日本では、国民皆保険制度が導入されており、国内に住んでいる外国籍の人も加入の対象です。健康保険には、国や地方自治体が主体として管理する「国民健康保険」と、企業が主体として管理する「社会保険」があります。今回は、国民健康保険の扶養について詳しく解説していきます。
目次
国民健康保険の「扶養」とは?
国民健康保険に「扶養」の概念はない
国民健康保険と社会保険の大きな違いとして、「扶養家族に対する概念」があるかどうかという点が挙げられます。社会保険では、夫の収入によって生計を立てている妻や子供を扶養家族とすることが可能です。夫の加入する社会保険の扶養へ追加すると、加入者1名分の保険料で扶養家族の保険料も納めたものとみなされます。
一方、国民健康保険には扶養という概念はありません。そのため、社会保険では扶養家族とできる専業主婦・子供などについても、加入者の人数分だけ月々の保険料が発生します。
社会保険でも扶養控除対象外なら国保に加入
社会保険において、年収130万円以上の人は扶養家族として扱うことができません。年収130万円以上の場合、収入を得ている企業の社会保険や国民健康保険に加入する必要があります。
扶養家族の中でパートやアルバイトをしている人は、年末くらいになると働く時間や頻度を調整し、年収130万円を超えないように調整することもあります。
結局どうするのが1番お得なの!?FPによる無料相談サービスで解決!社会保険における扶養の条件や手続き方法については、以下の記事にも詳しい記述があります。
世帯年収や加入者が増えれば高くなる
国民健康保険の保険料は、世帯内の国保加入者の年収合計と、世帯内加入者人数から算出されています。そのため世帯年収が高く、加入人数が多くなればなるほど、国民健康保険の保険料は高くなる傾向にあります。ただし、保険料には上限が設定されているので、保険料は世帯年収にある程度見合った金額となります。
以下の記事には、厚生年金の扶養条件や将来の年金金額についてまとめてあります。ぜひ参考にしてください。
会社を退職した場合はどうなる?
扶養家族が多いほど保険料は上がる
国民健康保険には扶養家族の概念がないため、専業主婦でも子供でもそれぞれに保険料がかかります。また、企業が管理する社会保険と違い、世帯年収や加入人数などによって保険料も異なるため、社会保険よりも保険料が高くなる傾向にあります。
例えば、東京都世田谷区在住で本人(年収400万円)・妻(年収100万円)・子供(小学生)の家族3人(妻・子供が扶養家族)で、社会保険の年間保険料が281,576円だったとします。国民健康保険に切り替えると、年間保険料は397,396円となり、社会保険時代と比較すると115,820円も高くなっていることが分かります。本人以外に、妻や子供の分の保険料が必要となることが、より多くの金額がかかる理由といえます。
手続きや切り替えは市役所で行おう
国民健康保険への加入などの各種手続きは、住んでいる市町村の役所で行うことができます。国民健康保険は市区町村などが運営・管理しているため、手続きも役所で行います。
マイナンバー制度が導入されているため、手続きの際にはマイナンバーカードと運転免許証などの身分証明書を持参すると効率よく進むことがあります。各手続きに必要な書類は次の通りです。
手続きに必要な書類 | |
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会社を退職したとき | 健康保険の資格喪失証明書、年金証書(「退職者医療制度希望者のみ) |
会社に就職したとき | 保険証 |
国保加入者が出産したとき | 保険証、印鑑、母子健康手帳、世帯主の口座番号(ゆうちょ以外) |
国保加入者が死亡したとき | 保険証、印鑑、葬儀の領収書、葬儀費受取人の口座番号(ゆうちょ以外) |
保険証を紛失したとき | 身分証明書(運転免許証やパスポートなど) |
生活保護を受けるとき | 保険証、保護開始決定通知 |
生活保護を受けなくなったとき | 保護廃止決定通知 |
住所変更(転入先) | 転出証明書 |
住所変更(転出先) | 転出する人の保険証(世帯全員が転出する場合には、全員の保険証) |
住所変更(同市区町村内) | 転出する人の保険証(世帯全員が転出する場合には、全員の保険証) |
世帯主が変わったとき | 世帯全員の保険証 |
国保切り替えの手続きは、社会保険から脱退して14日以内に完了させる必要がありますので、できるだけ早めの対応を心がけましょう。
年末調整で控除したい場合は?
妻や子供が働いていても扶養内ならOK
会社に勤めて給料を受け取っている人が、月々の給料から天引きされている所得税額を年末に精算する手続きのことを年末調整と呼びます。扶養家族の中に国民健康保険に加入している人がいる場合、扶養家族分の国民健康保険料額を年末調整で申告すれば控除の対象になります。
国民健康保険に関する注意点
世帯分離は保険料が高くなることも
国民健康保険の保険料の算出には、世帯収入と世帯内加入人数が用いられます。世帯ごとに保険料が違ってくるため、世帯分離を行うと保険料も変わります。世帯分離をすることで、保険料が安くなることもありますが、世帯分離後の保険料のほうが高くなる傾向にあります。
世帯分離についての説明や、国民健康保険の保険料を安くするコツについては以下の記事に詳しく紹介されています。
扶養から外れる際の手続きについて
社会保険の扶養からはずれ国民健康保険に加入する際には、社会保険に加入している世帯主が手続きをする必要があります。手続きの流れは以下の通りです。
1.「健康保険被扶養者(異動)届」の提出
2.「被扶養配偶者非該当届」の提出
3.「資格喪失証明書」の受け取り
4.「給与所得者の扶養控除等の(異動)申告書」の提出
5.「給与所得者の保険料控除および配偶者特別控除の申告書」の提出
会社の担当部署で必要書類の提出や発行などを行うことができますので、相談してみると良いでしょう。
国民健康保険の加入手続きについては以下の記事もあわせてお読みください。
まとめ
社会保険と国民健康保険には扶養の有無など異なる点が多くあります。現在会社勤めで国民健康保険に加入していない人でも、いずれは国民健康保険に加入する可能性があります。今後のためにも、一度国民健康保険の知識を深めてはいかがでしょうか。
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