原付から大型までさまざまな種類があるバイクですが、自動車の任意保険にあたる「バイク保険」があることをご存じですか?この記事では、バイクに乗る人が知っておくべきバイク保険の基本から補償の種類、見積もりや加入の方法まで詳しく解説します。
目次
任意保険のバイク保険って?
自賠責保険は加入が義務
バイクに乗る人が必ず加入しなければならない保険が「自賠責保険」です。強制保険とも言われ、加入することが法令で義務付けられています。自動車に乗る人であれば車検の際に更新するため、よく知っているかもしれません。
バイク(二輪車)として扱われる乗り物であれば、50ccの原付から大型のものまですべて自賠責保険の加入の対象です。新規で購入するときは販売店が加入手続きをしてくれることが多いため、加入忘れの心配はそれほどありません。また、250cc以上のバイクであれば、車検を受ける際に自動車と同じように自賠責保険も更新します。
更新忘れの危険性があるのは、車検がない250cc未満の小型バイクです。自賠責保険が切れたことに気づかずにそのまま乗り続けてしまい、事故を起こしてしまったというケースは少なくありません。
自賠責保険は強制加入であるため、未加入の場合には罰則が適用されます。50万円以下の罰金または1年以下の懲役、免許停止などの比較的重い処分が科されることになります。さらに、事故を起こした際の相手への補償も自分で行わなければなりません。
自賠責保険を補うのが任意バイク保険
強制保険である自賠責保険は、保険料が一律となっています(一部独自の割引を行っているケースなどもあります)。同じように、保険金の支払い限度額も決まっており、あまり高い金額設定ではありません。大きな事故の場合には、全てをまかないきれない可能性もあります。
自賠責保険で不足している部分を補うのが、任意保険であるバイク保険です。“任意”とある通り、法令で義務付けられているわけではありません。どの程度の補償にするかは自分で決めることができ、自賠責保険に上乗せする形で加入することになります。
バイク保険が必要な理由とは?
高額の補償が発生する恐れがある
先ほど書いたとおり、自賠責保険は加入が義務であるものの保険金額が十分とはいえない一面があります。加えて、自賠責保険で補償されるのは相手のケガや死亡のみである点にも注意が必要です。
例えば相手にケガをさせてしまった場合、支払いの限度額は120万円です。相手を死亡させてしまった場合は3,000万円、ケガで重度の後遺障害が残った場合は4,000万円(※介護を要する場合)が支払い限度額となっています。
また、物に対する損害は、原則として補償の対象外です。バイクに乗っていて自動車と接触し、相手の車に損害を与えた場合の修理費用など、物に対する損害賠償は自己負担となります。
過去に実際にあった賠償判決では、物に対する賠償が1億円以上、人に対する賠償では3億円以上となった例もあります。そのため、限度額の範囲をはるかに超える損害賠償を請求されてしまうことも想定しておかなければなりません。
任意のバイク保険の補償内容って?
