医療保険のなかにも、保障が一生涯続く終身タイプの保険があります。終身医療保険に入るべきかどうか悩んでいる方向けに、商品の特徴、掛け捨て型・貯蓄型の違い、加入の必要性についてアドバイスをまとめました。保険選びの参考にしてみてください。
目次
終身医療保険の特徴
保険料が変わらない
終身医療保険の大きな特徴が、一度加入すると保険料が変わらないことです。終身型ではない保険(更新型)に加入する場合、年齢が上がると保険料がどんどん高くなっていきます。医療保険は高齢になっていくほど必要性も増していくため、保険料が上がっていく医療保険は避けたいところです。
終身医療保険の保険料は、ほかの保険と同様に、加入時の年齢が若ければ若いほど月々の保険料も安くなります。「保険に入ったほうがいいかも?」と気づいたときが、保険料を節約できるタイミングです。
保険料の払い方については、商品にもよりますが「月払い」「半年払い」「年払い」などの方法があります。まとめて払うと総支払額が安くなる商品もあるため、一度確認しておくとよいでしょう。
保障が一生続く
終身医療保険は、「終身」という名前のとおり、保障は一生涯です。被保険者が死亡するまで、入院や手術、先進医療などの大きな出費に対するリスクに備えることができます。
終身型ではない保険、「定期型」の医療保険と比較してみましょう。例えば、ある共済グループの医療保険(月額2,000円)では、保障期間は18歳~65歳となっているものがあります。66歳になると無保障になってしまい、ケガをしたり、がんが見つかったりしても保障は受けられません。新しい医療保険に入りたいと思っても、健康状態によっては新規加入できない可能性も考えられます。
厚生労働省によると、日本の平均寿命は女性が87.14歳、男性が80.98歳(2016年時点)です。定年を迎えて収入が減っているセカンドライフに備えて、元気なうちに終身医療保険に入っておいて一生涯の保障を手に入れることは、将来の安心につながります。
終身医療保険の2つのタイプ
掛け捨て型
掛け捨て型とは、貯蓄性がないタイプの保険です。この保険には、満期保険金や解約返戻金がありません。病気やケガをしなければただ保険料を払っただけになってしまいますが、月々の保険料が安く設定されているため、「家計が苦しくなるのはイヤだけれど、最低限の保障は欲しい」という方には向いています。
保障の内容そのものは、掛け捨て型も貯蓄型もあまり変わりません。掛け捨て型は保険料が安いために「保障が足りないのでは?」と不安に思われる方もいますが、保険は「相互扶助」の関係で成り立っています。みんなで保険料を出し合って、困っている人がいたら助けるシステムですので、少ない保険料でも大きな保障が得られます。掛け捨て型はシンプルな商品設計であることが多いため、特約というオプションをつけて、三大疾病や先進医療の治療費に備えることも可能です。
貯蓄型
貯蓄型とは、貯蓄性のある医療保険です。保険加入後に支払ってきたお金が、あるタイミングで戻ってくるタイプのものを言います。例えば、一定期間が経つとボーナスのように受け取れるものや、解約したときに「解約返戻金」として積み立てたお金を受け取れる医療保険があります。「ただ払うだけではもったいない」という方や、貯金が苦手な方にも向いているでしょう。
注意点として、貯蓄型の医療保険は保険料が高いことが挙げられます。特約をつけたり、保障内容を手厚くしたりするとより保険料がアップするため、加入する際には「これから何十年も払っていけるか?」といったポイントも慎重に検討しましょう。
終身医療保険は必要?
終身医療保険が「必要な」場合
終身医療保険が必要なケースは、掛け捨ての医療保険に抵抗がある方、将来の保険料の支払いが不安に思う方です。終身型の場合は、働いているうちに保険料を払っておくことで、リタイア後に収入が減ってしまっても保険料を払わずに一生涯の保障を得ることができます。
終身医療保険が「必要ない」場合
貯蓄が十分にあり、急な医療費も払えるのであれば、わざわざ終身医療保険に入る必要はありません。公的な医療保険でも、基本的には医療費の自己負担は3割(小学生以上70歳未満)です。高額療養費制度もあるため、上限を超えた医療費についてはあとで申請して返してもらうこともできます。
また、医療保険を定期的に見直していきたい方も、終身型は不向きでしょう。医療技術が進歩していくと、時代に合わせて保険会社も新しい商品を開発していきます。いま20代の方が、40年後に60歳になったときに、「古い保険で保障が不十分だった・適用外だった」となる可能性も考えられます。それがイヤだという方は、掛け捨て型に入って定期的な見直しを行いましょう。
まとめ
メリットもデメリットもありますが、終身医療保険は保険料がずっと一定で、老後の不安を和らげてくれる医療保険です。いまからできる老後資金対策を始めたい方は、医療保険も「終身型」という選択肢を考えてみてはいかがでしょうか。