養老保険とは、老後の生活に備えて保険料を積み立てながら万一の出来事に対する保障を得るための保険です。今回は、養老保険に加入している人が満期を迎えた時に支払う税金の種類や計算方法などの基本的な知識を紹介します。
目次
養老保険の主な特徴とは?
満期後には満期金の受取ができる
養老保険には、毎月の保険料を積み立てることで老後の資産形成をする貯蓄機能があります。保険期間に死亡することなく満期を迎えた場合、積み立てた保険料は「満期保険金」として受け取ることができます。満期金の金額は、契約時に設定した保険期間・保険料の金額などによって変化し、被保険者期間が長く保険料が多いほど高額となる傾向にあります。
契約期間内には死亡保障あり
病気や怪我によって養老保険の保険期間中に死亡した場合、契約時に設定した受取人へ死亡保険金が支払われます。そのため、養老保険は支払った保険金が無駄になることの少ない保険であると言えます。
養老保険の満期金に税金はかかる?
所得税がかかる場合
満期保険金を受け取る際に発生する税金の種類は、保険契約者と保険金受取人の設定によって変化します。まず、所得税がかかる場合は、保険契約者と保険金受取人が同一であるケースです。この場合、満期保険金全額ではなく、払込保険料との差額部分が課税対象となります。これは受け取り方法を一時所得、年金のどちらに設定した場合でも同じです。
贈与税がかかる場合
贈与税が課されるのは保険契約者と保険金受取人が同一ではないケースです。例えば、夫が養老保険に加入して保険料を支払っており、保険金の受取人を妻に設定していた場合は、妻が受け取る保険金に贈与税が課されます。保険料を支払った人と受け取る人が違う場合は保険料との差額が計上できないため、課税部分が大きくなります。
なお、受取人が妻である場合は「一般贈与」、20歳以上の子・孫などである場合は「特例贈与」といい、贈与税の計算方法が異なります。
源泉所得税がかかる場合
源泉所得税が発生するのは、保険契約者と保険金受取人が同一かつ満期保険金を年金として受け取るケ-スです。契約者と保険金受取人が同じ場合には、年金は雑所得として計上され、所得税が課せられます。その際、定められた計算方法に基づいて源泉徴収が行われます。具体的な課税額の計算方法については次のトピックで解説します。
満期金にかかる税金の計算方法は?
所得税の計算方法
所得税は以下の式に基づいて計算します。
{(満期保険金)-(支払い保険料総額)-(特別控除額50万円)}×1/2
例えば、満期保険金が180万円、支払い保険料総額が100万円だった場合、所得税額は
(180万円-100万円-50万円)×1/2=15万円
次に非課税となるのは、例えば満期保険金が120万円、支払い保険料総額が100万円で
(120万円-100万円-50万円)×1/2=-15万円
などのように、所得税額がマイナスになる場合です。
贈与税の計算方法
贈与税は課税対象額×税率-控除額という式で求められます。500万円の満期金を妻が受け取る場合の贈与税を算出てみましょう。
まず、課税対象額は以下のように計算します。
満期保険金-基礎控除額(110万円)
課税対象額が0円以下となる場合(満期保険金が110万円以下である場合)、贈与税は非課税となります。
満期保険金が500万円である場合、贈与税の課税対象額は500万円-110万円=390万円となり、それを妻が受け取る場合の贈与税は一般贈与用の税率と控除額を用いて次のように算出します。
390万円×20%-25万円=530,000円
源泉所得税の計算方法
源泉所得税は、
{(年金額)-(その年金額に対応する保険料)}×10.21%
により算出します。例えば保険料総額600万円、保険金総額1,000万円を10年間で受け取る場合、毎年の年金額は100万円、対応する保険料は60万円となります。
このとき源泉所得税は
(100万円-60万円)×10.21%=40,840円
となります。なお、(年金額)-(その年金額に対応する保険料)が25万円を下回る場合は源泉徴収されません。
満期金の確定申告が必要な場合は?
一時所得が20万円超の給与所得者
個人事業主のように毎年確定申告が必要である人は、満期保険金の金額に関係なく申告を行わなければなりません。その他の人については、「満期保険金を一時所得として計上するケースにおいて、その金額が20万円を上回る場合」や、「満期保険金を含めた一時所得の総額が20万円を上回る場合」などに確定申告が必要となります。
満期金が贈与税の課税対象となる場合
贈与税の課税対象となるのは、保険契約者と保険金受取人が異なる場合でした。このケースの際に、満期保険金の金額が110万円を上回る場合には、贈与税を確定申告する必要があります。税法では、100万円以上の保険金を支給した生保会社は税務署に届け出るように義務付けられています。保険契約者が確定申告をしない場合は、税務署から勧告を受ける可能性があります。
まとめ
以上のように、養老保険は保険金の金額や受け取り方によって掛かる税金も異なります。また、税金の種類や金額次第では確定申告の必要があるケースもあります。加入している養老保険の内容をもう一度確認し、課税の有無などを把握しておきましょう。