エヌエヌ生命保険という会社をご存じですか?オランダ・ハーグに本拠地を置き、保険・金融サービス事業を行うNNグループの一員で、日本では30年以上の営業実績がある生命保険会社です。個人向け生命保険ではなく、法人向けの事業保険を中心に展開しています。この記事では、エヌエヌ生命の特色や保険商品について説明します。
目次
エヌエヌ生命って?
NNグループの生保
エヌエヌ生命保険は、オランダ・ハーグに本拠地を置くNNグループのメンバーです。NNグループは欧州・日本に主な拠点をもつ金融グループで、18カ国にわたり保険・資産運用事業を展開しています。総資産約20兆円、従業員数は15,000人以上であり、顧客数は約1,700万人です(2016年12月末現在)。
エヌエヌ生命の概要は、保険料収入4,048億円、総資産2兆8,453億円で、アメリカの格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ社の評価が「A-」(2017年7月1日現在)、ソルベンシー・マージン比率(※)は822.4%(2017年3月末現在)となっています。
NNグループの中で、エヌエヌ生命のほかにはNNインベストメント・パートナーズ株式会社が日本で事業を行っています。資産運用分野を中心とし、債券ファンドや株式ファンド、不動産投資信託などを取り扱っています。
※ソルベンシー・マージン比率:突発的に発生するリスクに対する支払余力を示す指標の一つで、200%以下は業務改善命令の対象とされる。
社名変更を経てエヌエヌ生命へ
エヌエヌ生命は営業開始時から数度名称を変更しています。開業当初の名称は「ナショナーレ・ネーデルランデン生命保険会社N.V.日本支店」で、NNグループの日本支店でした。
1995年4月1日から「ナショナーレ・ネーデルランデン生命保険株式会社」の名前で日本法人化し、さらに1997年1月1日の「アイエヌジー生命」を経て、2015年4月1日から現社名の「エヌエヌ生命保険株式会社」となりました。
NNグループは一時期、オランダ郵便銀行を前身とするMMBポストバンクと合併し、大規模な金融グループである「INGグループ」となりましたが、2009年からINGの「保険・資産運用部門」と「銀行部門」が分割され、保険・資産運用分野はNNグループとして運営を開始しています。その後2016年4月、NNグループはINGグループから完全に分離しました。
中小企業向け事業保険を扱う
エヌエヌ生命の特徴は、法人向け事業保険に力を入れている点です。事業保険とは、法人を契約者・役員や従業員を被保険者として加入する生命保険のことを指します。
2017年現在、全国に約5,000店の代理店を展開し、事業保障や事業継承・退職の準備など、特に中小企業のニーズにあった保険商品を取り扱っています。中小企業の経営者が問題として抱える資金繰り・節税・事業継承などにフィットした保険を設計し、代理店を通して提案するという形で保険のコンサルティングサービスを行っています。
エヌエヌ生命の代理店には、税理士事務所や公認会計士事務所、プロ保険代理店のほか、銀行、証券会社なども名を連ねています。また、2017年から住友生命との業務提携がはじまり、エヌエヌ生命の定期保険の販売を住友生命が行っています。
エヌエヌ生命の保険カテゴリは?
定期保険
エヌエヌ生命の「定期保険」には次のようなものがあります。
・定期保険
・無解約返戻金型定期保険
・生活障害保障型定期保険
・定期保険 / 低解約返戻金型逓増定期特約2
「定期保険」は一定期間内の死亡・高度障害状態などに対して保険金が支払われる保険で、死亡保険金はあっても満期保険金はありません(詳細は後述します)。
「無解約返戻金型定期保険」は、定期保険と同じく死亡保険金はあっても満期保険金のない保険です。解約返戻金(契約者が保険を解約したとき払い戻されるお金のこと)もない掛け捨てタイプであるため、保険料が安く設定される傾向にあります。
「生活障害保障型定期保険」では、死亡保障に加えて生活障害が生じた際にも保障が受けられます(こちらも詳細は後述します)。
「定期保険 / 低解約返戻金型逓増定期特約2」は、定期保険の保険金に加え、保険期間中に死亡保険金が逓増(次第に増えること)される特約がついた保険です。保険金額100万円の定期保険を例にとると、特約保険金は加入10年までは100万円、それ以降は一定の逓増率で増え続け、15年目から契約満了までの間に150万円に達するような設計になっているといえます。
