病院に入院すると、治療費以外にもいろいろな費用がかかりますが、その額はどれくらいになるのでしょうか。今回は病気の種類による負担額や、保険による備えが必要かどうかなどについて解説していきます。
目次
入院でかかる費用の相場は?
主な疾患の入院費用の目安
厚生労働省が発表した平成26年度の「医療給付実態調査」や「患者調査」によると、総入院患者数が最も多いのは悪性新生物で、その数は約50,500名ということです。平均在院期間は20.6日、1日当たりの費用は14,300円となっており、入院時の医療費を3割負担した場合の窓口支払総額平均は294,200円という結果が得られています。
2番目に多いのが心疾患です。入院患者総数は約44,600名であるものの、平均在院期間は28.3日・窓口支払総額は404,100円となっており、悪性新生物を上回っています。3大成人病のもう一つの疾患である脳血管疾患は患者数約が38,100名と上記2疾患を下回りますが、支払総額平均は367,700円となっており、悪性新生物より高額であることがわかります。
高額療養費制度で減額
「高額療養費制度」とは、1ヶ月あたりの医療費が自己負担限度額を超えたときに超過分が支給される制度で、窓口で支払った自己負担額がもとになります。平成30年6月現在、69歳以下・年収370万円以下で住民税を支払っている人については、1ヶ月あたりの医療費の上限が57,600円です。それ以上の年収については段階的に計算方法が違います。
12か月以内に自己負担限度額に3回以上達したときは4回目からは「多数回」という扱いになり、年収が370万円以下の人が多数回に該当した際には44,400円が自己負担限度額となります。
高額療養費制度や自己負担限度額については以下の記事に詳しくまとめてありますので、こちらから確認してください。
入院時食事療養費とは
健康保険の被保険者が病気やケガで入院したときは、療養とあわせて食事の給付も受けることができます。健康保険から支給される「入院時食事療養費」は、厚生労働省が算出した「食事療養費」の基準額から平均的な家計の「標準負担額」を差し引いた金額です。
「入院時食事療養費」は健康保険から医療機関へ支払われるため、患者は標準負担額だけを自己負担することになります。平成30年の4月から1食あたりの「標準負担額」の上限額が変更され、実際の入院時に負担する食費は1食につき460円までとなりました。なお、「標準負担額」として自己負担した費用は、高額療養費の対象からは外れます。
差額ベッド代は自己負担
5人以上の大部屋では不要ですが、定員が4人以内の病室へ入院する場合には差額ベッド代がかかります。差額ベッド代は、個人が病院に申し出た場合・病院からすすめられた場合のいずれについても発生し、患者による同意書へのサインが必要です。
中央社会保険医療協議会が平成28年10月に発表した「主な選定療養に係る報告状況」によると、全病室における1日あたりの平均額は6,155円であるということです。1人室の1日の平均額が7,828円、2人室は3,108円、3人室は2,414円、4人室は2,414円となっています。なお、差額ベッド代は高額医療費の対象ではないため、全額自己負担が必要となります。
先進医療は自己負担
先ほども紹介した通り、健康保険の対象となる治療費については、金額が大きくなると「高額療養費制度」が適用されます。しかし、先進医療にかかった費用は、原則として全額自己負担となります。ケースによっては技術料が高額になることも考えられるため、健康保険だけでなく一般の生命保険への加入や特約の付加などによってカバーする必要が生じるかもしれません。
医療費の中で自己負担となる金額については、こちらの記事でも紹介されています。
医療費以外にかかる費用は?
雑費
入院中は治療費以外にも多くの雑費がかかることがあります。病室での有料テレビの視聴費や生活用品・衣類などの購入費用、家族が見舞いに来るときの交通費など、1回あたりの出費はそれほど大きくなくとも回数が増えれば負担となることも考えられます。入院や手術の際には、こまごまとした出費にも余裕をもって備えておくことをおすすめします。
収入減少分の補填
健康保険の「傷病手当金」とは、業務外の事由で休業したときに支給される手当です。病院へ入院するときだけではなく、自宅で療養する際も対象となることがあります。
支給額は「支払い開始前12か月の所得平均に2/3を掛けた金額」で、支給期間は1年6ヶ月です。個人事業主などは国民保険に加入しているために傷病手当を受けられないケースも多く、そのほかの方法で収入を補填する必要性が高くなります。
入院費用は医療保険で備えるべき?
貯蓄のない人は医療保険が必要
高額の医療費が必要となった際、一時的に貯蓄でまかなえる場合もありますが、入院が長期になると負担が大きくなることも考えられます。そのため、貯蓄が十分でない人は医療保険に加入しておいた方がよいといえるでしょう。
「安心を買うため」という理由も
医療保険に加入していると、金銭的だけでなく精神的な負担の軽減につながる可能性もあります。「何かあっても保険金がある」という気持ちが安心につながり、病状によい影響が出るケースもあるかもしれません。また、自分のためだけでなく、家族の負担を減らせるという一面もあります。
個人事業主は所得補償保険も検討
国民保険には傷病手当がないために、個人事業主は病気療養で仕事を休んでも収入をカバーすることができない可能性があります。そのような場合には「所得補償保険」へ加入すると、収入がないときにも補償を受けられるケースがあります。
「所得補償保険」は入院だけでなく、医師により自宅療養が必要と判断された場合でも補償される可能性のある保険です。仕事ができなくなったことによる収入減を、幅広くカバーするために有効な商品の一つともいえます。
医療保険の仕組みについては以下の2記事にも掲載されています。また、独自のアンケート調査をまとめた医療保険のランキングも紹介しているため、ぜひ参考にしてみてください。
まとめ
入院をすると、治療費やその他さまざまな費用が必要になります。仕事ができなくなることによる収入の減少も考えられます。医療保険に加入しておくと、将来必要となる費用をカバーして、負担を少なくできる可能性があるため、検討してみることをおすすめします。どの医療保険を選べばよいかわからない場合、保険の無料相談や代理店などを活用してみましょう。
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