「県民共済」という言葉を聞いたことがある方でも、実際どういったものか詳しくはわからないという方も多いのではないでしょうか。この記事では、県民共済についてしくみや制度の概要から上手く活用する方法まで、詳しく紹介します。
目次
県民共済とは?
県民共済とは、全国生活協同組合連合会(全国生協連)」から受託を受けた都道府県ごとの生協組織(会員生協)が提供する保障制度です。総称して、「都道府県民共済グループ」と呼ばれることもあります。
「県民共済」と呼ばれることが一般的ですが、北海道では「道民共済」、東京都では「都民共済」と呼ぶなど都道府県によって名称も変わります。また、神奈川県では、「かながわ県民共済」というものが元々別の生協により提供されているため、全国生協連が提供するものは「全国共済」と言います。
県民共済のデメリット5つ
1.保障額が比較的少額
加入する都道府県の保障内容にもよりますが、県民共済では病気で死亡した場合の保障額は800万円ほどです。仮に既婚で妻や子供を扶養している男性が死亡したとすると、残された家族にとって死亡保障金は今後の生活費になります。子どもの教育費は大学卒業までに一人当たり約1500万円〜2000万円程かかると言われており、県民共済の保障額では残された家族の生活費が足りなくなる可能性もあります。
ただし、独身者や扶養されている妻、あるいは世帯の子どもの人数や生活背景によっては県民共済の保障額で足りる可能性もあります。
2.60〜65歳になると保障が縮小される
県民共済は掛け金が一定になっており、年齢による掛け金の差がないのはメリットですが、死亡した場合の死亡保険金は60〜65歳になると減額されます。病気で死亡するリスクは加齢とともに増加するため、保障が減ることをデメリットに感じる人もいます。しかし、葬儀費用などをあらかじめ預貯金で賄えておけば、それほどデメリットにならないこともあります。
3.加入できるのは居住または勤務する県の共済のみ
県民共済では、「居住」または「勤務する県」の共済しか加入できないという決まりがあります。2017年12月現在、県民共済がある県は39都道府県で、下記の県には県民共済はありません。
・山梨県
・福井県
・鳥取県
・徳島県
・愛媛県
・高知県
・佐賀県
・沖縄県
元々県民共済のある県に住んでいて県民共済に加入していた場合、上記の県に転居した際には県民共済の継続ができない可能性があるので、注意が必要です。
4.割戻金はあるが、保障は掛け捨てが基本
決算状況によっては1年に1回支払った掛け金の一部が返金される場合はありますが、県民共済は基本的に掛け捨ての保険です。割り戻し金の割戻率は都道府県によって異なります。定期保険タイプのみなので、終身保険はありません。
また、解約返戻金もないので貯蓄も兼ねた保険がいいという方にはあまり向いていない可能性があります。更に、一定の期間を過ぎると保障期間も満了し、無保障状態になるデメリットがあります。
5.医療保険と生命保険がセットになっている
医療保険と生命保険が分かれていないので、医療保険のみに入りたい方や生命保険のみに入りたい方には向いていない可能性があります。ただし、結婚を機に保障の充実をしたい人など医療保障と死亡保障の両方をカバーしたい人には、セット加入の県民共済がメリットになることもあります。
県民共済の上手な活用法
割安な掛け金で医療保障を充実させたい場合
県民共済の掛け金は、年齢や性別、職業による掛け金の差がなく一定となっています。一般的に2000円から4000円で加入できるため、少ない負担で保障の充実ができます。
また、県民共済は更新型の保険ではないので、加齢によって保険料は上がりません。保険料が上がるリスクを避けたい人は県民共済を活用すると良いでしょう。
すでに加入している保険の不足分を補いたい場合
結婚や出産などのライフスタイルの変化があると、すでに加入している保険の保障額が足りなくなることもあります。県民共済は掛け捨て型で掛け金も安いので、不足している保障を県民共済で補うことも1つの方法です。
病歴や入院歴があって民間保険に加入できない場合
県民共済に加入する際、医師の診断は不要で告知のみで加入できます。入院歴は過去2年以内、がん等の重い病気は過去5年以内に対象となる病歴がなく、完治していれば加入が可能とされています。民間保険に加入できなかった場合に加入を検討してみても良いでしょう。
県民共済の保障内容は将来変更可能
県民共済の保障内容は、加入後に変更することも可能です。郵送による手続きだけでなく、インターネットで変更することもできるようになっています。ライフスタイルの変化に応じて保障内容の変更をしたり、医療の進歩に合わせて特約コースを付加したりもできるので安心です。
まとめ
今回は県民共済のデメリットをまとめてみましたが、デメリットを知ることで見えてくるメリットも多く、上手に活用すれば足りない保障を充実させることも可能です。ライフサイクルに合わせて、現在加入している保険の見直しをしてみてはいかがでしょうか。