保険料が加入時からずっと変わらない終身医療保険には、多くの人が魅力を感じます。とはいえ、何十年にもわたって保険料を払い続けることに不安を覚えたり、いま決めた保障内容が将来の医療リスクに本当に対応できるのか気になったりする人も少なくないでしょう。
終身医療保険は、加入時の年齢や保険料の仕組み、保障の続き方を理解してから選ばないと、後になって「思っていたものと違った」と感じかねません。この記事では終身医療保険の特徴や支払い方法の種類、そして本当に必要かどうかを判断する視点を紹介します。人生設計における医療保険選びの参考にしてください。
終身医療保険の特徴とは
終身医療保険とは、病気やケガによる入院や手術に、生涯を通じて備える保険です。定期タイプの医療保険と異なり、保険期間に終わりがない点が最大の違いといえます。まずは終身医療保険に共通する3つの特徴を見ていきましょう。
保険料が一生変わらない
終身医療保険は、加入時から保険料の払込が終わるまで、保険料の金額が変わりません。たとえば20歳で加入したときの保険料が月2,000円だった場合、40歳になっても60歳になっても同じ2,000円のまま続きます。年齢とともに保険料が上がっていく心配がないことは、終身医療保険の大きなメリットです。
保障が一生続く
保険契約が続いている限り、保障は一生涯にわたって続きます。契約の途中で入院して入院給付金を受け取っても、それを理由に契約が終了したり、年齢によって保障内容が引き下げられたりすることはありません。ただし、通算の支払い限度日数を超えた場合は契約が終了します。給付金を受け取れる日数には上限があることを覚えておきましょう。
貯蓄型と掛け捨て型の2タイプがある
終身医療保険には、大きく「貯蓄型」と「掛け捨て型」の2タイプがあります。貯蓄型は途中で解約した際に解約返戻金を受け取れる一方、保険料は掛け捨て型より割高です。掛け捨て型は解約返戻金がありませんが、保険料は貯蓄型より割安に設定されています。
| タイプ | 解約返戻金 | 保険料の目安 |
|---|---|---|
| 貯蓄型 | あり | 割高 |
| 掛け捨て型 | なし | 割安 |
ここで注意したいのは、「貯蓄型」という名前が与える印象です。名前から貯蓄性の高い商品を想像する人もいるかもしれませんが、他の貯蓄性金融商品と比べると、貯蓄性が高いとは言い切れない場合があります。解約返戻金が払込保険料の総額と同じ水準になるまでには、長い年数がかかるのが実情です。それでも、利用目的や医療保険への考え方によっては、選択肢として十分に魅力的なタイプだといえるでしょう。
終身医療保険の支払い方法の種類
終身医療保険には、保険料の払い方を選べる商品が多くあります。払い方によって月々の負担や総支払額が変わるため、自分の収入計画に合わせて選ぶことが大切です。支払い方法は主に3種類あります。
終身払い
生存中はずっと保険料を支払い続ける方法です。払込期間が決まっている有期払いよりも、月々の保険料が割安になるメリットがあります。ただし、高齢になったときの保険料負担が予想以上に重く感じられる可能性は否めません。長寿になるほど払込総額が増えていくため、結果的に有期払いのほうが総額で安く済むケースもあります。
有期払い
「20年払込」や「70歳払込」のように、あらかじめ保険料の払込期間を定めて支払う方法です。十分な収入を得られる現役の間に払込を終えたい人に向いています。一方で、払込期間が終身払いより短いため、月々の支払金額は終身払いよりも割高になることが多い点は理解しておきましょう。
一時払い
契約時に保険料を1回でまとめて支払う方法です。終身払いや有期払いに比べて保険料が割り引かれる商品もありますが、その分まとまった資金を準備する必要があります。手元の資金を使って、生涯にわたる保障を早めに確保したい人に向いた方法です。
| 支払い方法 | 特徴 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 終身払い | 生涯支払い続ける。月々の負担は割安 | 月々の負担を抑えたい人 |
| 有期払い | 期間を決めて支払う。月々の負担は割高 | 現役中に払込を終えたい人 |
| 一時払い | 契約時に一括で支払う | まとまった資金がある人 |
終身医療保険は必要?
一生涯続く保障はとても魅力的ですが、保険期間が定まっている定期タイプよりも保険料が割高になりやすいため、加入するかどうかで悩む人は少なくありません。終身医療保険を検討する際は、入院時の保障に対して自分がどのような考えを持っているのかを、まず明確にすることから始めてみてはいかがでしょうか。判断の軸になる考え方を紹介します。
若いときに加入すれば高齢時の保険料の負担が少ない
生命保険は、加入時の年齢が若いほど保険料が安くなる仕組みです。終身医療保険の保険料は、加入後にどれだけ年齢を重ねても変わりません。そのため、若いうちに加入しておけば、高齢になったときも少ない保険料負担で保障を確保できます。これは大きな安心材料になるでしょう。
高齢になっても入院給付金が受け取れる
終身医療保険の保険期間は一生涯です。何歳で入院しても入院給付金を受け取れる点は、大きな強みといえます。一般的に、年齢が上がるほど入院のリスクは高まる傾向があります。終身医療保険に加入していれば、費用面の不安を抑えながら治療に専念しやすくなるでしょう。
貯蓄や資産がある程度ある人は不要
公的医療制度には、一定額を超えた医療費が払い戻される高額療養費制度があります。医療費の自己負担割合は、70歳未満が原則3割、70〜74歳は原則2割(現役並みの所得がある人は3割)、75歳以上は原則1割です。ただし75歳以上でも、一定以上の所得がある人は2割、現役並みの所得がある人は3割となるなど、実際には所得によって負担割合が変わります。
この公的医療制度が将来も続くと仮定すれば、ある程度の貯蓄や資産を保有できている人は、終身タイプの医療保険が必ずしも必要とは限りません。とはいえ、国内の年齢分布の変化にともなって医療制度そのものが見直される可能性もあります。制度が変わるリスクも踏まえたうえで、加入の判断をすることが望ましいでしょう。
まとめ
終身医療保険は、保険料が変わらず保障が一生涯続く安心感が魅力です。一方で、定期タイプの保険に比べて保険料が割高になりやすく、支払い方法も複数あるため、検討から決定までに時間がかかることも珍しくありません。
まずは自分が医療保険に何を求めるのか、優先順位を整理してみましょう。保険料の負担を抑えたいのか、高齢期の保障を重視したいのか、貯蓄や資産の状況はどうかといった点を確認しながら、自分に合った一本を見極めていくことが大切です。




