海外旅行に出かける際に加入することもある海外旅行保険。クレジットカードを利用している場合に自動的に加入している場合や、一般の保険会社で申し込むケースもあるのではないでしょうか。今回は、海外旅行保険は必要なのか、そして子供がいる場合におすすめの海外旅行保険は何なのかを徹底解説します。
目次
海外旅行保険とは?
海外旅行のトラブルに備える保険
海外旅行保険は、海外旅行中の万が一のトラブルに備えるための保険です。海外旅行中のトラブルの例としては、ケガをして病院にかかった場合や、手荷物が紛失・破損した場合、飛行機が遅延し宿泊代が余計にかかる場合などがあります。
海外旅行保険は、トラブルによって発生した金銭を補償します。保険会社によって補償内容は異なりますが、基本的には以下の7つとなっています。
・傷害治療
・疾病治療
・傷害死亡
・疾病死亡
・賠償責任
・携行品損害
・救援費用
海外旅行保険が必要な理由は?
海外の医療費は高額
海外旅行保険が必要な理由として、海外の医療費が高額な点が挙げられます。例えば、日本で盲腸となり手術した場合、入院期間が1週間であれば費用は40万ほどかかります。健康保険に加入時の場合は3割負担になるため、実際の支払い金額は12万です。
海外で同じように治療する場合、国と地域により金額も変わりますが、基本的には日本よりも高額な治療費がかかります。ロンドンの場合は2~3日の入院で治療費が1,302,800円~1,737,100円、ロサンゼルスの場合は2日の入院で1,624,400円~2,165,800円です。アジアの場合、バンコクは2~3日の入院で511,000円、上海では7日間の入院で112,500円となります。
公的な保険ではカバーしきれない
日本の健康保険には「海外療養費制度」と呼ばれる制度があり、海外の治療も給付の対象となります。ただし、「海外療養費制度」は実際にかかった医療費すべてが負担されるわけではありません。日本国内で治療した場合の治療費を基準に計算する仕組みになっており、日本で治療した場合にかかる費用から自己負担分を差し引いた金額が給付金額になります。
先ほども説明したように、海外での治療費は日本よりも高額になる可能性が高いため、保険ではカバーしきれない可能性が高いです。また、国によっては救急車を呼ぶと費用が発生する場合や、救急車に同伴できず家族は別途タクシー等で病院に向かう場合など治療以外の費用が発生することもあります。
医療を受けにくい
海外では、医療システムの違いや言語の問題などによって医療を受けにくい場合もあります。例えば、海外の場合は自由診療のため診察は通常予約制です。
医師も一般医と専門医にわかれており、一般医が一度診療し対処できない場合に専門医を紹介する形になっています。そのため、近くの病院を訪れても治療が受けられないケースがあります。
また、治療を受ける場合は病状を医師に伝える必要があります。現地の言葉を流暢に話せない場合には自身の症状を伝えるのが難しく、適切な治療に至らないケースも考えられます。途上国など国や地域によっては、適切な治療が受けられず、別の国や地域の医療機関に移送されるケースもあるかもしれません。
海外での治療は、日本と同じようにはいかない、ということを覚えておいた方が良いでしょう。
海外旅行保険の主な補償
ケガや病気に対する補償
海外旅行保険の主な補償として、自身のケガや病気に関するものが挙げられます。例えば、病気やケガによる治療を行った場合の治療費や、家族が現地に向かう際の交通費や宿泊料といった救援者費用です。ただし、治療といっても原則として歯科治療は対象外となるので注意しましょう。
また、海外旅行中のケガや病気が原因となって死亡もしくは後遺障害が残った場合も、症状に応じた保険金を受け取ることができます。保険会社によっては、旅行中に感染した病気が原因で帰国後に死亡した場合も補償の対象となることがあります。
他人や物を傷つけたときの補償
海外旅行保険中は、他人や物を傷つけた場合に発生する賠償責任も補償します。海外旅行保険で補償されるものの例は以下の通りです。
・海外旅行のためにレンタルしたWi-Fi機器を壊してしまった場合