相手方に対する補償
任意保険であるバイク保険には、どのような補償があるのでしょうか。
まずは事故の相手方に対する補償です。「対人賠償保険」では、バイクに乗っていて起きた事故によって相手にケガを負わせてしまったり死亡させてしまったりした場合に、自賠責保険の限度額を超える損害賠償が補償されます。「対人」という名称からもわかるように、加入者本人のケガや死亡へは適用されません。
「対物賠償保険」は、バイクに乗っていて起きた事故によって他人の自動車や建物などに損害を与えてしまった際に、その賠償金額が補償されます。先ほども説明しましたが、自賠責保険では物に対する補償が受けられないため、任意のバイク保険に入っていなければ全額が自己負担となってしまいます。
運転者と同乗者への補償
バイクに乗っていた人がケガを負ったり死亡したりした場合に保険金が支払われるのが「搭乗者傷害保険」です。ちなみに、「搭乗者」とは、運転者だけでなく同乗者も含まれます。
また、事故は相手がいる場合のみとは限りません。単独で事故を起こしてしまったときに補償してくれるのが「自損事故保険」です。補償される例として、電柱への衝突・崖からの転落などの相手のいない事故や、相手の過失がゼロである事故が挙げられます。このようなケースにおいて発生した運転者・同乗者のケガや死亡に対して保険金が支払われます。
自分が被害者になってしまう事故もあります。その際、相手が対人賠償保険に加入していないことも考えられます。また、入っていたとしても条件に違反していたり、限度額が低く設定されていたりすることもあり得ます。このような理由で相手から十分に補償を受けられないときには、「無保険車傷害保険」へ加入していれば保険金が支払われることがあります。
「人身傷害補償保険」では、契約車両に乗っていた人がケガをしたり死亡したりした場合に、過失割合に関係なく実際に発生した損害額が補償されます。先述の「対人賠償保険」は他人に対する補償でしたが、この「人身傷害補償保険」は加入者本人を補償してもらうためのものといえます。
自分のバイクに対する補償
事故の際に自分のバイクが傷ついてしまうケースは多く、場合によっては全損ということも考えられます。そのような際、修理代などが支払われるのが「車両保険」です。単独事故であっても対象となるほか、当て逃げ・盗難などの被害を受けた場合にも補償を受けることができます。
バイク保険の保険料相場って?
排気量で保険料は変わる
保険料がほぼ一律である自賠責保険とは違い、任意のバイク保険の保険料は契約内容とバイクの排気量で決まります。例えば、対人賠償・対物賠償:無制限、搭乗者傷害:200万円とし、契約車両を日常的に使用しているゴールド免許所持者が新規加入した場合、年間の保険料は以下のようになります。
・原付バイクを含む125cc以下…約28,000円から約74,000円
・125ccを超え250cc以下…約43,000円から約133,000円
・250ccを超えるもの…約43,000円から約133,000円
これはあくまでも目安であり、同じ排気量でも保険会社によっては保険料が異なることもあるため、詳しくは問い合わせ・確認等を行ってください。
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年齢を限定すると安くなる
保険料を左右する要素として、「年齢」も挙げられます。先ほどの例では、年齢を問わず補償する設定として保険料を紹介しました。保険会社によっては、搭乗者の年齢を一定の年代で区切り、補償範囲を限定することで保険料が安くなるプランが用意されていることもあります。
一般的に、年齢が低い人ほど事故を起こす確率が高いといわれます。そのため、運転者が若くても補償する年齢不問のタイプは、保険料も割高に設定される傾向にあります。もし一定の年齢以上の人しか乗らない場合、年齢制限のあるプランにした方が同じ補償内容でも安くバイク保険へ加入することができます。
家族の中で複数人が同じバイクに乗る場合、一番若い人の年齢を加味して補償プランを選びましょう。例えば、21歳以上を補償するプランに加入したバイクを19歳の人が運転して事故を起こした場合、その事故は補償対象外となるため注意が必要です。
バイク保険の保険料について、排気量や年齢ごとの相場を以下の記事にまとめてあります。ぜひ参考にしてみてください。
原付におすすめのバイク特約って?
自動車保険の特約
自動車保険の中には「ファミリーバイク特約」を付加できる商品があります。自分または同居家族が加入している自動車保険へこの特約をプラスすると、バイクについても保障対象とすることができます。
加入条件
ファミリーバイク特約へ加入できるのは、以下の2点に該当する場合です。
1.バイク運転者本人か、同居の家族が任意の自動車保険に入っていること
2.バイクの排気量が125cc以下であること
これらを満たしていれば、自動車保険へファミリーバイク特約を付けることができます。
ファミリーバイク特約のメリット
ファミリーバイク特約を使うと、保険料を安く抑えられることがあります。単独でバイク保険に加入すると年間約30,000円前後の保険料がかかりますが、ファミリーバイク特約の保険料は年間約10,000円程度であるケースが多くなっています。
対象のバイクで事故を起こしてもノーカウント事故となることが多く、自動車保険の等級には影響しません。また、自動車保険で運転者に年齢条件を付けていても、ファミリーバイク特約では全年齢が対象となります。契約するバイクに台数制限はなく、借りたバイクに乗っていた場合でも補償を受けられます。
ファミリーバイク特約のデメリット
すべてのケースでファミリーバイク特約の方が保険料が安くなるというわけではなく、人身傷害補償を付ける場合などはバイク保険の方が安いこともあります。また、同じバイクを長く乗り続ける場合も、通算するとバイク保険の方が保険料を抑えられることがあります。補償内容を手厚くしたい場合や新車で購入する場合などは、よく比較してみることが大切です。
また、ファミリーバイク特約はあくまで特約であるため、本体の自動車保険を解約するとバイクへの補償もなくなる点、125cc以上のバイクはファミリーバイク特約の対象外である点などにも注意してください。
バイク保険の選び方、ポイントは?