収入保障保険
「無解約返戻金型収入保障保険」は、万が一経営者が死亡した場合、死亡保険金を月々の年金払いという形で支払う保険です。解約返戻金がない分、保険料が低めに抑えられています。
加入時期に近いほど年金受取総額は大きくなりますが、逆に年数を経るごとに受取総額は減る逓減性の保険といえます。契約年齢は15歳から75歳まで、保険期間は5年から35年満了までとなっています。
保険料の支払方法には平準払と逓減払があり、平準払は払込期間中は一定の保険料を支払う方法、逓減払は保険料が毎年減少する方法です。逓減払を選択した場合、最終年度の保険料は初年度の20%ほどになります。
支払われる年金の月額は10万円から9億円(契約時年金原価換算)までの間で設定することができ、経営者が亡くなった後の一定期間にわたって給付を受けたり、一括で受け取ったりすることが可能です。
養老保険
「養老保険」は、保険期間中に死亡した場合は保険金を受け取ることができ、満期時には満期保険金が受け取れる生死混合保険です。企業においては従業員や役員のための福利厚生・退職準備などとして活用することができます。
保障内容は死亡・満期とも同額の保障になっており、保険金額は500万円から9億円まで設定することが可能です。保険金以外に解約返戻金が支払われることもあり、解約返戻金をもとに契約者貸付制度(※)を利用することもできます。
契約者→法人、被保険者→従業員、死亡受取人→従業員の遺族、満期受取人→法人とすることで、養老保険福利厚生プランの利用が可能となります。養老保険福利厚生プランを活用すると、死亡退職手当や退職金の準備に充てられると同時に、保険料の1/2を損金算入できるメリットがあります。資金不足に陥ってしまった場合には、解約返戻金や貸付金を充当することもできます。
※契約者貸付制度:解約返戻金を担保に、保険会社からお金を借りることができる制度。
養老保険に関しては下記の記事も参照ください。
がん保険
「終身ガン保険」は、役員・従業員がガンになったときに保障される商品です。ガン以外に、死亡保障を受けることもできます。
給付金・保険金の種類は次の通りです。
・ガン入院給付金
・ガン手術給付金
・ガン診断給付金
・ガン高度障害保険金
・ガン死亡保険金
・死亡保険金
加入年齢は15歳から75歳まで、保障期間は終身、保険料の払い込みは終身払です。保障割合の違いによって、1型~4型を選ぶことができます。
入院日額は5,000円から60,000円で、各給付金は入院日額の倍数で支払われます。例えば、ガン手術給付金は入院日額の20倍、死亡保険金は10倍などとなります。
税制面では、受取人を法人とした契約の場合、105歳を計算上の満了年齢とみなして前半の5割期間は1/2資産・1/2損金として算入します。後半の期間は保険料全額が損金計上できるほか、前期資産計上分も段階的に損金算入できます。
また、解約時には原則として解約返戻金が支払われます(諸条件により支払われないこともあります)。
重大疾病保障保険
「重大疾病保障保険」は経営者や従業員がガン・急性心筋梗塞・脳卒中などの重大疾病となったときに保障される商品です。死亡時には死亡保険金が支払われますが、重大疾病保険金の支払いには疾病による本人の状態・医師の診断確定などの要件があります。
契約年齢は15歳から70歳まで、保障期間は70歳から87歳満了まで、重大疾病保険金は50万円~7億円までとなります。死亡保険金は、責任準備金(※)の範囲内で重大疾病保険金より少額となり、場合によっては支払われないこともあります。また、解約時には返戻金が支払われます(諸条件により支払われないこともあります)。
※責任準備金:保険金支払いのために積み立てられる保険料や運用益などのこと。
障害保険
「長期傷害保険1型」は、事故などによる傷害や所定の感染症(SARSやO-157など)で死亡したときには災害死亡保険金が、所定の障害状態になったときには障害給付金を受け取ることができる傷害保険です。
契約年齢は15歳から75歳まで、保険期間は終身タイプと満了10年の有期タイプがあり、保険金額は500万円から3億円の間で選択できます。保障範囲は仕事中・通勤中のケガから日常のケガ、交通事故なども対象となっています。
保険金・給付金の受取人を法人とする契約の場合、保険料の一部が損金計上できるなど税制面で優遇されます。また、急にお金が必要となった場合、解約返戻金を利用することも可能です。
「定期保険」の特徴とは?
