もし、死亡保険金の支払い事由が発生した時に、保険金の受取人が死亡していたら保険金は誰に支払われるのでしょうか。また、保険金を請求する時は誰がどのように行うのでしょうか。受取人変更の手続きをしていなかったために起こりうるケースも合わせて紹介します。
目次
受取人が死亡の場合、請求者は誰?
法定相続人が死亡した人に代わり保険金を請求
受取人が死亡した場合、保険金の請求は受取人の法定相続人(略:相続人)が行います。相続人は保険会社に問い合わせ、死亡診断書や戸籍謄本などの必要な書類を準備します。また、相続人全員が確認できる資料の準備も必要です。もし、相続人が複数いる場合はその中から代表受取人を決めて請求手続きを進めます。
生命保険の受取人が死亡した場合は相続できる?
受取人の法定相続人が受け取る「Aさんが契約者 = 被保険者、Bさんが受取人」のケースで考えてみましょう。
1. Bさんは健在・Aさんが死亡の場合 → Bさんが死亡保険金を受け取る。
2. Bさんが死亡後にAさんが死亡の場合 → Bさんの「相続人」が死亡保険金を受け取る。
もし、Aさんに相続人がいたとしても保険金受取人はBさんの相続人になります。(例:Aさんの死亡保険金をBさんの配偶者や子供が受け取る)
法定相続人の範囲とは
民法では、相続人の範囲を被相続人の配偶者と一定の血族に限っています。これを「法定相続人」といい、その範囲は「配偶者、子(養子含む)、孫、直系尊属(父母、祖父母)、兄弟姉妹、甥・姪」となっています。
法定相続人で均等に分ける
本来の相続においては、相続人が保険金を受け取る際には相続の順位や割合が決められています。しかし、死亡保険金の受取人が被保険者よりも先に死亡していた場合、保険金は受取人の相続人で「均等」に分けることになります。
受取人の法定相続人に課税される税金は?
死亡保険を受け取った場合、「誰が保険料を負担しているか」「誰が被保険者か」「誰が保険金を受け取ったのか」によって、課税される税金の種類が変わります。具体的なケースは次のとおりです。
「契約者=被保険者」は相続税の対象
契約者と被保険者が同じ場合、受け取った死亡保険金は相続税の課税対象になります。死亡保険金を受け取った人が被保険者の相続人の場合は「500万円 × 法定相続人の数」の非課税限度額があります。死亡保険金を受け取った人が被保険者の相続人でない場合、死亡保険金の非課税枠は適用されません。そのため、保険金の全額が課税対象となります。
「契約者≠被保険者」は贈与税または所得税の対象
契約者と被保険者が異なる場合、死亡保険金の受取人が誰になっているかによって課税対象が異なります。もし、受取人が契約者と別人の場合は「贈与税」の課税対象です。また、受取人と「契約者」が同じ場合は一時所得になるため所得税の課税対象になります。
受取人が死亡した場合は法定相続人と契約者の関係次第
受取人が死亡した場合、受取人の相続人が受け取る保険金は相続税の課税対象になります。ただし、受取人と被保険者の相続人が同じ場合は非課税枠の適用があるのに対し、受取人と被保険者の相続人が異なる場合は非課税枠の適用がありません。また、相続税が2割加算される場合もあります。
生命保険の受取人が死亡したときにやっておくべきこと
受取人の変更手続きを行う
生命保険の受取人になっている人が死亡した場合、契約者が保険会社に連絡して「受取人変更」の手続きを行います。なお、受取人を変更する時は「被保険者の同意」が必要です。手続きが終了したら「ご契約内容変更のお知らせ」が届きますので、保険証券と合わせて大切に保管しておきましょう。
受取人は原則として配偶者と2親等以内の血族
生命保険の受取人は、被保険者の配偶者および2親等以内の血族(1親等:父母や子、2親等:祖父母や兄弟姉妹、孫など)を原則としています。
受取人変更の手続きを行ってない場合のケース例
離婚した夫婦の場合
夫が被保険者で、妻が受取人の生命保険契約をしている夫婦が離婚をして、受取人変更の手続きを行う前に夫が死亡した場合、死亡保険金は誰に支払われるのか、考えてみましょう。
・受取人変更手続きの前に夫が死亡 → 元妻が受け取る
・再婚していない元妻が夫より先に死亡していた場合 → 元妻の相続人が受け取る(子供や元妻の親など)
・再婚した元妻が夫より先に死亡していた場合 → 元妻の相続人(再婚相手や子供など)
なお、保険金を請求できる期間は保険事故発生時から3年です。3年を超えると時効を迎え、請求権が消滅します。法定相続人が保険金受取の手続きを行う時は、相続人全員の戸籍謄本や印鑑証明が必要です。もし相続人の一人と連絡が取れない状態だった場合は、手続きが難航することも考えられます。
まとめ
受取人の変更を忘れている時に万一のことが起こると、ケースによって手続きが煩わしくなったり、実質の保険金受取人が変わったりしてしまいます。定期的に保険の内容をチェックし、契約内容に変更があればすぐに手続きを済ませましょう。