・ホテルのルームキーを紛失してしまった場合
・買い物中に店の商品を壊してしまった場合
ただし、故意に物を壊してしまった場合は保険の対象外など、補償されないこともあります。
盗難にあったときの補償
国や地域によっては、ひったくりが多発するなど治安が良くない場所もあります。万が一海外旅行中に荷物が盗難にあった場合、海外旅行保険の携行品損害で補償できます。
ただし、置き忘れや紛失の場合は補償されません。また、通貨や小切手、クレジットカードなど現金に該当するものは盗難補償の対象外です。
補償が適用となった場合は、被害にあった品物の修理費もしくは品物の時価額となります。盗難だけでなく破損の場合も対象となるので、もしもの際は利用しましょう。
旅程の変更に対する補償
保険会社により補償内容は異なりますが、旅程の変更により発生した追加費用を補償する海外旅行保険もあります。旅程の変更に対する補償の一例は以下の通りです。
・預けた手荷物の到着遅れにより、別途身の回りの衣類等を購入した場合の費用
・飛行機の出発や到着が遅れたことによって発生した宿泊費や食事代
・空港行の列車がトラブルで停止したことによって、予約した飛行機に間に合わなかった場合の交通費や宿泊費、食費など
また、トラブル等で旅行の予定が狂った場合にかかった費用の補償だけでなく、付帯サービスで通訳や別の飛行機の予約などを行う保険会社もあります。
海外旅行保険には無料サービスもある
主な付帯サービス
海外旅行保険には、補償だけでなく無料の付帯サービスもあります。代表的なものとしては、日本語サポートの電話サービスです。
治療を受けられる病院の紹介や、病院の予約について日本語で相談できます。会社によってサービス内容は異なりますが、24時間365日電話を受け付けている会社もあります。更に荷物が盗難・紛失した場合にどうすれば良いのかの案内をする会社や、航空券・宿泊施設の予約を代行する保険会社もあります。
クレジットカード付帯のではダメ?
保険会社の商品との違い
クレジットカードによっては、海外旅行保険が付帯しているものもあります。クレジットカードに付帯している海外旅行保険と損害保険会社の海外旅行保険の大きな違いは、保険料です。クレジットカードに付帯する海外旅行保険は、基本的には利用するための保険料はかかりません。
ただし、利用しているカードによって、自動付帯、あるいは利用付帯という条件が定められています。海外旅行保険が自動付帯されているカードを持っている場合、カードを保有していれば自動的に保険の対象となります。
利用付帯となっている場合は注意が必要です。旅行費の支払い、あるいは空港に向かう際の交通費等をカードで決済しなければ保険の対象とはなりません。
また、保険期間が延びた場合の手続きにも違いがあります。保険会社で加入する海外旅行保険の場合、補償期間が設定した旅行期間のみとしていることが多いです。そのため、不測の事態で期間が延びた場合、延長の手続きが必要な場合や延長ができないこともあります。
クレジットカードの場合は、1回の旅行につき保険期間が90日間と長期間のものが多いため、滞在期間が延長しても手続きは不要なケースがほとんどです。ただし、治療費用の補償は50万から200万円などに設定されているなど、保険会社の海外旅行保険に比べるとクレジットカードの場合は補償費用が少ないです。また、保険会社の旅行保険ほど特約等の付帯サービスが充実していない点も注意が必要といえます。
保険会社の商品と併用可能
クレジットカードの海外旅行保険の場合、保険会社の保険と併用が可能です。つまり、自身が利用しているクレジットカード付帯の海外旅行保険の補償をベースに、足りない補償を保険会社の海外旅行保険で補填するといった利用もできます。
例えばクレジットカード付帯保険では、キャッシュレス診療や、飛行機の遅れによる損害をカバーする補償に対応していないことがあります。保険を併用する場合には、どこからどこまでが補償されるかをよく確認すると、保険のムダがなくて良いでしょう。
他のカードと合算できる補償もある
