日本は地震大国とも言われており、地震保険へ加入する人も増加する傾向にあります。この記事では、地震保険の保険料が年末調整の控除対象なのか、また、控除額はどのように計算するのかなどについて解説します。
目次
地震保険料控除とは?
地震保険料の所得控除
地震で被害にあった際、火災保険のみでは保険金支払いの対象外となるケースがあるため、地震に対する備えを手厚くしたい場合には地震保険へも加入しておく必要があります。地震保険の保険料は所得から控除することが可能です。
火災保険料は対象外
多くの場合、地震保険に加入する際には「火災保険へ加入していること」が前提となります。以前は火災保険の保険料も「損害保険料控除」の対象となっていましたが、損害保険料控除が廃止されてからは控除の対象外となりました。2018年7月現在、地震保険のみに保険料控除が適用されています。
長期損害保険契約へは経過措置が適用
平成18年の税制改正によって、平成19年から損害保険料控除が廃止されました。長期損害保険契約については、以下の要件を満たせば控除が可能となる経過措置が取られています。
・平成18年12月31日までに締結した契約
・満期返戻金があり、保険期間が10年以上の契約
・平成19年1月1日以降に、損害保険等の変更をしていない契約
地震保険料控除の控除額の計算方法
年末調整や確定申告で保険料の控除を受ける場合、計算方法は保険料の種類によって異なります。控除対象となるのは「1年間に支払った保険料」ですが、金額によっては全額が控除されるわけではないため注意が必要です。
地震保険料
地震保険料控除の限度額は5万円であるため、それ以下の保険料であれば全額控除できます。5万円を超える金額については控除を受けることができないため、加入の際には保険料と保障内容をよく確認しておきましょう。
旧長期損害保険料
1年間の支払い保険料が1万円以下の場合、保険料の全額が控除の対象となります。1万円以上2万円以下の保険料であれば、支払った保険料÷2+5,000円として控除が適用されます。
旧長期損害保険料にも控除額の上限が定められており、1万5,000円を超える保険料については控除の対象外となります。
どちらにも加入している場合
地震保険と旧長期損害の両方に加入している場合は、それぞれの控除額を計算する必要があります。しかし、両方の控除額を利用することはできず、両方合わせて5万円が控除額の上限となっています。たとえば、地震保険料控除に上限である5万円が適用された場合、旧長期損害保険料控除は利用できないということになります。
一括払いは1年分ずつに換算
地震保険の保険料を加入時に一括払いした場合、保険会社が支払った保険料を1年分ずつに換算して保険料控除証明書へ記載してくれます。そのため、自分で保険料を1年分ずつ計算する必要はなく、控除証明書に記載された金額は控除に適用されることになります。
年末調整での地震保険料控除を受けるには
地震保険や旧長期損害保険に加入している場合、保険料控除の申告には加入証明書が必要です。サラリーマンなどであれば年末調整で申告をすることが可能ですが、自営業者やフリーランスの人は確定申告を利用することになります。
専用の申告書に記入・提出
サラリーマンは「給与所得者の保険料控除及び配偶者特別控除の申告書」へ必要事項を記入して提出すれば、会社が保険料控除の手続きを代行してくれます。年末調整によって地震保険料保険料控除を受けた場合、確定申告は必要なくなります。
地震保険料控除証明書の提出も必要
地震保険へ加入した年の保険料控除証明書は保険証券に同封されて郵送されることが多いため、年末調整までに紛失しないよう気をつけなければなりません。初年度以降の地震保険料控除証明書は毎年10月頃にハガキで郵送されるので、郵便物を忘れずにチェックしましょう。
年末調整で忘れた場合は?
確定申告で控除の適用が可能
年末調整で地震保険料控除を受けなかった際には、確定申告で所得税の修正申告をすることが可能です。この場合、勤め先から発行された源泉徴収票と地震保険料控除証明書を添付することで、改めて所得税の計算をし直すことになります。控除証明書の紛失・再発行などによって年末調整に間に合わなかった人などについても、確定申告で保険料控除を受けることができます。
まとめ
地震保険・旧長期損害保険については保険料の控除を受けることが可能ですが、金額には上限があります。保険料控除の対象や必要書類について理解し、申告漏れなどがないように手続きを行いましょう。