エヌエヌ生命は、中小企業と経営者向けの法人保険に特化した生命保険会社です。個人向けの保険は扱っておらず、事業保障・退職金準備・事業承継といった法人特有のニーズに商品を絞っています。
最初に重要な注意点をお伝えします。法人保険について「保険料が全額損金になる」と説明している情報を見かけますが、2019年(令和元年)7月8日以後に契約するものは、多くのケースで全額損金にできません。国税庁の通達改正により、解約返戻率に応じて保険料の一部を資産計上する扱いに変わりました。
このページでは、公式サイトで確認できる現行の商品ラインナップと、国税庁の資料にもとづく現在の税務ルールを整理します。
エヌエヌ生命とは
- 正式名称はエヌエヌ生命保険株式会社
- 公式サイトによると「1845年以来の伝統を持つNNグループの一員」
- 中小企業・経営者向けの法人保険に特化。個人向け商品は取り扱っていません
- 保険財務力格付けを公式サイトで公開しています
「個人で入る保険を探している」という方は、対象外の会社になります。個人向けの選択肢は生命保険会社ランキング|7,074人調査の加入者数シェアと選び方をご覧ください。
財務の健全性を確認したい場合は、格付けやソルベンシー・マージン比率を公式サイトのディスクロージャー資料で直接ご確認ください。見方は保険会社の財務健全性の調べ方と判断基準で解説しています。
2019年の税制改正で何が変わったのか
ここが法人保険を検討するうえで最も重要な部分です。
かつては、長期平準定期保険などで保険料の全額を損金に算入しながら、高い解約返戻金を積み上げる設計が可能でした。これがいわゆる「節税保険」です。
国税庁は令和元年7月8日以後の契約から、この扱いを改めました。法人税基本通達9-3-5の2により、保険期間3年以上の定期保険・第三分野保険で最高解約返戻率が50%を超えるものは、返戻率の区分に応じて保険料の一部を資産計上することになります。
| 最高解約返戻率 | 資産計上する割合 | 資産計上期間 |
|---|---|---|
| 50%以下 | なし(全額損金) | — |
| 50%超 70%以下 | 40% | 保険期間の当初40%相当期間 |
| 70%超 85%以下 | 60% | 保険期間の当初40%相当期間 |
| 85%超 | 当初10年は90%、以後70% | 最高解約返戻率となる期間の終了まで(最低5年) |
全額損金にできる例外
次の条件を両方満たす場合は、従来どおりの取扱いになります。
- 最高解約返戻率が70%以下であること
- 年換算保険料相当額が、1人の被保険者につき合計30万円以下であること
「30万円以下」という金額基準があるため、大型の契約では例外は使えません。経営者に高額の保障をかける設計では、原則どおり資産計上が必要になります。
法人保険の設計を相談したい方へ|FPの無料相談改正が商品ラインナップを変えました
エヌエヌ生命の現行商品を見ると、この改正の影響がはっきり表れています。
| 分類 | 商品 |
|---|---|
| 死亡のリスクに備える | 定期保険/無解約返戻金型定期保険 |
| 生活障害保障型定期保険 | |
| 無解約返戻金型収入保障保険 | |
| 災害・重度疾病定期保険/無解約返戻金型/低解約返戻金型 | |
| 介護・逓増・変額 | 介護・障害保障型定期保険(災害保障タイプ) |
| 定期保険・終身保険/低解約返戻金型逓増定期特約Ⅱ/変額保険(定期型・終身型) | |
| 病気やケガに備える | 重大疾病保障保険/終身ガン保険/長期傷害保険Ⅰ型 |
| 働けないリスクに備える | 公式サイトに専用カテゴリあり |
「無解約返戻金型」「低解約返戻金型」という名前の商品が並んでいることに注目してください。解約返戻金をなくす、または低く抑えることで最高解約返戻率を50%以下にし、全額損金の扱いを維持する設計です。
つまり業界全体が「返戻金で貯める」商品から「保障に徹して損金性を取る」商品へ移行したということです。エヌエヌ生命のラインナップは、その変化をそのまま反映しています。
