法事に出席する際に持参する香典ですが、一体どれくらい包めばいいのか、香典袋はどうしたらいいのかと悩む人も多いのではないでしょうか。今回は法事の基礎知識から香典の相場や注意点まで、法事におけるお金のマナーを詳しく解説します。
目次
法事とは?
故人を供養をするための仏教行事
法事・法要は故人の冥福を祈り、供養するために行われる仏教行事のことです。初七日から四十九日までの間、7日間ごとに行われる法要を追悼法要と言います。
一般的には四十九日が忌明けとされ、四十九日を過ぎると年忌法要が行われます。年忌法要は満32年目の三十三回忌まで行われるのが一般的で、三十三回忌は「弔い上げ」とも呼ばれます。
仏式や神式など、宗教による違い
法事には仏式と神式、その他の宗教によって異なる点があります。たとえば、仏式では四十九日を忌明けとしている一方、神式では五十日が忌明けとされています。また7日間ごとに法要が行われる仏式と異なり、神式は10日間ごとに十日祭・二十日祭というように霊祭が行われます。
その他の宗教(キリスト教など)も、法事を行う時期はそれぞれですが、今回は仏式について解説していきます。
法事の種類
初七日や四十九日などの追悼法要
仏教では、亡くなってから7日ごとに閻魔大王によって裁かれ、49日目に極楽浄土へ行けるかどうか判定が下るとされています。故人が成仏できるように祈るという意味合いで、裁きの日に合わせて行われるのが追悼法要です。
一般的に、初七日と四十九日は遺族だけでなく親族や友人なども参列し、僧侶による読経や焼香、会食などが行われます。この2回以外は遺族のみで行われ、読経や焼香が省略されるケースも多くなっています。
一周忌、三回忌などの年忌法要
年忌法要とは、節目の年ごとに行う法要のことです。命日から満1年目の時には一周忌、満2年目の時には三回忌といったように、満32年目の三十三回忌まで行われます。三回忌までは遺族や親族、友人などが参列して読経・焼香・会食などを行いますが、七回忌のころからは遺族のみとするなど法要の規模を縮小させることが一般的です。
法事の種類による香典の相場
初七日の場合
香典の金額は、故人との関係性や交流の深さによって異なります。故人と同居していた、または同居していた時期があった場合には金額が大きくなる傾向にあります。
初七日の香典の相場は、関係性が近い実の親や義理の親の場合は1万円~5万円、兄弟姉妹の場合は1万円~3万円、祖父母であれば5,000円~1万円となります。親族であっても、おじやおばなどは5,000円~1万円、その他いとこなどの親戚は3,000円~1万円程度が相場と言えます。
ただし、ふさわしいとされる香典の金額は年齢などによって異なる場合があります。40代以上であれば上記の相場よりも金額が大きくなることも考えられます。なお、葬儀と同日に初七日法要が行われるケースでは、葬儀の香典の半分を目安とすると良いでしょう。
四十九日の場合
四十九日の香典の相場は、親の場合は1万円~5万円、兄弟姉妹の場合は1万円~3万円、祖父母であれば3,000円~3万円となります。おじやおばであれば3,000円~2万円、いとこなどのその他の親戚は3,000円~1万円程度を目安としてください。
初七日と同様、送り手が40代以上の場合は相場も少し高めになると考えましょう。また、四十九日の法要のあとに会食がある場合は、さらに1万円程度をプラスして包むのが通常です。
一周忌の場合
一周忌の香典の相場は、親であれば1万円~5万円、兄弟姉妹の場合は1万円~3万円、祖父母の場合は3,000円~3万円前後です。おじやおばであれば3,000円~2万円、いとこなどへは3,000円~1万円程度と考えておきましょう。
一周忌では法事の後に会食があったり、引出物が準備されてあったりする場合もあります。法要に出席する場合はその分を考慮した香典を持参するように心がけましょう。
香典袋の書き方
墨の種類
葬儀に持参する際に薄墨で書いた香典袋を使うのと同様に、四十九日までの追悼法要へは、薄墨を用いて記入します。これは、薄墨には「悲しみの涙でにじんで墨が薄くなった」という意味があるためと言われています。ただし、四十九日以降の年忌法要には、薄墨ではなく黒い墨で書いた香典袋を持参するのがマナーとなっているため注意が必要です。
表書きの内容
香典の表書きは、仏教の場合、「御仏前」「御沸前」「御香料」などとするのが一般的です。ただし、「御仏前」は四十九日以降に使われ、仏教以外では用いられません。準備する際は喪家の宗教を確認するようにしましょう。
なお、のし袋は黄白や双銀、または黒白の結び切りの水引を使います。蓮の花の絵が描かれているものは仏教専用であるため、その点にも併せて注意するようにします。
名前の書き方
個人で香典を出す場合は、自分の名前をフルネームで中央へ書きます。夫婦で出席し、夫婦ともに故人にお世話になっていた場合は、中央へ夫の氏名を記入し、左に妻の名を添えるようにしましょう。
また夫婦以外の連名で出す場合は、3名までは1人1人の氏名を記入します。4名以上になる場合は、中央に代表者名を書き、左下に「他○名」と書き添えると良いでしょう。
香典の渡し方のマナー
お札の向きを揃える
香典袋にお金を入れる際、お札が2枚以上になる場合は向きを揃えるのがマナーとされています。なお、お札の向きは肖像画が描いている方を裏にした方が良いとも言われますが、必ずしも裏でなくても良いという説もあります。表裏に関わらず、すべてのお札の向きが揃っているかどうか確認して渡すことを覚えておきましょう。
新札では渡さない
ご祝儀には新札を使うことが一般的ですが、逆に不祝儀には新札は使わない方が良いとされています。地域によって慣習が異なる場合もありますが、新札は使わない方が無難と言えます。
万が一、新札しか手元にない場合は、二つに折ってしわを付けてから入れましょう。ただし、汚れや破れがあるようなお札・しわだらけのお札などは失礼にあたるため、使わないようにしてください。
金額は四と九を避ける
先ほど香典の相場とされる金額を紹介しましたが、4と9が付く数字の金額は避けるようにするのもマナーの1つと言われています。4は「死」、9は「苦」を連想させる数字とされているためです。
個人で包む場合はもちろん、連名で香典を出す場合も注意が必要です。4名で出す際に、1人1万円ずつとしたい場合でも、3万円や5万円などの金額とするよう注意しましょう。
まとめ
法事は故人を供養するための儀式であり、香典はその気持ちを表すものとされています。マナーや相場を知っておき、失礼に当たらないよう心がけましょう。なお、葬儀費用については以下の記事にまとめてあるため、こちらも併せて参考にしてください。