「退職したら保険証を返す」という手順は、いま変わっています。従来の紙の健康保険証は2024年12月2日以降は発行されておらず、有効期限も2025年12月1日で終了しました。
現在、退職時に返却するのは「資格確認書」です(交付を受けている場合)。マイナ保険証を使っている方はカードを返す必要はありません。資格情報が切り替わるだけです。
このページではいま退職した場合に何をするのかを、協会けんぽと厚生労働省の情報にもとづいて整理します。
退職するとき、何を返すのか
| あなたの状況 | 退職時にすること |
|---|---|
| マイナ保険証を使っている (健康保険証としての利用登録済み) | 返すものはありません。カードは自分のものなので手元に残ります |
| 資格確認書の交付を受けている | 速やかに勤務先へ返却します。被扶養者の分も同様です |
| 紙の健康保険証が手元にある | すでに有効期限が切れています。勤務先の指示に従ってください |
使えるのは「退職日まで」です
退職日の翌日から、在職時の保険資格は使えません。協会けんぽは具体例として「3月20日に退職した場合、3月21日以降は在職時の保険資格では受診できません」と説明しています。
資格を失った後に使ってしまうと、保険者が負担した分(医療費の7〜9割)の返還を求められます。「まだ手元にあるから」と使わないでください。
退職後の保障を整理したい方へ|FPの無料相談退職後の選択肢は4つ
| 選択肢 | 手続き先 | 期限 |
|---|---|---|
| 再就職先の健康保険 | 新しい勤務先 | 会社が手続き |
| 国民健康保険 | 市区町村の窓口 | 退職翌日から14日以内 |
| 任意継続 | 健康保険組合・協会けんぽ | 退職翌日から20日以内 |
| 家族の扶養に入る | 家族の勤務先 | 速やかに |
任意継続の20日以内が最も短く、過ぎると選べなくなります。国民健康保険と迷っている場合でも、退職前に両方の保険料を確認しておくのが確実です。
国民健康保険と任意継続の比較、必要書類は国民健康保険への切り替え手続き|退職後14日以内にやることで詳しく解説しています。
再就職する場合|いつから使えるようになるか
ここが以前と大きく変わった部分です。新しい保険証が郵送で届くのを待つ、という流れではなくなりました。
- 新しい勤務先が事実発生から5日以内に日本年金機構へ届出をする
- 日本年金機構が資格取得届等を受理する
- 受理から2〜5営業日程度で、マイナ保険証に情報が反映される
- マイナ保険証を使わない方には、あらためて資格確認書が交付される
マイナ保険証を使っている方は、カードを変える必要がありません。同じカードのまま、紐づく資格情報が新しい勤務先のものに切り替わります。転職のたびに保険証を受け取り直す手間がなくなった、という点は実務上の大きな変化です。
切り替えの空白期間に受診したらどうなるか
協会けんぽは、受診前に最新情報を確認していない場合「状況によっては一度医療費を10割負担していただく可能性があります」と説明しています。
- いったん窓口で全額を支払う
- マイナ保険証の情報が更新された後、払い戻しを受けられる
- 領収書は必ず保管しておく
受診の予定がある場合は、事前にマイナポータルで資格情報が反映されているかを確認してください。反映前に医療機関へ行くと、一時的とはいえ大きな出費になります。
持病があり定期的な通院が必要な方は、退職時期そのものを調整する価値があります。手続きの空白と受診日が重ならないようにするだけで、立て替えを避けられます。
収入が変わる時期の保障を見直す|FPの無料相談任意継続を選ぶ場合
- 退職日の翌日から20日以内に「任意継続被保険者資格取得申出書」を提出します
- 提出先は加入していた健康保険組合、または協会けんぽの都道府県支部です
- 保険料は在職中の約2倍になります(会社負担分がなくなるため。上限あり)
- 加入できるのは最長2年間です
- 手続き後、マイナ保険証を使わない方には資格確認書が交付されます
任意継続には扶養の概念があります。これが国民健康保険との最大の違いです。国民健康保険には扶養がなく、世帯の人数分だけ保険料がかかります。扶養家族が多い方ほど任意継続が有利になりやすいのはこのためです。
詳しくは国民健康保険に扶養はない|保険料の軽減制度と年収の壁の変更点をご覧ください。
よくある質問
マイナンバーカードは会社に返すのですか?
返しません。マイナンバーカードは本人のものです。退職しても手元に残り、次の保険の資格情報が紐づけられます。返却が必要なのは資格確認書の交付を受けている場合です。
資格確認書を返し忘れたらどうなりますか?
気づいた時点で退職した会社へ連絡してください。郵送で返却する場合は、個人情報にあたるため追跡できる方法で送るのが安全です。返し忘れていても、資格喪失日以降は使えません。誤って使うと医療費の返還を求められます。
退職日と入社日が空いています。その間はどうなりますか?
1日でも空白があれば、その期間は国民健康保険に加入する義務があります。「すぐ次が決まっているから」と手続きをしないと、その間に受診した場合に全額負担になります。空白が短くても、市区町村の窓口でご相談ください。
マイナ保険証を持っていないと退職後に困りますか?
困りません。マイナ保険証を使わない方には、新しい保険者から資格確認書が申請不要で交付されます。ただしマイナ保険証のほうが情報反映が早く、カードを受け取り直す必要もないという違いはあります。
まとめ
- 返却するのは「資格確認書」。マイナンバーカードは返さない
- 在職時の保険資格が使えるのは退職日まで。翌日以降に使うと医療費の返還を求められる
- 退職後の選択肢は再就職先/国民健康保険(14日以内)/任意継続(20日以内)/家族の扶養の4つ
- 再就職の場合、日本年金機構が受理してから2〜5営業日程度でマイナ保険証に反映される
- 反映前に受診すると一時的に10割負担。後日払い戻しを受けられるので領収書を保管する
- 通院中の方は退職時期と受診日が重ならないよう調整すると立て替えを避けられる
国民健康保険への新規加入の手順は国民健康保険の加入手続き|必要書類と資格確認書のもらい方で解説しています。
本記事は全国健康保険協会(協会けんぽ)および厚生労働省の公表情報にもとづき、2026年9月時点で作成しました。手続きの詳細・必要書類・日数は、加入している健康保険組合や市区町村によって異なる場合があります。実際のお手続きにあたっては、勤務先の担当部署または加入先の保険者にご確認ください。

