投資信託は、手持ちの資金をプロに任せて運用してもらう形式の金融商品です。個別の株式や債券を買うよりも簡単に投資を始められることから、初心者が投資を始めやすい商品ですが、商品ごとの利回りはどのように比較できるのでしょうか。利回りランキングの見方や投資信託のメリットについて解説します。
目次
利回りランキングの見方とは?
毎年発表されるデータをチェック
利回りランキングは、投資信託を取り扱う証券会社で毎年年間利回りが発表されています。例えば、2018年4月時点では、2017年4月1日〜2018年3月31日までを対象期間として年間利回りが公表されています。証券会社によって上位50銘柄のみが表示されているなど形式が異なりますが、まずは利回りランキングを確認し、銘柄選びの参考にしましょう。
債券利回りよりも損失リスクが重要
利回りランキングでは分配金の利回りを確認できますが、分配金は株式や債券の売買によって生じる売却損益や、株式の配当等の収益を基に投資家への分配を行うものです。そのため、保有する商品の価格が下落した場合には、損失が発生し、マイナスの利回りになることもあります。
同じ金融商品でも、例えば債券は市場価格が変動しますが、債券を発行した企業等が倒産した場合を除いて、満期まで保有すれば元本が戻ってくることが保障されています。しかし、投資信託は価格の変動によるリスクがある商品のため、損失リスクに注目することが重要です。
リターンの計算方法
分配金利回りは、分配金÷基準価額で計算される、いわば表面利率に近い概念です。分配金の情報だけでなく、損失リスクも加味した実質的な利回りにも注目しましょう。分配金だけではなく基準価額の評価増減等を織り込むには、現在の基準価額と1年前の基準価額の差異を分配金総額に足して、1年前の基準価額で割ると計算できます。
例えば、基準価額10,000円の投資信託から、年間で1,000円の分配金を受け取った場合、分配金利回りは1,000÷10,000=0.1(10%)です。一方、この投資信託が実は9,500円まで基準価額が値下がりしていた場合、実際には10,000—9,500=500円分の評価減が発生しています。これを差し引くと、(1,000-500)÷10,000=0.05(5%)となり、実質的には5%の利回りであったことがわかります。
このように、投資信託は元本の評価増減を加味した上で実際の利回りを見極め、投資を実行することが大切といえます。
毎月分配型投資信託のメリット
毎月配当金が受け取れる
毎月分配型投資信託とは、その名の通り毎月分配金が受け取れる投資信託のことです。投資信託によって得た利益で生活を豊かにしたい、と思っている人にとっては定期的に収入が得られるため、メリットといえます。
一方で、通常の投資信託では利益を再投資して雪だるま式に利益を増やす複利というメリットがありますが、毎月分配型では利益を受け取ってしまうため複利が得られないデメリットもあります。
ファンドマネージャーに一任できる
個別の株式等の運用では、どの銘柄を買うかに始まり、買う時期や売る時期等を自分で判断する必要があります。毎月分配型投資信託に限らず投資信託では商品を選択さえすれば、後の運用をファンドマネージャーに一任できます。投資に割ける時間が少ない人でも取り組みやすい点は、投資信託で積立を行うメリットといえます。
投資信託の分配金で生活するには?
必要なお金をシミュレーション
分配金のみで生活したい、と考えるのであれば、まずいくら生活費に必要なのかをシミュレーションしてみましょう。家賃や食費などの生活に絶対必要なものだけではなく、医療費などの雑費も組み入れて計算します。ちなみに2016年に総務省が発表した家計調査によると、2人以上世帯の平均支出額は一ヶ月あたり約30万円となっています。
目標利回りを算出して判断
自分が投資に回せる金額を基に、生活費程度の分配金が得られる商品を探してみましょう。元手が少なければ、高い利回りの商品を選択する必要がありますが、同時にリスクも伴います。元手があまりない場合には、分配金のみで生活することを目指すのではなく、まずは元手を増やすことを考えた方が良いかもしれません。
また、市場の変動に伴い基準価額も変動する可能性があるほか、分配金に回す収入が減る可能性もあることから、長期にわたって同じ分配金利回りが保障されるとは限りません。そのため、分配金は生活費の足しにはなりますが、それだけで生活ができるものではないと言えるでしょう。
投資信託の注意点は?
担当者が知識不足の場合もある
投資信託を購入する際に注意すべき点として、どのようなことがあるでしょうか。まず、銀行や証券会社から勧められた銘柄を購入する場合、担当者によっては顧客のニーズが上手くくみ取れていない可能性があります。自身でしっかりとコストや利回りの情報等を確認し、判断できるようにしましょう。
国債はローリスクローリターンの傾向
国債は、政府が発行する債券であり利率は低いですがリスクが少ないといえます。そのため、国債を組み入れた投資信託は、ファンドマネージャーの運用の巧拙に左右されることが少なく、リスクを抑えた運用をしやすいです。リスクを避けて運用したい人は、国債を組み入れた商品も検討しましょう。
低リスクのバランス型ファンドも検討
バランス型ファンドは、複数の資産を組み合わせることにより、ひとつの資産が値下がりしても他資産の価格が下がらなければ、大きな値下がりを防げるメリットがあります。また、組み合わせた資産の値上がり・値下がりにより、資産の構成比率が変化した場合、自動的にリバランスを行います。そのため、手数料はやや割高ですがリスクを簡単に分散したい場合には、こうしたファンドを検討することがよいでしょう。
まとめ
投資信託は、ファンドマネージャーに資金を預けて運用してもらうため、初心者でも始めやすい金融商品です。ただし、銀行の定期預金などとは違いリスクも伴います。実際の投資にあたっては、利回りの見方や、商品の特性等などをよく調べ、目標リターンを達成していきましょう。
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