胃潰瘍は30~50代に多いと言われ、何らかの原因で胃の粘膜と胃液のバランスが崩れたり、胃の組織にダメージを受けたりしたために痛みや出血が起こることが主な症状として挙げられます。検査や治療には入院を要することもあり、再発するケースも少なくありません。今回は、胃潰瘍で入院した際の費用や期間について解説します。
目次
胃潰瘍で入院するのはどんなとき?
胃潰瘍の検査入院
胃潰瘍かどうかを調べるには、まず胃の状態を確認する必要があります。検査方法には胃透視(バリウムによるX線検査)や内視鏡検査などがあり、事前に食生活や運動習慣などについての問診が行われます。一連の問診・検査には時間を要することも多く、内視鏡検査の準備から検査結果の通知までを含めた「検査入院」を求められる場合があります。
緊急入院を含む治療のための入院
症状が進行して胃から出血が起きている人であれば、緊急入院となることもあります。胃潰瘍による吐血や下血を原因とする貧血があると、治療と並行して失った血液を取り戻す必要が生じます。そのため、入院期間も長くなる傾向にあります。
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検査入院は1日~3日程度
胃の検査で入院した場合、胃カメラや内視鏡による検査が行われることがあります。内視鏡は直接胃の内部を観察できることに加え、組織や細胞を摂取したり、先端部に端子を付けて患部の病変を検査したりすることが可能です。
胃潰瘍発症に至る食生活や運動習慣についての問診もあわせ、検査のための入院日数には1~3日程度を見込んでおけばよいでしょう。胃痛などの自覚症状が出ていない初期の胃潰瘍であれば、その後は薬による治療や食事療法によって対処する場合もあります。
吐血後の治療入院は約10日~14日必要
胃潰瘍からの出血が疑われる吐血や下血がある場合には、約10日~14日の治療入院となるケースが考えられます。胃潰瘍の治療として「2~3日の絶食後、消化の良い食事を摂取しながら胃の粘膜を正常に戻していく」という処置がとられることが多いことに加え、吐血や下血によって減少した血液の回復にもある程度の時間が必要とされます。そのため、入院には1週間以上の期間を見込んでおいた方がよいかもしれません。
貧血がひどい場合は約1カ月必要
胃潰瘍からの出血に起因する貧血が起きていると考えられる際は、血液検査を行って進行度合いを確認することがあります。赤血球の容積・ヘモグロビンの量や濃度などの数値が標準値でないと判断される場合や体力の低下が見られる場合には、血液や体力の回復を促してから胃潰瘍の治療・手術を行うケースもあります。貧血や胃潰瘍の状態によって個人差はありますが、1カ月程度の入院が必要となる人もいます。
胃潰瘍による入院費用はどのくらい?
検査入院の費用は3万円程度
検査のための入院では、内視鏡検査・血液検査・問診などが行われます。検査費用と病室代金などの諸費用を合わせると、入院費用の目安は3万円程度です。検査が日帰りだと入院費用はかからないことがほとんどですが、検査結果確認のために後日受診するのであれば再診料が必要となることもあります。また、ヘリコバクター・ピロリという菌(ピロリ菌)に感染していると胃潰瘍が再発する可能性が高まることから、感染の有無を調べる検査が別料金で追加されることもあります。
手術・治療のための入院費用は約15~20万円
手術や治療のための入院では、手術・治療費用に加え、入院中の食事や点滴、薬の投与、経過診察などの費用がかかります。入院費用は病院によって異なりますが、15~20万円程度が見込まれます。
入院費用は病室代金に左右される
入院費用を左右する要素のひとつが病室代金です。大部屋、個室、浴室・トイレ付きの個室など、病室のタイプによって代金も異なることが多いためです。
カーテンなどで仕切られた一部屋の中に複数の患者が入院する大部屋だと病室代金がかからないこともありますが、個室の場合は1泊5,000~10,000円程度、もしくはそれ以上になる場合もあります。病室代金は入院日数分だけ加算されるため、個室に長期間入院するとまとまった金額になる可能性があるということを覚えておきましょう。
胃潰瘍になった際の注意点や治療方法の詳細については、以下の記事にも詳しくまとめてあります。
入院費用が高額になった場合はどうする?
高額療養費制度を活用しよう
同一月にかかった医療費が一定の金額(自己負担限度額)を超えた場合、超過分の金額が健康保険から支給される制度を「高額療養費制度」といいます。自己負担限度額は年齢や収入によって異なり、病室代金や食事代は対象外である場合も多いため、利用前の確認がすすめられます。
さらに注意しておきたい点が、「同一月に」という部分です。自己負担限度額80,000円の人が入退院をしたと仮定して説明します。
・同じ月の中で入退院をし、120,000円の自己負担が発生した場合→高額療養費の支給対象
・月をまたいでの入退院をし、入院日~月末に60,000円・翌月初め~退院日60,000円という内訳で120,000円の自己負担が発生した場合→高額療養費の支給対象外
このように、同じ金額を負担しても高額療養費制度を利用できる場合とできない場合があるため、覚えておきましょう。
高額療養費制度の概要や自己負担限度額の計算方法については、以下の記事も参照してください。
医療保険の保険金請求も忘れずに
民間の医療保険に加入していれば、保険金が請求できることもあります。入院給付金・手術給付金などを請求するために必要な書類がわからなければ、保険会社へ問い合わせてみてください。医師の診断書が必要であれば3,000~5,000円ほどの実費を支払って作成してもらうことになりますが、病院の領収書があればよいという場合もあります。必要な書類を揃えたら、保険会社に提出して保険金の給付を待ちましょう。
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胃潰瘍は症状の現れ方や進行の度合いによって治療の日数や費用が異なります。自分や家族・周囲の人が罹患した時に備え、必要な期間や金額・利用できる制度などについて知っておくと役に立つことがあるかもしれません。