相続が発生すると、何から始めて良いのかわからずに困ってしまうという人もいるでしょう。しかし、中には期限が設けられている手続きや専門的な知識が必要な手続きもあります。この記事では、何を誰に相談すればいいのかという点や、相談にかかる費用などについて紹介します。
目次
相続の相談はどこに・誰にする?
相続に関する相談ができるところはいくつかあります。自分自身で行うことが難しい場合には、専門家に頼るとスムーズに進む場合もあるため、覚えておきましょう。
「何を相談したいか」で相談先が違う
遺言書の承認申立て、相続承認・放棄の申述など、専門性の高い手続きについては個人で実施することが難しい場合があります。広範囲で手続きの相談をしたいのであれば司法書士、遺産相続で揉めた場合は弁護士など、内容によって相談先は変わります。
まずは相談したいポイントを確認
遺産や相続人の調査に始まり、相続にはさまざまな問題が発生することが考えられます。まずは相談したいポイントを明らかにし、しかるべき相手に頼ることが大切です。
司法書士に相談する内容や費用は?
不動産、遺言書、相続放棄などに対応
土地や家屋を相続する場合、司法書士に相談することができます。遺産調査や不動産の相続登記手続き、遺産分割に対する遺産相続協議書の作成などの他、相続放棄に関する家庭裁判所での手続きなども依頼することが可能です。
かかる費用の目安
相談だけなら無料で行ってもらえる場合も多いものの、実際に依頼をする際には内容に応じて費用がかかります。相続登記を依頼する場合などについても、不動産の固定資産税評価額によって金額が異なります。例えば、「3,000万円の土地について登録免許税や登記申請の手続き、遺産分割協議書の作成などを依頼した場合」であれば、約20万円程度が相場となっています。
弁護士に相談する内容や費用は?
協議やトラブルが考えられる場合
相続財産に対する思い入れ・相続人それぞれの経済状況の差などから、金銭面で問題が起こることがあります。金銭が絡むと感情的になってしまうことも多いため、協議やトラブルが発生しそうな場合には弁護士への相談を考えましょう。
相続問題に幅広く対応
弁護士は、相続に関する幅広い知識を持っているため、遺産分割や遺留分などの手続き方法が不明である場合・遺産に借金が見つかった場合などにアドバイスをしてもらうことが可能です。
かかる費用の目安
弁護士に相談した際にかかる費用として相談料・着手金・申し立て費用などがありますが、金額は案件の状況や弁護士事務所によって様々です。依頼する前に費用の見積もりを取り、どの弁護士に相談するのかを決めるとよいでしょう。頼りたい弁護士に心当たりがない場合や住まいの近くの弁護士を探したい場合には、「相続相談ドットコム」という無料の弁護士紹介サービスを利用することもできます。
銀行に相談する内容や費用は?
大手銀行や信託銀行などでは相続全体の相談を受け付けている場合もありますが、基本的に銀行へは預金に関する相談を行うことになります。
相続対象となる預金がある場合
名義人が死亡して相続が開始されると銀行口座は凍結されてしまうため、払い戻しの手続きが必要となります。その際、遺書がある場合・ない場合のどちらについても必要書類や手続きを銀行に相談することができます。ただし、相談が可能であるのは「故人が取引していたことが明らかである銀行」となります。取引銀行が不明である場合には、遺産の調査から始めなければならないため、司法書士や弁護士へ依頼した方がスムーズと言えるでしょう。
相続アドバイザーがいる銀行も
銀行業務検定の一つである「相続アドバイザー」という資格を持っている人が所属する銀行もあります。相続アドバイザーとは、相続一般の知識に加えて、相続関連の銀行業務(相続時の預金引き出しに関する手続きなど)に必要な知識を持っている人が取得できます。通常の銀行員より専門的な相談が可能となるため、取引銀行に相続アドバイザーがいるかどうか尋ねてみるのもひとつの方法です。
かかる費用の目安
銀行では相続相談に関する費用を「遺産の〇%」と定めている場合も多く、遺産の金額によっては相談費用が高額になる場合もあります。総額2,000万円程度の遺産に関する相続相談を行ったと仮定すると100万円を超えるケースも想定されるため、相談にあたっては事前によく検討をすることがすすめられます。
市役所の無料相続相談って?
弁護士などに無料で相談できる
市区町村の役所などで相続相談が行われていることもあります。弁護士が対応してくれることが多く、事前に相談したい事柄を取りまとめておけば、無料で相談をすることができます。しかし、直接相談の受任が禁止されているケースも多く、相談を聞いてくれた弁護士に引き続き依頼をしたいと思っても、その場で契約をすることができるとは限りません。
時間・回数などに制限がある場合も
事前に予約を取っていても、相談できる時間は1回あたり20分から30分程度となっています。限られた時間内での相談となるために詳細の説明ができず、一般的な回答しか得られない場合もあります。また、「同じ案件に対する相談は1回限り」としている自治体もあるため、問題解決につながらずに終わってしまう例も中にはあります。
まとめ
相続の際には、必要に応じて相続財産を調べたり手続きを行ったりしなければなりません。専門的な部分は外部へ依頼し、自分でできることは自分で行うようにすると、相続に関する費用を抑えることができます。相続の流れを確認したい場合などであれば、市区町村役所の無料相談も有効に使うことができるでしょう。