資産形成とは、ライフプランに合わせて預貯金・運用商品・保険などを利用して資金の増加を目指すことを言います。預貯金しかしたことがないという人も実施しやすいように、資産形成のコツを年代別に紹介します。
目次
20代におすすめの資産形成
自由になるお金が多い時期
社会人になると一定の収入を得られるようになるものの、新入社員のうちはあまり資金に余裕が無い人も少なくないかもしれません。しかし、単身世帯である人も多く、自由にできるお金も比較的ある20代は、資産形成のスタートに適した時期であるという見方もできます。
資産形成をするには、まず自分の収支を把握することが大切です。毎月掛かる固定費(家賃や光熱費、通信費など)や生活費(食費や医療費など)をよく知り、自由になるお金がどのくらいあるのか確認しましょう。そして、資産形成に充てることができる金額が毎月いくらあるのかを考えてみてください。
投信積立なら少額からスタート可能
20代で資産形成を始めるメリットは、長期の資産作りができるという点です。資産を複利で運用している場合であれば時間をかけるほど効率的に資産を増やせるケースも多く、時間分散(※)によりリスクの軽減を図ることも可能と言えます。
20代で始めるとよい資産形成のひとつに、「投資信託の積立」という方法があります。投資信託は運用のプロである運用会社が運用を行ってくれるため、初心者でも始めやすい面があります。また、積立であれば少額から取り組める点もポイントです。
※時間分散:値段の上下する運用商品を複数回に分けて購入することで、購入価格の平均化を図り、ハイリスクハイリターンではなく安定した資産の成長を目指す投資方法。
30代~40代におすすめの資産形成
ライフイベントの出費が多い時期
30代~40代は、ライフイベントが多いとされる時期です。例えば結婚や持ち家の購入、子供の誕生などが挙げられます。自分の自由になるお金もやや減り、資産形成にお金を回すのが難しくなる時期と言えるかもしれません。
とはいえ、将来のためには、少しずつでも資産作りを継続していく必要があります。給与からの先取り貯金やボーナスなどを上手に活用しましょう。
初心者はインデックス型投資信託
前述の通り、投資信託は比較的始めやすい運用商品とされています。しかし、投資信託においては投資先によってリスクも異なるため、購入する際には注意しなければなりません。
初心者にも理解しやすい投資信託として「インデックス型投資信託」が挙げられます。投資信託ではさまざまな運用会社が投資を行っているため、予期せぬ値動きをすることもあります。その点「インデックス型投資信託」は日経平均やTOPIXなどの指標と連動した値動きを目指しており、初心者でも値動きをつかみやすい投資信託だといえるでしょう。
株式投資や株式型投資信託も選択肢
株式投資や株式型投資信託は、債券などに比べるとリスクの高い運用商品だといわれます。しかし、運用に慣れてきた30・40代では時間分散を図るなどの対策も可能となり、株式や株式型投資信託も資産形成の選択肢とすることができるのではないでしょうか。
投資をするうえでリスクの軽減をするには、時間分散の他に「資産分散」も重要です。これは、「ある一定の資産のみではなく、株や債券・外貨など複数の資産に投資を分散することでリスクの軽減を図る」というものです。投資を分散させるという方法は株式や株式型投資信託においても有効となるため、覚えておきましょう。
教育資金は学資保険も選択肢
まとまった金額を用意しなければならない教育資金は、学資保険を利用して貯めるという選択肢もあります。学資保険は通常、契約時に返戻率(支払った保険料に対し、どのくらいの保険金を受け取ることができるか)が決まっているため、計画的な資産形成がしやすいといえます。返戻率は商品によって異なるため、色々な商品で見積もりをしてみてください。
学資保険の注意点は、中途解約すると元本割れをする可能性があるということです。途中で解約しなくても済むよう、長期間運用可能な資金を学資保険に充てることが大切です。
50代におすすめの資産形成
老後資金を貯められる最後の時期
50代は、教育費や住宅ローンなどのゴールが見えてくる一方で、老後資金の準備を本格化しなければならない時期でもあります。老後は毎月どのくらいの生活費が必要となるのか、それに対してどのくらいの収入(公的年金や個人年金など)があるのかを試算し、不足分を補う資産作りをしていくことが重要です。
50代の資産形成でポイントとなるのは、「少しずつでも利益を出す」ということです。老後の資金を確保するためにも、比較的リスクが少なく安定した利益が見込まれる投資商品を選択すると良いでしょう。
マルチアセット型投資信託
低リスクで安定的な運用を目指す商品として挙げられるのが、「マルチアセット型投資信託」とです。「マルチアセット型」とは、相場や運用局面に応じて資産配分を柔軟に変更するスタイルの投資信託で、複数の資産へ投資を行うことによって分散投資の効果が期待できる場合があります。
同じく分散投資を行う投資信託として、「バランス型投資信託」があります。バランス型投資信託とマルチアセット型投資信託の違いは、“資産の組み入れ割合が決まっているかどうか”という点です。バランス型の場合、例えば国内外の株式と債券に25%ずつ投資といったように、組み入れ比率が決まっていることが一般的です。
マルチアセット型では組み入れ比率が決まっていないため、市場の動向次第でリスクを抑えた投資先を選択し、安定した運用を目指すことができる方法であると言えます。
60代におすすめの資産形成
資産を守る時期
60代になると退職などによって収入が減少する人が少なくありません。そのため、60代では、「今ある資産をいかに守っていくか」ということがポイントとなります。預貯金をただ切り崩して使っていくのではなく、運用も行いながら資産を減らさないように生活していかなければなりません。
資産の一部を運用商品で保有する理由として、「インフレに対応するため」という点が挙げられます。現在は預貯金の利率が高いとは言えないため、将来の物価上昇に対応できない可能性もあります。社会や経済情勢に合わせた値動きの運用商品を取り入れることで、インフレへも対応しやすくなると考えられるでしょう。
使う時期や目的で資金を分ける
60代では、勤めていた企業を退職して退職金を得る人もいます。退職金を老後資金として活用するには、退職金の計画的な使い道を考えなければなりません。
ローンの返済などの決まった支出がある人は、まずその分を除きます。その後、60代・70代・80代で使用する分ずつ振り分けましょう。
次に、60代分として振り分けた中から「すぐ使用するお金」を預貯金用に取り置きます。しばらく使う予定が無いお金を安定的な運用が可能な商品へ投資すると、資産を守りながら生活することが可能になると言えます。
投資信託で分配金を得る
投資信託の中には、一定期間ごとに決算を行い、収益などを分配金として投資家へ還元するものがあります。分配金がある投資信託を選択すれば、年金だけでは足りない分を補てんできることがあります。
決算時期は投資信託によって異なり、毎月・隔月・半年ごとなどとなっています。投資先にも、国内外の株式やREIT(不動産投資信託)などの種類があるため、色々な投資信託を見比べて自分に合った商品を選ぶようにしてください。
まとめ
教育費やマイホームの頭金、老後資金などといった「将来必要となるお金」を準備するには、計画的な資産作りが必要となります。金利によって資産を増やすことが難しい状況下では、資産運用商品も取り入れると効果的な場合があります。1人では資産運用に不安があるという人は、銀行・証券会社の窓口などへ相談に行ってみてはいかがでしょうか。