積立利率変動型終身保険という保険商品をご存じですか?インフレや金利などの経済動向に関心がある人にとっては、とても興味深い保険商品かもしれません。今回は積立利率変動型終身保険の仕組みやメリット・デメリットについて詳しく解説します。
目次
積立利率変動型終身保険の特徴とは
積立利率変動型終身保険を説明する前に、保険会社の「予定利率」について説明します。契約者が払い込む保険料は、保険会社の経費を差し引いたあと、将来の保険金支払いに充当するために「責任準備金」として積み立てられ、国債をはじめとする様々な投資先で運用されます。その際保険会社は利回りをあらかじめ想定し、収益分を保険料から割り引いています。この割引率のことを「予定利率」といい、保険料を決定する要素のひとつとなっています。
積立利率は金利変動に対応
積立利率変動型終身保険は、「運用実績によって、将来解約した時に戻ってくるお金(解約返戻金)が変わる」という特徴があります。保険会社が設定した「予定利率」より運用実績の方が良ければ積立利率が上がるため、場合によっては高いリターンを得られる可能性もあります。
利率変動型積立終身保険との違い
「積立利率変動型終身保険」と名前の似た「利率変動型積立終身保険」という保険商品があります。2つの保険商品の名前を見比べて「同じ内容なのでは?」「言い方が違うだけなのでは?」と思ってしまう人もいるかもしれません。
積立利率変動型終身保険は運用実績に応じて解約返戻金が変わる、金利変動に対応した保険であることは上記で紹介しました。対して利率変動型積立終身保険は、払込満了時に積立金の全部または一部を一時払い保険料として充当することで、終身保険や年金などへ変更ができます。契約後の状況の変化に柔軟に対応できるのがこの保険の特徴となっていて、「アカウント型保険」とも呼ばれています。
積立利率変動型終身保険のメリット
インフレとはインフレーションの略で「物価が上昇している状態」のことを指します。保険のように長い期間にわたって契約が継続するものは、将来の保険金受取時の経済情勢を予測することが困難です。積立利率変動型終身保険は、保険金受取時の経済情勢がインフレである場合に対応しやすい保険商品と言えます。
例えば、保険料の払込満了時に100万円の解約返戻金がある終身保険に加入していて、解約返戻金でAという商品(10万円)を10個購入する計画を立てていたとします。払込満了を迎えた時点で、Aの値段が15万円に上昇していたとしたらどうなるでしょう。100万円では6個しか購入できません。
一方、積立利率変動型終身保険は契約時点での解約返戻金(最低見込み額)が100万円だったとしても、その後の運用実績が良ければ払込満了時に150万円になっている可能性があります。解約返戻金が1.5倍になったおかげで、Aの商品を10個購入することができます。このように、インフレに比較的対応できる保険商品が「積立利率変動型終身保険」です。
最低利率の保証がある
不調な経済情勢に連動して積立利率が変わる積立利率変動型終身保険は、経済情勢が悪化するほど大きな元本割れを起こす可能性があります。そのような事態を防ぐため、保険会社は「最低利率の保証」をして契約者の保護を図っています。
積立利率変動型終身保険のデメリット
一般的な終身保険よりも保険料が高い
掛け捨てタイプの保険商品に比べ、終身保険は保険料が割高です。その終身保険と比べても、積立利率変動型終身保険の保険料は高い傾向にあります。これは積立利率が固定されているタイプのものより予定利率を低く設定しているためで、固定型と同じ保険金を準備するには原資となる保険料を固定型よりも多く必要とする仕組みであることが原因となっています。
景気の下降局面では最低保証利率になりやすい
景気が下降局面を辿っていたり、景気が低迷したりしている時には積立利率も下降し、最低保証利率になりやすくなります。
最低保証の利率では保証内容が低い
経済情勢の低迷が継続する場合、払込満了時に解約をしても元本割れのリスクがあります。また、払込満了時からしばらく時間を置いて解約をした場合であっても、積立利率を固定型にしておいた方が良い結果を招くケースもあります。
積立利率変動型終身保険と低解約返戻金型を比較しよう
積立利率変動型終身保険には「積立利率変動型終身保険」と「低解約返戻金型の積立利率変動型終身保険」の2種類があります。
低解約返戻金型終身保険の特徴
払込期間中の解約返戻金を通常より低く設定する代わりに、保険料を割り引く点が特徴です。
低解約返戻金型終身保険を選ぶ利点
保険料が上がることなく、生涯の保障を手に入れることができます。また、終身保険は貯蓄性があるのも利点の一つです。低解約返戻金型終身保険は、保険料の払込終了前に解約をすると解約返戻金が少なくなりますが、払込終了後には解約返戻率が高くなります。
まとめ
今回はインフレに比較的対応した保険商品ご紹介しました。長期の契約を検討する際、「将来の経済情勢を予測するのが難しい」と感じたことがある人も多いのではないでしょうか。利率と連動する商品は、メリット・デメリットをしっかりと理解したうえで検討することをおすすめします。