資産運用手段の一つとして、初心者にも取り組みやすい面がある投資信託ですが、積立利益を大きくするためには、どのような商品を選ぶのがよいのでしょうか。この記事では、投資信託の仕組みや分配金の概要、解約のタイミングなどを説明します。
目次
投資信託で利益が出る仕組みは?
プロが代わりに運用する
投資信託は、資金をプロに預けて運用するシステムの金融商品です。投資家から集めた資金を原資に、専門家が債券や株式などの商品に対して投資・運用を行い、利益を投資家へ還元する仕組みとなっています。投資家自身が細かく市場を分析する必要性が低いことに加え、少額から始められる商品もあることなどから、資産運用の初心者にも始めやすい金融商品といえます。
3種類の会社が関わる
投資信託の運用には、販売会社・委託会社・受託会社が関わっています。販売会社は、投資信託の販売やお金の換金・顧客への支払い等を行ういわば投資の窓口のような存在で、証券会社などが代表例です。委託会社は、実際の運用を行う投資の専門家集団です。投資家から集めた資金の運用戦略を立案し、実際に売買を実施する会社に対して運用指示を行います。受託会社とは、実際の売買や売買した資産の管理を行う会社のことを差し、信託銀行等などが例として挙げられます。
分配金は投資信託の利益の一つ
上記のような会社を通じて投資家の資金を運用し、利益が出た場合に投資家へ還元されるのが分配金です。分配金は、実際に運用の結果得られた利益をベースに支払われる「普通分配金」の他、「特別分配金」という形で元本の払い戻しが実施されることもあります。以下で詳しく説明しますが、分配金の種類によってかかる税金も異なるため、覚えておきましょう。
投資信託に掛かる税金や確定申告
普通分配金は税金がかかる
普通分配金とは、投資信託の運用によって得られた利益をベースに支払われるものです。たとえば、基準価額(※)10,000円で購入したファンドが11,000円に値上がりしていたタイミングで1,000円の分配金が支払われた場合、「運用収益1,000円の支払い」とみなされて全額普通分配金となります。この時、1,000円の普通分配金には、株式配当や利息収入と同様、20.315%の税金が課税されます。
※基準価額について、詳しくはこちらの記事を参照してください。
投資信託の「基準価格」と「基準価額」どちらが正解?意味や用途とは
特別分配金は税金がかからない
特別分配金とは、実質的には元本の払い戻しに相当するものです。仮に、基準価額10,000円で購入したファンドの基準価額が変化せず、1,000円の分配金があったとします。この場合、運用益からの支払いではなく、払い込んだお金の一部を投資家へ返却している形になります。したがって、特別分配金への課税はありません。
解約時に課税される
投資信託を解約した場合、運用益があれば基準価額との差額に対して20.315%の課税が行われます。例えば、基準価額10,000円で購入したファンドが、解約時に11,000円であった場合には、運用益である1,000円(11,000円-10,000円)に対して、20.315%課税されることとなります。一方、解約時に9,000円であれば利益は出ていないため、非課税となります。
特定口座なら確定申告不要
分配金や解約に伴う税金を納付する際、通常であれば確定申告を行いますが、証券会社や銀行で「特定口座」を開設して納税する方法もあります。特定口座は、証券会社や銀行へ申請すれば開設が可能です。
一方で、自動的に源泉徴収が行われるため、払う必要のない税金を支払ってしまう可能性もあります。投資信託における確定申告についてはこちらの記事にまとめてありますので、詳しくは参考にしてください。
投資信託で確定申告すべき条件は?利益20万円以下なら申告不要?
投資信託は分配金なしの方がお得?
分配金のデメリット
投資信託には、分配金があるものとないものがあります。分配金がある投資信託では、定期的に口座に入金があるのでお得には見えますが、分配金を払い出すと資産運用に回せる原資が減ってしまうことになります。利益分を再投資に回すことができないため、結果として最終的な利益が小さくなってしまう可能性がある点がデメリットといえます。
分配金あり・なしを比較
例えば、基準価額10,000円の投資信託が5%の利回りで運用されている場合、毎年500円の利益が出ます。これを全額分配金として20年運用すると、500円×20年=10,000円の利益となります。
一方、これを分配せずに再投資し続けた場合、元利合計の金額は26,533円となり、16,533円の利益となります。分配金を払わず再投資に回すと、より大きな利益が期待できるケースもあることがわかります。
分配金なしの方が資産形成にお得
資産形成という観点からは、分配金がない方が最終的な利益は大きくなるため「お得」ということができます。毎年コンスタントに利益が出る場合は良いものの、利益が出ないときには元本を取り崩して分配金を支払うため、さらに利益が小さくなる可能性もあります。継続的に利益を得たいという場合には分配金ありのタイプも一つの選択肢ではありますが、資産形成を目的とするのであれば分配金なしのタイプを選ぶとよいでしょう。
インデックスファンドとは?
常に市場平均を目指すファンド
投資信託を選ぶ際に、覚えておきたいのがインデックスファンドです。インデックスファンドとは、日経平均株価やTOPIX等の株価指数と同じ動向の運用を目指すファンドのことを言います。例えば日経平均株価に連動したインデックスファンドでは、日経平均株価を構成する銘柄と同様のものを組み入れ、同じような動きを目指して運用を行います。
インデックスファンドのメリット
インデックスファンドのメリットとして、銘柄選びの手間がなく、投資を始めやすいという点があります。個別の株式へ投資する場合には、数多くの銘柄の中から将来値上がりしそうなものを選択する必要があり、投資経験が少ない人にはハードルが高いこともあります。その点インデックスファンドでは、銘柄選びに時間ををかけることなく投資を開始することができます。
国内株式・国内債券・外国株式・外国債券など、さまざまな分野のインデックスファンドがあるため、ニーズに合わせて選択できる点もメリットといえるでしょう。
投資信託解約のタイミングは?
許容範囲を超えたら損切り
投資信託の多くはプロに運用を任せていますが、元本を保証する商品ではないため、状況によっては元本を下回る場合もあります。そのような場合には、解約の検討も必要です。
特に、純資産残高が減少している場合には、注意が必要です。純資産残高が減少するということは再投資にかける資産が減るということを意味し、利益が出にくくなってしまう可能性があります。
投資信託を解約する基準として、自分が許容できる損失の範囲を事前に決めておくことをおすすめします。
投資信託の解約方法やタイミングについてはこちらの記事も参照してみてください。
投資信託は解約と買取で税金が違う?手数料はかかるの?
まとめ
投資信託を行う際には、分配金の有無・かかる税金などをあらかじめチェックしておくことが大切です。運用を任せきりにするのではなく、自分でも仕組みを理解して損失を小さくする努力をしながら資産管理をしていきましょう。困りごとや疑問などについては、金融のプロであるファイナンシャルプランナー(FP)へ相談してみることもおすすめです。
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