アフラックの個人年金保険が販売停止になった直接の理由は、2010年代半ばの超低金利で、貯蓄性の高い保険を予定どおりの利率で運用できなくなったからです。日銀のマイナス金利政策と、それに伴う標準利率の引き下げが重なり、同時期に他社でも個人年金・学資保険・終身保険の販売停止や値上げが相次ぎました。
ただしすでに契約している人の保障や年金額が変わることはありません。そして2026年現在、当時とは金利の環境が大きく変わっています。この記事では販売停止の理由を整理したうえで、いま契約を持っている方が「続けるべきか、見直すべきか」を判断する材料をまとめます。
アフラックの個人年金が販売停止になった理由
アフラック生命保険の公式サイトで現在案内されている商品カテゴリは、がん保険・医療保険・資産形成ができる保険・介護保険・死亡保険・学資保険の6つです(2026年6月現在)。ここに「個人年金保険」というカテゴリはなく、新規の取り扱いは行われていません。
販売停止の背景には、大きく2つの要因がありました。
理由1:マイナス金利政策による超低金利
生命保険会社は、契約者から預かった保険料を国債などで運用し、その運用益を含めて将来の年金や保険金を支払います。個人年金保険のような貯蓄性の高い商品ほど、運用利回りへの依存度が高くなります。
2016年に日銀がマイナス金利政策を導入したことで長期金利が大きく低下し、想定した利回りを確保することが難しくなりました。その結果、採算が合わなくなった商品の販売を停止したり、保険料を引き上げたりする動きが業界全体に広がりました。
理由2:標準利率の引き下げ
標準利率とは、保険会社が将来の支払いに備えて積み立てる「責任準備金」の計算に用いる利率で、金融庁が定めています。各社はこれを参考に、実際の保険料の計算に使う予定利率を決めます。
2017年4月、この標準利率が1.00%から0.25%へ引き下げられました。標準利率が下がると、保険会社は「運用で増える分」を少なく見積もらざるを得ません。同じ年金額を用意するために必要な保険料が上がり、貯蓄性商品の商品性が大きく損なわれます。
この改定を機に、多くの保険会社が貯蓄性商品の保険料を引き上げるか、販売そのものを取りやめました。個人年金保険の利率と返戻率の関係は個人年金保険の利率とは?利率の高い保険に入るときの注意点で詳しく解説しています。
アフラックだけの事情ではなかった
この時期、販売停止や値上げに踏み切ったのはアフラックだけではありません。学資保険・個人年金保険・一時払終身保険といった貯蓄性の高い商品を中心に、複数の保険会社が同様の判断をしています。
つまりアフラックの経営状況が悪化したから販売を止めた、という話ではありません。金利環境の変化に対する業界共通の対応でした。ここは既契約者にとって重要な点で、契約の安全性を心配する必要はありません。
2026年のいま、金利環境は逆転している
ここが、この問題を考えるうえで最も重要な変化です。販売停止の原因となった超低金利は、すでに解消に向かっています。
日銀は2024年3月にマイナス金利政策を解除し、その後も利上げを進めました。長期金利の上昇を受けて、生命保険各社は予定利率の引き上げに動いています。日本生命が年金保険や終身保険の予定利率を約40年ぶりに引き上げたことは、その象徴的な例です。
| 2016〜2017年ごろ | 2026年現在 | |
|---|---|---|
| 金融政策 | マイナス金利政策の導入 | マイナス金利解除後、利上げ局面 |
| 標準利率 | 1.00%→0.25%に引き下げ(2017年4月) | 金利上昇を受けて見直しの局面 |
| 各社の動き | 貯蓄性商品の販売停止・値上げ | 予定利率の引き上げ |
この変化は、既契約者にとって2つの意味を持ちます。
- 販売停止当時に加入していた契約は、比較的高い予定利率のまま維持されている可能性がある:予定利率は契約時のものが満期まで適用されます。低金利期より前に加入した契約は、いま新規で入れる商品より有利なことがあります
- 一方で、直近に加入した契約は不利な条件で固定されている可能性もある:最も金利が低かった時期の契約は、現在の水準から見ると見劣りします
「販売停止=損な契約」とは限りません。ご自身の契約がいつ、どの予定利率で成立したものかによって、続けるべきか見直すべきかの判断は正反対になります。
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契約内容はそのまま継続される
新規販売が終了しても、すでに成立している契約の保障内容・保険料・年金額・予定利率が変わることはありません。契約時に決まった条件が、そのまま満期まで続きます。
なお、アフラックは2018年4月2日付で、アメリカン ファミリー ライフ アシュアランス カンパニー オブ コロンバス(日本支店)からアフラック生命保険株式会社へと日本法人化しています。これも契約内容には影響しません。
途中解約が不利になりやすい理由
個人年金保険は長期運用を前提に設計されているため、解約返戻金が払込保険料の総額を上回るのは、保険料払込期間が満了したあとという商品がほとんどです。
契約初期に解約すると、払い込んだ額を大きく下回る金額しか戻りません。加えて、個人年金保険料控除を受けていた場合、解約するとその控除もなくなります。税制適格特約の仕組みについては個人年金保険料の税制適格特約って?をご覧ください。
解約以外の選択肢
保険料の負担が重い場合、解約する前に検討できる方法があります。
