がん保険の必要性を考えたことがありますか?一家の大黒柱がある日突然がんに罹ってしまったら、診断給付金や入院給付金はどうなるのでしょうか?本記事では、がん治療にかかる費用やがん保険により支払われる金額等を踏まえながら、がん保険について考えていきます。
目次
がんの治療にかかる費用とは
がんの治療費の目安
がんに罹ったときに想定される費用として、入院費や通院のための交通費、手術代等が挙げられます。がんの治療費は基本的に健康保険の対象であるため、70歳未満の成人は治療費の3割負担となっています(2017年現在)。
症状別にみると、胃がんの場合は約28.9万円、結腸がん・直腸がんの場合は約25.2万円、肺がんの場合は20.8万円が平均的な治療費となっており、一度がんに罹ってしまうと治療のためにまとまった金額が必要であることがわかります。
(参考:公益社団法人全日本病院協会)
健康保険の高額療養費制度と傷病手当金
高額療養費制度
一月当たりの治療費が高額となった場合、一定金額が払い戻される制度を「高額療養費制度」と言います。実際に医療機関で支払った治療費が自己負担限度額を超える場合は、超過分について払い戻しが受けられます。また、払い戻しを受けた月が1年のうち4カ月以上となった場合には自己負担限度額が引き下げられる制度もあります。
高額療養費制度・自己負担額について、詳しくはをご参照ください。
医療保険は必要?加入するべき人や理由とは
傷病手当金
「傷病手当金」とは、入院等によって一時的に働くことが困難となった場合に、健康保険から給料の約3分の2に相当する額が支払われる制度のことです。サラリーマンであれば傷病手当金を生活費に充てることもできるため、病気やがんに罹った際にはこの制度を活用して生活の負担を軽減させることができます。
末期がんは介護保険の対象に
いわゆる「末期がん」と診断されて介護が必要な状態となった場合、公的介護保険の対象となります。保障内容の例として、公的介護サービスを1割の自己負担で利用できることなどがあります。
がん保険で受け取れる保険金
診断給付金
がんの診断が確定された場合に支払われます。特定のがんや再発時に対する保障については保険商品によって内容が異なっており、以下のようなケースもあるため、加入前に詳細を確認しておくことが重要です。
・最初に診断を受けてから数年間はがんの再発による診断給付金が受け取れない
・保険期間中に一度でも診断給付金の支払いが発生すると、それ以後はがんが再発しても給付金が受け取れない
・上皮内がん(がん細胞が上皮【粘膜層内】に留まっているケース)の場合は診断給付金が減額される
入院給付金
がんにより所定の日数以上の入院をした場合に支払われ、「入院1日につき1万円」のように、1日あたりの保険金額が決められているケースがほとんどです。他の疾病と同じようにがん治療においても「日帰り入院」の言葉が聞かれるようになってきましたが、中にはこの「日帰り入院」も保障の対象とする保険もあります。一方、入院日数に制限が設けられていない場合もあり、長期の傾向があるがん治療の備えに向いていると言えます。
手術給付金
がん治療の一環として手術を受けた際に支払われます。「手術の種類や程度に応じて入院給付金の10倍・20倍・50倍」のように、保険金が定額となっていることが多い給付金です。
通院給付金
がん治療のための通院に対して支払われます。「通院1日あたり1万円」のように、定額の保険金を受け取れることが特徴です。仕事をしながらの通院など、がん治療に100%専念することのできない人に適しています。
先進医療特約
がんの治療費は基本的には健康保険の対象となりますが、放射線治療などの先進医療に関しては保障の対象外となります。先進医療は治療費が高額になりやすいことに加え、実施している医院が遠方であれば交通費や宿泊費がかかる場合もあります。
がん保険に先進医療特約を付加すると、先進医療を用いたがん治療を行うことで発生する治療費・交通費・宿泊費などの補助を受けることができます。保険料が比較的安価(月々数百円程度)である場合も多いため、将来の備えとして考えに入れておいてもよいかもしれません。
女性特約
乳がんや子宮頸がん等、女性特有のがんに罹った時に、基本の保障にプラスして保険金が支払われます。保険会社によって保障の内容や範囲には幅があるため、加入前にはよく確認しておきましょう。
がん保険が必要な人とは
生活費や治療費にまとまったお金が必要な人
一般家庭の大黒柱ががんに罹ってしまうと、収入が減少するばかりでなく生活費や治療費にまとまったお金が必要となることがほとんどではないでしょうか。大きな額のお金をすぐに用意できる見込みがあまりない場合には、がん保険への加入が安心につながることもあります。
手厚い保障を受けたい人
がん保険による保障は、がんに罹ってしまったあとのQOL(Quality of life…生活の質)を維持する手助けとなってくれます。また、手厚い保障があれば、費用が高額な治療に対して積極的になれるという一面も持っています。
がんのみに備えたい人
「親族にがんで亡くなった人がいる」等、日頃からがんのリスクに備えておきたい人にはがん保険が適しています。がん保険はがんという病気に限定して保障を受けるものであるため、医療保険等よりも保険料が割安となる場合が多くなっています。がんに備えたいという強い希望を持っている人にとっては検討しやすい保険と言えます。
がん保険が不要な人とは
貯蓄が十分にある人
すでに貯蓄が十分にあり、がんに罹患しても治療費や生活費を賄うことに問題がないという人であれば、がん保険に入る必要性は低いと言えます。
がん以外にも幅広く保障を受けたい人
がん保険は、がんという病気に特化した保障内容の保険です。もっと保障の範囲を広げたいという人は医療保険への加入を選択するとがん以外の疾病に備えることができます。
まとめ
がん保険はがんという病気に対する保障へ特化した保険です。そのため、「働きながらがんと向き合いたい」「先進医療による治療に挑戦したい」など、多様化するニーズにも対応する商品が各社より販売されています。自身の状況や人生設計に合った保険選びを行い、もしもの時に後悔することのないよう備えておきましょう。