家財保険は、自宅の家財を補償対象とした保険商品です。さまざまなケースで補償が受けられるため、補償範囲の広さを知らなかったという人もいるかもしれません。今回は家財保険の特徴や選び方などを徹底的に解説します。
目次
家財保険とは?
「家財」を補償対象とする保険や特約
「家財保険」という名称で提供されている保険商品はそれほど多くありません。火災保険の補償範囲である「建物」と「家財」のうち、「家財」が損害した際に受けられる補償を「家財保険」と呼ぶケースが多数です。ただし、賃貸物件専用の火災保険には「建物」への補償がない場合が多く(加入者自身が所有する建物ではないため)、火災保険そのものが家財保険にあたるということができます。
家財は生活用の動産
家財と聞くと家具や生活家電などを思い浮かべる人もいるかもしれませんが、家財保険でいう「家財」は「生活用の動産」と位置付けられています。家具や生活家電に加え、衣類や日用品・アクセサリー、125cc以下の原動機付自転車なども補償対象品として取り扱われます。
その反面、生活に用いない事業用の商品や設備什器などは補償の対象外となります。また、お金や有価証券を始め、データなどの無形財産、証書や帳簿などの知的財産、動植物などの生物も補償の対象外となる家財保険がほとんどであるため注意しましょう。
明記物件に注意
「家財=生活用の動産」であると紹介しましたが、家の中にあるすべての物が対象になるというわけではありません。1つもしくは1組の価額が30万円以上の宝石や貴金属・骨董品や絵画などの美術品などは、契約プランによっては「明記物件」いう扱いとなり「生活用ではない」とみなされるケースも存在します。明記物件として補償対象にしたいものがある場合は、価額のわかる根拠資料(鑑定書など)を提出したうえで、通常とは別枠の補償特約などを付加する必要があります。
ただし、全ての家財保険が「明記物件」への補償を用意しているわけではなく、一定額までは自動的に補償対象とするプランが提供されているケースもあります。自宅に「明記物件」へ該当する物がある場合、あらかじめ補償の対象や内容を確認しておきましょう。
火災以外も補償の対象
「家財保険」の保険金支払い事由は、火災保険と全て同じとは限りません。火災や自然災害以外のケースであっても家財への補償が受けられることがあります。保険会社によって内容は異なりますが、家財保険の補償対象となる事由例を以下で紹介するので、参考にしてみてください。
補償が受けられるケース例
・ストーブから出火してカーペットが燃えてしまった
・落雷の影響でテレビが壊れてしまった
・排水管が破裂して家電製品が壊れてしまった
・盗難に遭って家財が盗まれてしまった
・自宅から持ち出した家財が破損してしまった
・着用していたスーツが破れてしまった
・子供が物を投げて電化製品などを壊してしまった
このように何らかの原因で家財の機能に支障をきたした場合などにも、家財保険で補償が受けられる場合があります。擦りキズ程度の「使用上支障がない」場合には対象外となる可能性が高いものの、家財保険の補償範囲は広く設けられているといえます。
家財保険の必要性については以下の記事でも解説しているので、こちらも参考にしてみてください。
家財保険は必要?
家財を揃える費用は高額
火災や自然災害などによって自宅が損害を受け、家族全員分の必要家財をすぐに揃えなければならない状況となると、予想以上の金銭的負担がかかることがあります。家財は家族の人数に比例して増える上、年々増加していく傾向にあります。一般的に、家族4人分の家財を揃えるには500万円~1,000万円前後の費用がかかるとされています。
必要最低限の家財のみを購入するだけでも金銭的負担が数百万円にのぼる可能性があるため、そのような金銭的リスクに備えるのが「家財保険」であるといえます。家財保険では火災や自然災害に遭ったときだけでなく、日常生活におけるトラブルなどについても補償が受けられることがあるため、安心材料として加入しておくのもひとつの方法かもしれません。
多くの家財保険では、年間の保険料が4,000円~1万円ほどに設定されています。ライフスタイルや経済状況との兼ね合いを見て加入を検討してみましょう。
火災保険や家財保険の保険料相場は、以下の記事を参考にしてみてください。
家財保険の保険金額はどうする?
積算評価をするのは難しいことも
家財保険を火災保険へ付帯するにあたり、「補償額」が気になる人もいるかもしれません。家財保険の「補償額」は、自身で判断して決定することになります。自宅にある家財を買い戻す際にかかる金額を評価し、個数などを反映した「積算評価」を行うことで補償額を決めることができます。
ただし「積算評価」は手間や時間がかかるため、現実的には難しいという人もいます。そのため、各損害保険会社では家財の目安補償金額がわかる「簡易評価」の一覧表などを用意しています。「簡易評価」については以下で解説します。
簡易評価を参考にする
家財保険における「簡易評価」とは、総務省の発表する家計データなどを参考に「世帯主の年齢や家族構成」から算出した家財評価の目安のことで、損害保険会社ごとに提示されています。独身では300万円前後、世帯主30歳・子供2人の家庭では900万円前後など、家族構成や年齢をもとに補償額の相場を知ることが可能です。最終的な補償額は契約者が決定することになるため、簡易評価の通りに設定する必要はありませんが、一つの目安として参考にしてみてください。
専有面積から決める方法も
積算評価や簡易評価とは別に、建物の所有状況や専有面積によって評価額を決める「再調達価額」から判断する方法もあります。仮に同じ専有面積90㎡の住居であっても、賃貸の場合は800万円前後、所有宅の場合は1,000万円前後など、専有面積を基準とした「再調達価額(評価額)の目安」を提示している保険会社もあります。
「再調達価額」とは、火事や自然災害を始めとするさまざまな事由によって損害を受けた物(もしくは同等の物)を、新しく購入する時に必要な価格のことです。保険会社が提示する一覧表はあくまでも目安であるため、簡易評価額と同様に参考材料の一つと考えましょう。
補償額と保険料の関係とは
多くの場合、補償額を低く設定すると保険料が安くなります。しかし、補償額の設定が低すぎると、損害に遭った際に十分な補償が受けられないこともあります。
また、実際の評価額より大きく見積もって契約をした場合でも、損害額以上の補償額は受け取れないため、過大評価をすると保険料が無駄になる可能性もあります。評価額・補償額・保険料については、それぞれ適切なバランスで決定することが大切です。
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家財保険の選び方は?