クレジットカード付帯の海外旅行保険は、ケガや病気での治療費を他のカードと合算できることがあります。一般的にクレジットカードの海外旅行保険は、損害保険会社の海外旅行保険に比べると治療費の補償が少ないです。そのような場合は、複数のカードを利用することで補償額を上げることができます。
ただし、死亡時や後遺障害の補償の場合は最高額のクレジットカードの補償が適用となり、合算はされないので注意しましょう。また、先ほども説明しましたが利用付帯のカードを所有している場合は、旅行代金などをカードで決済しないと保険が適用されません。
関連記事の「海外旅行保険の必要性は?必須補償やクレジットカード付帯の保険とは」で、より詳しい内容が確認できます。
海外旅行保険の選び方
クレジットカードの保険を確認
海外旅行保険を選ぶ際は、まず利用しているクレジットカードの保険を確認しましょう。もしカードに海外旅行保険が付帯している場合は、自動付帯か利用付帯かについても注意しましょう。
利用付帯のカードの場合は、利用条件を満たさないと海外旅行保険が適用されません。カードの保険が対象となると思っていたら実際は利用できなかったという事態に陥らないためにも、事前の確認が大切です。
また、クレジットカードの場合は会社によって、契約者や家族カード保持者のみが海外旅行保険の対象となる場合があります。クレジットカードを契約できない18歳以下の子供がいる場合には、保険の対象者も確認するようにしましょう。
セットプランとフリープランの違い
保険会社の海外旅行保険にはセットプランとフリープランがあります。一般的なセットプランの補償は以下の通りです。
・傷害治療
・疾病治療
・傷害死亡
・疾病死亡
・賠償責任
・携行品損害
・救援費用
一方フリープランは、補償項目や補償額を個別に選ぶことが可能なプランです。クレジットカードに付帯する海外旅行保険を併用する場合や、特定の補償に重点をおきたい場合などに利用すると良いでしょう。ちなみに、次の項で説明するファミリープランも、フリープランの中の一つになります。
夫婦や子供連れはファミリープラン
保険会社の海外旅行保険には、ファミリープランと呼ばれる「家族旅行特約」があります。ファミリープランの加入条件は、家族全員が出発日から帰国日までが同じであることです。保険会社により、契約者と家族が同じ補償項目を利用することや、契約者の補償額以下の設定に家族の補償金額は設定するといった条件もあります。
ファミリープランの契約が可能な家族の範囲は、以下のようになっています。
・契約者本人の配偶者
・同居の親族(同一生計)
・別居の未婚の子(同一生計)
ファミリープランに加入するメリットは、保険証券が1枚で管理できる点です。更に携行品補償や、個人賠償責任補償といった一部の補償を家族で共有することにより、個人用プランに家族それぞれで加入するより安く契約することができます。特にクレジットカードを契約できない18歳以下の子供がいる家庭には、ファミリープランがおすすめです。
治療費用と救援者費用を重視
海外旅行保険を選ぶ際は、高額になりがちな治療費用と救援者費用に重視して選びましょう。治療費用と救援者費用は国や地域により総額が変わってきます。
あらかじめ、外務省等のサイト等で旅行先で病気やケガをした場合にどのくらいの費用が発生するのか確認をしましょう。その上で自身に必要な補償金額はいくらか算出し、現状の保険でいくら不足しているのかを考えます。そして、不足分を別のクレジットカードや、保険会社の海外旅行保険で補うと良いでしょう。
またクレジットカード会社の保険の多くは、現地での治療費を建て替えた後、帰国後に請求する仕組みになっています。必要に応じて、キャッシュレスで対応可能な海外旅行保険を契約しておくと、もしもの場合安心です。
まとめ
海外旅行保険には、クレジットカード会社の付帯保険と保険会社で契約する保険の2種類があります。状況や必要とする補償により、保険会社の海外旅行保険に加入した方がいいのかどうかは変わってきます。記事を参考に現状の自身の補償に不足しているのは何かを考えて、保険を選びましょう。
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