逆に言えば、返戻金を期待する設計は税務上のメリットが薄くなりました。「保険で節税しながら退職金も貯める」という提案を受けた場合は、資産計上がどう発生するかを必ず確認してください。
主な商品の特徴
生活障害保障型定期保険
経営者の死亡だけでなく、所定の生活障害状態になった場合にも保険金が支払われる商品です。
中小企業では、経営者が亡くなった場合だけでなく「生きているが働けない」状態でも事業が止まります。借入金の返済、従業員の給与、取引先への支払いは続きます。死亡保障だけでは埋まらない穴を想定した設計です。
無解約返戻金型・低解約返戻金型
解約時に戻るお金がない(または少ない)代わりに、同じ保障額なら保険料が抑えられ、税務上も全額損金にしやすいタイプです。
「保険は保障、貯蓄は別」と割り切る場合に合理的な選択肢になります。ただし途中で資金が必要になっても解約返戻金は期待できないため、資金繰りとは切り離して考える必要があります。
重大疾病保障保険・終身ガン保険
経営者ががんや重大疾病になった場合に備える商品です。治療期間中の事業継続費用や、代替の経営者を立てるまでの資金を想定しています。
第三分野保険も2019年の改正の対象です。解約返戻金のある設計では、定期保険と同じく資産計上のルールが適用されます。
経営者の保障と個人の保障を整理する|FPの無料相談検討する際に確認すべきこと
- 最高解約返戻率が何%か。これで損金算入の扱いが決まります。設計書に必ず記載されています
- 資産計上額と取崩しのスケジュール。いつ、いくらが費用になるのかを年度ごとに確認してください
- 解約する時期に何が起きるか。解約返戻金は益金になります。退職金の支払いなど、損金が立つ年度に合わせる設計が必要です
- そもそも保障として必要か。税務メリットが縮小した今、「節税」ではなく「事業保障」として妥当かで判断すべきです
4つ目が本質です。2019年の改正で「保険で節税」の効果は大幅に縮小しました。いま法人保険を検討する理由は、経営者に万一があったときに事業を止めないためです。その観点で必要保障額を決めてください。
法人保険の全体像は法人保険のメリットとは?損金算入で税金対策と保障を兼ねられる?もあわせてご覧ください。
よくある質問
エヌエヌ生命で個人向けの保険に入れますか?
入れません。公式サイトの商品一覧は法人向けのみです。個人で加入する保険をお探しの場合は、他社をご検討ください。
2019年より前に契約した保険はどうなりますか?
改正の対象は令和元年7月8日以後の契約です。それ以前に契約したものは、契約時の取扱いが継続されます。ただし契約内容を変更した場合の扱いは個別に異なるため、顧問税理士にご確認ください。
全額損金にする方法はまだありますか?
あります。最高解約返戻率が50%以下の商品(無解約返戻金型など)、または返戻率70%以下かつ年換算保険料30万円以下の場合です。ただし後者は金額基準があるため、大型の契約では使えません。
解約返戻金を受け取ったら課税されますか?
法人が受け取る解約返戻金は益金になります。資産計上していた分を差し引いた額が利益として計上されるため、その年度に対応する損金(役員退職金など)がないと課税負担が生じます。出口の設計まで含めて検討してください。
まとめ
- エヌエヌ生命は中小企業・経営者向けの法人保険に特化。個人向け商品は扱っていない
- 2019年7月8日以後の契約は、最高解約返戻率が50%を超えると保険料の一部を資産計上する必要がある
- 全額損金にできるのは返戻率50%以下、または70%以下かつ年換算保険料30万円以下の場合
- 現行ラインナップに「無解約返戻金型」「低解約返戻金型」が多いのは、この改正への対応
- 「節税」ではなく「事業保障」として必要かで判断する。解約時の益金と出口設計まで含めて検討する
本記事はエヌエヌ生命保険株式会社の公式サイトおよび国税庁の公表資料にもとづき、2026年9月時点で作成しました。商品内容・取扱状況は変更される場合があります。税務の取扱いは契約内容・契約時期・個別の事情によって異なります。実際の判断にあたっては、必ず顧問税理士および保険会社にご確認ください。本記事は税務上の助言を目的としたものではなく、特定の商品の購入を推奨するものでもありません。

