資産運用には、不動産投資などの高額な資金を利用して運用する方法がありますが、100万円からでも始められる金融商品もあります。今回は100万円を運用するための方法として、預金や国債、株式のほかに、保険を利用した運用方法も紹介します。
目次
銀行預金
安定性はあるがリターンはわずか
銀行預金には「普通預金」「定期預金」「貯蓄預金」があり、いずれも一定の期間お金を預けて金利を受け取る商品です。手数料がかからないことも多く利便性が高いことがメリットですが、金利が低いケースがほとんどであり、100万円を預けても数百円しか利息が付かない場合もあります。預ける銀行によって多少の差はあるものの、「安全性が比較的高い一方で受け取る金額はあまり多くない」というのが預金の特徴と言えます。
倒産リスクとインフレリスク
銀行預金のリスクとして、倒産やインフレが挙げられます。銀行が倒産してしまった場合、預金は1000万円までしか保護されません。1000万円以上の預金が貯まったとしても、超えた分の金額は保障されないということになります。また、預金の種類によってはインフレによって物価が上昇しても金利が変わらないため、預けているお金の価値が下がることになります。
個人向け国債
国債は元本保証される
「国債」は国が発行する債券のことを言います。「個人向け国債」は個人投資家向けに販売されている金融商品で、1万円程度から購入することができます。固定金利型の3年・5年満期と、変動金利型の10年満期の3種類があり、いずれも半年ごとに利息が付きます。1年以上保有すると元本が国によって保証されます。
金利自体は銀行より高いことが多いものの、中途で換金する場合は直前2回の利息が差し引かれるなどの制限があります。証券会社・銀行・郵便局などで購入が可能な金融商品です。
選ぶべきは変動金利型
経済情勢によって金利が上下する変動金利型の商品を選べば、インフレなどに対応しやすくなります。10年満期の国債では、実勢金利にともなって半年ごとに適用利率が変動します。そのため、固定金利型の3年・5年満期のように価値が下がる可能性は低くなるといえます。
株式投資
株式投資のリターンは3種類
「株式投資」とは、証券取引所に上場した企業が発行した株券を売買するもので、国内株と外国株があります。株式投資の利益は売却益・配当益・株主優待の3種類です。
売却益とは、購入した株が値上がりした場合に差額として得られる利益のことです。配当金は企業の業績が良かった場合に株主へ還元されるお金のことで、売却益・配当金ともに株を保有していれば継続して受け取ることが可能です。株主優待とは、株主へ株の保有数に応じて提供される品物やサービスのことで、各企業の製品・食事券・割引券などが挙げられます。
100万円でも分散投資が基本
一つの銘柄にすべてのお金を払って株を購入すると、その会社の業績によっては大きな損失が出る可能性もあります。その点、複数の銘柄に分散投資しておけば、特定企業の業績が悪かったとしても全体への影響は少なくなります。また、他の企業の業績が良ければその利益で相殺されることもあり、株式の分散投資はよく用いられる手法と言えます。資金が100万円ほどであっても分散投資は可能であるため、検討してみてもよいでしょう。
流動性が高くリスクは限定的
株式投資は流動性があり、変動に応じて現金化できる可能性が高い金融商品です。株の価格が購入時の価格を下回った場合は、買い足して平均購入価格を下げることも可能です。
株式投資は、投資した額以上の損失をともなうことは少なく、借りたお金で株を購入する・信用取引に出資して失敗するなどの行為を行わない限り、リスクは限定的であると言えます。
資産運用に向いた保険は?
資産運用向きの保険の種類
資産運用に適した保険には「低解約返戻金型終身保険」「利率変動型保険」「一時払終身保険」などの種類があります。
「低解約返戻金型終身保険」は、保険料の払込期間中に解約した場合の返戻金を低く設定することによって保険料を抑えている点が特徴です。払い込みが終了すれば、返戻金の金額は通常通りとなります。
「利率変動型保険」は、物価の状況などによって利率が変動する保険です。インフレのリスクにも対応しやすく、利率が上がれば返戻金が増える可能性があります。
「一時払終身保険」は、一括で保険料を支払う終身保険のことを言います。利率や貯蓄性が高い点が特徴ですが、保険料を一括払いするためまとまった金額が必要になります。100万円をある程度増やしてから資産運用したい場合に検討した方がよい商品のひとつと言えます。
保障と資産運用を兼ねられる
保険で資産を運用する際のメリットは、保障と資産運用を兼ねることができるという点です。何事もなく満期を迎えれば支払った保険料を上回る金額を受け取れるケースもあり、万が一のことがあった場合でも契約した内容に関しては保障が得られます。
短期間で解約した場合などには受け取る金額が支払った保険料以下となることもありますが、長期的な資産運用を考えるのであれば保険を選択肢の一つに加えるのも良いでしょう。
生命保険には節税効果も
生命保険には、「保障」「貯蓄」以外に「節税」というメリットもあります。その年の収入から支払った保険料の一定額を差し引くことができ、年末調整で申告すれば所得税・住民税などが軽減される場合があります。また、一定の要件を満たしていれば死亡時に受け取る保険金が非課税となり、相続税から免除される場合もあります。
保険料と中途解約のリスクを考慮
保険で資産運用をしたい場合には保険料の金額だけを見るのではなく、短期で解約した場合に返戻金が少なくなるリスクを考慮する必要があります。「保険で運用する資産」と「短期間で出し入れする可能性がある資産」は分けて管理し、保険にかける資産は長期の運用を前提とすることでリスクを軽減できる可能性があります。
まとめ
資産運用には預金・国債・株式などから保険商品までいろいろな方法があります。それぞれのメリット・デメリットを理解し、無理のない範囲で自分に合った運用を行いましょう。