火災保険全体を比較
家財保険を比較する際には、火災保険全体を見比べることが必要です。保険会社によっては「家財保険」という名称の商品が提供されておらず、火災保険の補償に含まれる特約(賃貸物件専用の場合は火災保険自体の補償)として取り扱われているため、まずは火災保険自体の補償内容および保険料をチェックしてみましょう。
家財に対する補償内容を比較をする際に確認しておきたい項目はいくつかあります。1つ目のポイントは先ほども紹介した「明記物件の有無」で、これは持ち家・賃貸どちらも共通の事項です。明記物件に該当する物を補償対象としたい場合、鑑定書などが用意できなければ保険契約が受け付けられないこともあるので注意してください。
持ち家の火災保険へ家財保険を付帯する場合、住宅ローンを比較対象とするのもおすすめです。住宅ローンが多く残っている状態で自宅が全焼した場合、火災保険の補償金はそのほとんどが住宅ローンの返済に充てられ、ローンがなくなっても住む家がないという状態に陥ることも考えられます。新たに住宅を購入する場合、家財保険へ加入していると保険金を家財の購入資金に充てられることがあります。
賃貸専用の火災保険に加入する場合は、借家人賠償責任特約で比較してみましょう。借りている部屋で火災を起こしてしまった場合の例を考えると、自身の家財を買い直すにはまとまった金額が必要ですが、生活レベルを落とすなどの努力である程度対処できるケースもあります。
しかし、部屋や建物に対する損害賠償額は数千万円単位に上ることもあり、保険なしで賄うには難しい場合が多いといえます。借家人賠償責任特約を付加していれば、第三者への賠償に備えられるだけでなく、自身への補償も受けられます。住まいが賃貸である場合、申込を検討してみてもよいでしょう。
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賃貸の家財保険の入り方とは?
家財保険+2つの特約が基本
賃貸物件の契約時に加入するのは、家財保険(火災保険)に加え「借家人賠償責任保険」と「個人賠償責任保険」に相当する内容が含まれた保険であるケースが一般的です。家財保険は、自身の生活用動産のみを補償対象とする保険であるため、建物や隣家、大家などの管理人への補償は含まれていません。先ほども紹介した通り、自身が原因の火災によって賠償責任が発生した場合に賠償補償を受けられる特約を付帯しておくと良いでしょう。
借家人賠償責任
被保険者(入居者)やその家族が原因となって発生した火事や爆発、水漏れ事故などの際に、住宅へ損害を与えたとみなされると貸主(大家など)への損害賠償責任が問われることがあります。「借家人賠償責任」は貸主への賠償責任をカバーする内容で、住宅(借りている部屋や建物)に対する補償を受けることができます。
個人賠償責任
被保険者(入居者)やその家族が他人の物を壊してしまった場合・他人へケガなどを負わせてしまった場合など、他者に対する損害賠償責任が問われたときに受けられる補償のことを「個人賠償責任」と言います。家の中や近隣だけでなく、国外などにおいて賠償保障が受けられることもあります。個人賠償責任が発生しやすいケースの例を以下で紹介します。
個人賠償責任補償が受けられるケース例
・子供が自転車でぶつかって人にケガをさせた
・買い物中に商品を壊した
・飼っている犬が噛んでケガをさせた
・水漏れなどにより下の階の家財へ損害を与えた
・他人の物を壊してしまった
不動産会社以外での加入も可能
賃貸契約を結ぶ際、火災保険への加入を求められる場合は多いものの、指定された保険会社以外へ加入してはいけないということはほとんどありません。自身で決めた保険会社へ加入し、保険証券のコピーを後日提出することを約束すれば、入居を断られるケースは少ないと考えられます。
不動産会社から提示された火災保険の保険料や補償内容が適切なものかどうかを確認し、必要であれば別の会社への加入を検討しましょう。
賃貸で火災保険へ加入する理由などについてはこちらの記事も参照してみてください。
人気の家財保険とは?
家財保険へ加入する際のチェックポイントなどについて紹介してきましたが、どの会社の家財保険が人気なのでしょう?独自のアンケートを行い、人気の家財保険を調査しました。
加入者数ランキング
家財保険の加入者数を回答者全体・世代別(20代~50代)・男女別でランキングにしました。加入者数が多かった会社の家財保険の紹介や、代別・男女別の傾向などについて詳しく紹介しているため、ぜひ一読ください。
満足度ランキングや口コミ
こちらは、満足度ランキングや実際の加入者から寄せられた口コミを紹介しています。加入者数ランキングと満足度ランキングの違いを見比べてみたり、良い口コミ・悪い口コミを読んでみたりすると、イメージがわきやすいかもしれません。家財保険の対象範囲についても解説しているため、あわせて確認してみてください。
まとめ
住宅の所有状況にかかわらず、家財保険へ加入しておくとさまざまな不測の事態に対する安心材料の一つになります。保険会社によって補償内容や特約などに違いがあるため、加入前には確認してみましょう。自身で判断が難しい場合、保険代理店で複数のプランを紹介してもらうのもおすすめの方法です。
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