年満了は80歳まで自動更新
「定期保険」は契約満了がある有期の掛け捨て保険で、保険料は養老保険などと比べると割安になっています。そのため、経営者のリスクを考えた場合、死亡時の継承資金や当面の収益を無駄のない保険料で準備しやすい保険であるといえます。
契約年齢は15歳から80歳までとなっており、保険金額は50万円から9億円までの間で設定することができます。また、保険期間は年満了と歳満了の2通りから選択することが可能で、年満了を選択した場合は80歳まで自動更新されます。
長期間の高額の契約が有利
定期保険は掛け捨てタイプであることも多いものの、長期契約する場合には解約返戻金があり、契約期間が長いほど返戻率や返戻金額が大きくなる商品もあります。
一方、保険金には、死亡保険金が高額になるほど保険料が割引となる高額割引制度があります。エヌエヌ生命の定期保険では、保険金額が3,000万円から5,000万円未満・5,000万円以上と二段階で割引が用意されています。
解約返戻金や契約者貸付を活用できる
法人保険で保険金・解約返戻金・貸付制度などを活用するには何通りかの方法があります。例えば、解約返戻金のピークを退職時期に合わせた設計とすることで、退職金の財源や設備投資資金を確保できる場合があります。また、契約者貸付制度の利用によって、保障を継続したまま資金需要に対応することも可能です。なお、契約者貸付金は保険会社へ所定の利息を支払う必要があるため、注意しましょう。
保険料は全額損金に算入可能
法人契約で受取人を法人とした場合、保険料を損金算入することで税負担を軽減することが可能です。具体的には次のいずれかの場合、保険期間を通して全額損金に算入できます。
・保険満了年齢が70歳以下
・契約年齢+(保険期間×2)が105以下
例えば、契約年齢が75歳で保険期間が10年の場合は、95となり保険料が全額損金扱いとなります。また、長期平準定期保険(保険期間が長い定期保険)で保険満了年齢が71歳以上かつ、契約年齢を保険期間の2倍と足した数字が105を超える場合には1/2が損金に算入され、1/2は前払保険料として資産計上されます。
このあたりの計算方法などがわかりにくい場合、ファイナンシャルプランナー(FP)が在席している保険代理店などで質問することも可能です。保険の内容とともに説明してもらいましょう。
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無診査でコンバージョン可能
エヌエヌ生命の定期保険では、無診査で何度でも保障を見直せるコンバージョンが可能です。そのため、たとえ保険期間中に健康へ不安が生じたとしても、その都度保障内容を変更することができます。例えば、期間10年・死亡保障5,000万円の定期保険に加入した場合、満了時に保障金額の範囲内で定期保険へ更新したり、100歳満期の長期平準定期保険へ加入したりすることができます。
「生活障害保障型定期保険」の特徴とは?
経営者の死亡と生活障害に備える
「生活障害保障型定期保険」は、経営者の死亡リスクに備えられる定期保険で、比較的大型の保障を準備することができます。契約年齢は15歳から80歳、保険期間は70歳から92歳までとなっており、保険料の支払い方法は歳満了のみの取り扱いです。
生活障害状態(要介護状態または認知症など)になった場合、死亡保険金と同額の生活障害保険金が受け取れるため、生存時にも保険金が活用できる点が特徴です。生活障害保険金は、所定の生活障害状態または所定の高度障害状態となった日から180日以上継続し、かつ回復が見込まれないと医師によって診断確定されたときに支払われます。
保険金額は最大9億円
「生活障害保障型定期保険」では、死亡保険金・生活障害状態保険金とも同額となっており、50万円から9億円までの間で設定が可能です。保険金は、死亡時には死亡受取人へ・生活障害状態になったときには被保険者へ支払われます。なお、保険金の支払いをもって契約は消滅し、死亡保険金と生活障害保険金の支払いは重複しません。
返戻金・契約者貸付は大きな額に
「定期保険」と同様、「生活障害保障型定期保険」においても、解約返戻金や契約者貸付制度の利用が可能です。保険期間が長期かつ保障が高額である場合、解約返戻金や契約者貸付金も比較的大きな金額になります。
インターネットサービス「NN Link」とは
契約内容などを確認できる
「NN Link」はエヌエヌ生命のインターネットサービスで、下記のような機能があります。
・生命保険契約・変額保険、変額年金保険契約内容の照会
・変額保険・変額年金保険のファンド変更
・登録内容変更(住所変更、電話番号変更など)の申し込み
NN Linkの推奨動作環境はOSがWindows(Vista,7,8,10)でブラウザはInternet Explorer(Ver.9,10,11)となっています。最新のFirefox, Google Chrome, Safariでも利用可能ですが、iOSのSafariは正しく表示されないことがあるため注意してください。
利用には申し込みが必要で、申込書をダウンロードもしくは請求し、本人確認書類を同封して提出します。ユーザーID・仮パスワードの到着後から利用が可能となります。
まとめ
エヌエヌ生命は、中小企業を中心とした事業保険商品を展開しています。代理店による販売がメインですが、住友生命との販売提携・銀行の窓口販売なども行っています。商品は経営者に対する保障プランが多く、高額保障や従業員の福利厚生に役立つプランなども提案されています。個人向け・家族向けの保険とは異なる点もあるため、わかりにくさを感じた場合には保険代理店で説明を受けましょう。FPが在席している店舗であれば、金融分野に関する相談も可能です。
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