| 方法 | 内容 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 減額 | 将来受け取る年金額を減らし、保険料を下げる | 負担は減らしたいが契約は残したい |
| 払済 | 以後の保険料払込を止め、それまでの積立分で年金額を再計算する | 払込を続けるのが難しい |
| 契約者貸付 | 解約返戻金の範囲内で貸付を受ける(利息あり) | 一時的な資金需要 |
| 解約 | 契約を終了し、解約返戻金を受け取る | 上記で解決しない場合の最終手段 |
どの方法が有利かは、契約年・予定利率・払込済期間によって変わります。契約内容を確認したうえで判断してください。
解約返戻金と返戻率の計算方法
返戻率は、払い込んだ保険料に対してどれだけ受け取れるかを示す指標です。
返戻率(%)= 解約返戻金 ÷ 払込保険料の総額 × 100
| 払込保険料の総額 | 返戻率 | 解約返戻金 | 損益 |
|---|---|---|---|
| 500万円 | 110% | 550万円 | +50万円 |
| 500万円 | 100% | 500万円 | ±0円 |
| 500万円 | 90% | 450万円 | −50万円 |
実際の解約返戻金の額は契約ごとに異なります。正確な金額は、アフラックの契約者専用サイトまたはコールセンターで確認してください。推測で判断すると、数十万円単位の差が出ることがあります。
解約返戻金にかかる税金
解約して受け取った金額が払込保険料を上回った場合、その差益に税金がかかります。ここは誤解が多いところなので、正確に整理します。
原則:一時所得として課税される
国税庁の定めによれば、一時所得の金額は次の式で計算します。
総収入金額 − 収入を得るために支出した金額 − 特別控除額(最高50万円)= 一時所得の金額
ここで重要なのが、この一時所得の金額がそのまま課税されるのではなく、「2分の1」に相当する金額が他の所得と合算されるという点です(出典:国税庁 No.1490 一時所得)。
| 解約返戻金 | 払込保険料 | 差益 | 一時所得 | 課税対象 |
|---|---|---|---|---|
| 540万円 | 500万円 | 40万円 | 0円 | 課税なし |
| 600万円 | 500万円 | 100万円 | 50万円 | 25万円(50万円の2分の1) |
例外:一時払で5年以内に解約した場合
次の条件をすべて満たす場合は「金融類似商品」として扱われ、一時所得ではなく源泉分離課税になります。
- 一時払の個人年金保険であること(給付年金総額が定められている確定年金契約に限る)
- 契約開始から5年以内に、年金支払開始前に解約したこと
この場合の税率は一律20.315%(所得税15.315%・地方税5%)です。ここで注意したいのは、課税されるのは解約返戻金の全額ではなく「差益」に対してであるという点です(出典:国税庁 No.1520 金融類似商品と税金)。
月払・年払で保険料を納めてきた一般的な契約は、この例外には該当しません。個人年金にかかる税金の全体像は個人年金にかかる税金とは?損をしない受取方法のコツにまとめています。
アフラックで今も加入できる資産形成商品
個人年金保険は取り扱いを終了しましたが、アフラックは「資産形成ができる保険」というカテゴリで、保障と資産形成を組み合わせた商品を展開しています。公式サイトでは、死亡保障や介護保障を備えながら将来コースを選べるタイプなどが案内されています。
ただし、これらは個人年金保険とは仕組みが異なり、個人年金保険料控除の対象になるとは限りません。同じ「老後資金の準備」でも税制上の扱いが変わるため、乗り換えを検討する場合は控除の可否を必ず確認してください。他社の個人年金と比較したい場合は個人年金保険のおすすめの保険会社は?が参考になります。
よくある質問
販売停止になったら、年金は受け取れなくなりますか?
受け取れます。新規の販売が終了しただけで、既存の契約は約款どおり継続します。年金額も契約時の条件のままです。
アフラックの経営は大丈夫ですか?
販売停止は金利環境への対応であり、同時期に複数の保険会社が同様の判断をしています。個社の経営状態を判断したい場合は、各社が開示するソルベンシー・マージン比率などの指標を確認してください。アフラックのスーパーがん保険はもう古い?もあわせてご覧ください。
解約返戻金の正確な額はどこで分かりますか?
アフラックの契約者専用サイト「アフラック よりそうネット」、または契約者向けコールセンターで確認できます。証券番号を手元に用意してから問い合わせるとスムーズです。
まとめ
- 販売停止の理由は超低金利と標準利率の引き下げ。アフラック固有の事情ではなく、業界全体の動き
- 既契約者の保障・年金額・予定利率は変わらない
- 2026年現在、金利環境は当時と逆転している。契約年によって「続けるべき/見直すべき」の判断は正反対になる
- 解約前に減額・払済・契約者貸付という選択肢がある
- 差益への課税は原則一時所得。特別控除50万円を引いたうえで、さらに2分の1が課税対象
判断の分かれ目は、ご自身の契約が「いつ、どの予定利率で成立したか」です。まずは契約内容を確認したうえで、続けるか見直すかを検討してください。
本記事は2026年8月時点の公開情報にもとづいて作成しています。商品の取り扱い状況や税制は変更される場合があります。契約内容の詳細はご契約のしおり・約款を、税務の取り扱いは所轄の税務署または税理士にご確認ください。

