けたたましいサイレン音やスピーカーの声などで、救急車を見かけたことがある人は多いものですが、救急車の費用などについて知っていますか?この記事では救急車について詳しく解説していきます。救急車を呼ぶか迷った際についても解説しているので参考にしてください。
目次
救急車の出動費用はいくら?
救急車の料金は無料
救急車は、急病人などが出て一刻も早く処置をしなければならないときに利用するものです。2018年6月現在、救急車で病院へ搬送されるまでは無料となっています。ただし、無料で利用できるのは搬送までで、搬送後の病院にかかる費用などは、別途必要となります。
救急車は病院などの医療機関でも独自に所有しています。救急車を所有する医療機関で受診中や入院中などに転院搬送が必要となった場合にも、救急車が利用されます。この際の搬送料金も、基本的には無料です。
無料なのは税金でまかなわれるから
日本では、救急車の運用は行政サービスの1つとされており、その費用は税金でまかなわれております。そのため、救急車は無料なのです。
ちなみに、救急車が1回出動するのに必要な費用は、およそ45,000円です。その内訳は、救急隊員の人件費や救急車のガソリン代やメンテナンスにかかる費用、治療に使用する医療器具代などとなっています。
外国人の場合も無料
日本では119番に電話をすれば、国籍や人種、納税の有無に関わらず、地方自治体の救急車が現場に駆けつけてくれます。もちろん料金も、国籍などに関わらず無料です。
海外では、救急車の料金を有料にしている国もあります。例えば中国では、基本的に有料となっており走行距離に応じた金額を請求されます。オーストラリアでは、国籍がオーストラリアでない場合は有料です。
有料になるケースはどんなとき?
病院が請求する「特定療養費」
救急車で搬送された場合に、料金がかかる場合があります。例えば、、病院が患者に対し請求する料金のうち、治療費や入院費などとは別に設けられている特定療養費です。特定療養費は、厚生労働省によって100床以上の大病院では追加請求が可能と定められているものです。
ただし、特定療養費は各病院が自由に定めて請求できるため、大病院でなくても請求されることがあります。例えば、軽傷など緊急性がない場合により救急車を呼んだ場合、治療行為を行った病院で通常の治療費の他に特定療養費を請求されるかもしれません。
治療費や入院費用、夜間料金等は有料
先ほども少し説明しましたが、救急車が無料となるのは救急車で病院へ搬送されるまでです。搬送後の病院での治療や、入院する際の費用は、通常の診察等と同様自己負担が発生します。
その他、病院の診療時間外での救急搬送による受診については、別の料金が加算される場合も覚えておきましょう。通常の初診料に加えて、診療時間外による時間外加算や、一般的に深夜とされる22時以降翌朝6時までは深夜加算が請求されます。
救急車は有償化されるの?
現在、有償化が検討されている
2018年6月現在、救急車による病院への搬送は無料となっていますが、2015年に財務省から救急車の一部有償化の提案がされました。有償化は、消防関連予算が年間2兆円にものぼるため費用を削減するという狙いがあります。
安易な利用が増えているのが理由
救急車がなぜ有料化へ向けて検討されているか、その大きな理由の一つは、安易に利用されていることが挙げられます。救急車は、緊急的な出動に利用されるべきですが、虫刺されなどの軽症や薬が無くなった、あるいは病院で待ちたくないなどの理由で救急車を呼ぶ人が増えているためです。
また、病院までの搬送が無料なことを理由にタクシー代わりに救急車を呼ぶ人もいます。そのため、安易に救急車を利用しようとする人たちに対する出動に限り、救急車を有料化させようという動きがあるのです。
いつからかは未定
総務省消防庁の発表によると、平成29年中の救急出動件数は6,342,096件、搬送人員は5,735,915人と、いずれも過去最高を記録しました。過去の数字も見てみると、いずれの数字も10年近く右肩上がりで増え続けています。そして前述のとおり、軽症で救急車が出動する必要がなかった患者も多くいます。
救急車の出動1回につき45,000円がかかるため、年々、救急出動件数に比例して予算が膨れ上がることが考えられます。そのため、財務省では救急車を有料化する動きがあるのです。
一方、総務省消防庁では、救急車の有料化を防ごうと、効率的な運用を目指しています。このように各省庁の動きもあるため、有料化が実現するかなどは2018年6月現在発表されていません。
有償化のメリット・デメリットは?
必要性のある人だけが使える
救急車を有料化するメリットは、軽症による119番通報が減少することが予想できることです。有料化になった場合、いくら利用料が発生するかも決まっていませんが、安易に救急車を呼ぶ人が減る可能性が高いです。それにより、救急車本来の目的でもある必要な重傷者だけが使えるようになります。
節税やスタッフの疲労軽減に
救急車が有料化すれば、年々膨れ上がっている消防関連費用を減らすことができるため、結果として節税につながります。そして、年々増えている救急車の出動回数が減少すれば、慢性的な人手不足で疲弊している救急スタッフの負担も軽くなると考えられます。節税とスタッフの負担軽減は、有料化によるメリットといえるでしょう。
本当に必要な人が呼べなくなる恐れも
デメリットとしては、金銭的に余裕がない人が重篤な症状であるにも関わらず、救急車を呼ぶことを躊躇してしまう可能性があります。それにより、救急車が無料であった頃は助かった命が、手遅れになって命を落とすような事態が生じるかもしれません。
逆に、金銭的に余裕がある軽傷者が頻繁に救急車を要請することも想定されます。その結果出動件数があまり変わらなかったとしたら、節税はできたとしても助かる命が助からないという事態になるため、根本的な解決にはならないかもしれません。
救急車を呼ぶべきか迷ったときは?
各都道府県の相談窓口に電話相談
実際に負傷や発病したときに、緊急性があるかどうか判断がつかず、救急車を呼ぶべきか迷うこともあるかもしれません。また、救急車が不要な場合でも、流血が止まらないなど、応急手当が必要な場合もあります。
救急車を呼ぶか迷った場合には、相談ダイヤル#7119(救急安心センター事業)を利用してみましょう。#7119にダイヤルすると医師や看護師など医療の専門家が応対し、緊急性の有無や適切な医療機関などを判断や、応急手当の方法などアドバイスを聞くことができます。
#7119は、原則24時間365日体制で対応しています。症状的に救急車が必要であった場合は、直ちに救急車を出動要請もしています。判断に迷った場合は利用すると良いでしょう。
タクシーを使う方法もある
病院へ行くのに自家用車がない場合や、普段運転する人自身が負傷や病気により運転不能で病院へ行く手段がない場合は、タクシーを利用する方法があります。タクシーといっても、一般的なタクシーではなく民間救急や介護タクシー、福祉タクシーなどの患者搬送専用のタクシーです。
民間救急が救急車と異なる点として、サイレンを鳴らすなどの緊急走行が認められていないことが挙げられます。介護タクシーや福祉タクシーは、乗務員が応急処置の講習を受けていたり、車両にAED等を搭載していたりするものです。患者搬送専用のタクシーは、緊急車両ではない代わりに、緊急性の少ない入退院や福祉施設等への送迎、その他日常の場面でも利用できる救急車という位置づけになります。
まとめ
救急車出動件数の多くは、軽症やタクシー代わりなど安易な理由によることが分かりました。救急車の費用に捻出される国家予算は莫大なもので、有料化への検討にはこういった背景があったのです。救急車の本来の目的である人命救助のため、まず#7119への問い合わせや民間救急の利用など、一人一人の自覚が必要ではないでしょうか。
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