代理店型とダイレクト型の違い
バイク保険に加入したい場合、どうすればいいのでしょうか?大きく分けると代理店型・ダイレクト型という2通りの加入方法があります。
代理店型は、バイク販売店・保険代理店などでバイク保険へ加入する形式です。担当者を通じて加入申し込みを行う対面式であり、代理店に対する中間コストが保険料へも反映されることになります。
一方ダイレクト型は、電話やインターネットなどを通じてバイク保険へ加入する形式です。加入希望者と保険会社が直接やり取りを行うため、中間コストが発生しない点が特徴といえます。
特約やサービスを比較
バイク保険を取り扱っている会社は少なくありません。どの会社のバイク保険へ加入するか迷った際には、特約やサービスの内容を比較してみることもひとつの方法です。
特にロードサービスについては、事故以外のトラブルについてもサポートしてもらえることがあるため、内容についてはきちんと把握しておきましょう。また、サービスの対象となるのが継続加入者のみというケースもあるため、事前に確認しておいてください。
複数の見積もりを比較
保険会社によっては、リスク分散型のバイク保険を販売しているところもあります。免許の色や走行距離、使用目的、性別などの項目によって事故リスクを判断し、保険料を算出するという形式です。ただし、すべての人の保険料が安くなるわけではありません。
保険料を比較したい場合、一括見積もりサイト活用したり、保険代理店で複数社の見積もりを作成してもらったりすることをおすすめします。方法については次の項で詳しく紹介します。
また、以下の記事では独自のアンケート調査にもとづいて年代別・性別におすすめのバイク保険やその特徴をまとめています。あわせて確認してみてください。
バイク保険の見積もり方法って?
店頭
バイク保険の見積もりを取るには、加入申込と同じように対面式・インターネットから行う方式の2通りがあります。
対面式で話を聞きながら見積もりをしてもらいたいという人は、「車検証」「免許証」を持って代理店に見積もりを依頼します。他社からの移行を検討している場合、加入中のバイク保険の「保険証券」も持参してください。
依頼するときには「対人賠償」「対物賠償」「搭乗者傷害保険」「人身傷害保険」をそれぞれいくらにするか決めておきましょう。判断が難しい場合は代理店の担当者に相談すると適正な価格を提案してくれます。
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一括見積りサイトやホームページ
インターネットで見積もりを行う場合には、一括見積もりサイトや各保険会社のホームページなどを利用します。必要な書類は対面式で見積もりを依頼する場合と同じです。他社からの移行を検討している人は、現在の契約内容を入力すれば、同じ補償で保険料がいくらになるのか知ることができます。
まとめ
バイク保険の種類や補償内容、保険料などについて解説しました。加入が義務付けられている自賠責保険には保険料や補償内容の違いは基本的にありませんが、任意のバイク保険は各社さまざまな商品を取り扱っています。本文中でも紹介した通り、判断に迷った場合や詳しい説明を聞きたい場合などは、気軽に保険代理店を活用してみましょう。複数のバイク保険を比較することや、補償金額の設定方法を教えてもらうことなどができるためおすすめです。
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