないため、交通事故が原因で介護状態になった場合などは保障の対象外となります。民間の介護保険には、このような公的介護保険ではカバーできない部分を保障する役割があります。
損害保険に分類される保険の具体例
最後に、損害保険に分類される「火災保険」「自動車保険」「地震保険」の概要と特徴について説明します。
火災保険
火災保険とは、火災によって建物や建物内の家財に生じた損害の費用を補償する保険です。「火災」保険という名称ですが、大雨で建物が浸水した場合や落雷で家財が壊れてしまった場合など、火災以外の損害についても補償されるケースがあります。
自動車保険
自動車保険とは、自動車に乗っていて事故を起こしたときに生じた損害を補償する保険です。自動車を購入したときには「自賠責保険」への加入が義務付けられていますが、自賠責保険の補償範囲は「相手側への最低限の補償」に限られています。任意加入の自動車保険には、強制加入の自賠責保険ではカバーできない損害を補償する役割があります。
地震保険
地震保険は政府と損害保険会社によって共同運営されている保険であり、地震や噴火による建物・家財の損害を補償します。地震や噴火の際に生じた津波・火災などによって建物や家財が被害を受けた場合の補償もあります。地震保険は単体では販売されておらず、火災保険に付帯する形であるケースがほとんどです。そのため、「地震保険に加入したい場合はまず火災保険にも加入する」というのが原則と言えます。
まとめ
保険は「公的医療保険」「生命保険」「医療保険」「損害保険」の4つに分かれており、それぞれ保障内容が異なります。各保険の特徴をふまえ、収入やライフプランに合わせて必要な保険を検討することをおすすめします。