誰かが亡くなると開始される相続ですが、中には様々な手続きが必要となる場合もあります。この記事で遺産相続に関する手続きの流れや必要書類、代行を頼みたい場合の手順や発生する費用などについて解説します。
目次
相続手続きの流れや費用は?
手続きの流れと必要書類
相続にあたって、まずは遺言書の有無の確認、遺産分割の対象となる相続財産の整理、財産を相続する権利のある者の調査などを行います。遺言書が公正証書遺言でない場合には相続人の立会いの下、家庭裁判所で検認手続きを行います。検認前に遺言書を開封したり、無断で遺産分割の手続きを開始したりすると罰則を受けるケースもあるため、注意が必要です。
遺言書がない場合、相続財産を相続人でどのように分けるのかを決める「遺産分割協議」を行うことになります。「何を誰の相続財産とするのか」という点を明確に決めておくことによって、後々のトラブルを回避できる場合があります。遺産分割協議によって決定されたことは「遺産分割協議書」へ漏れなく記載し、相続人全員が実印により記名押印します。
なお、相続対象には、預金・土地・建物等の他に負債(借金など)も含まれます。資産よりも負債の方が大きい場合などには「相続放棄」を選択することも可能です。
遺言書もしくは遺産分割協議書の準備ができたら、内容に従って金融口座や土地・建物等の名義変更手続きを行います。この時必要となる書類(戸籍、除籍・原戸籍、住民票等)についてはあらかじめ用意しておきましょう。相続金額によっては相続税の支払いが発生するため、納付手続きを行うこととなります。
期限のある手続き
相続財産のうち、住宅ローン・借金・各種税金の未払い分等による負債金額が大きい場合、故人が亡くなってから3か月以内に相続放棄の手続きを行うことができます。期限内に何の手続きもしなければ、単純承認(プラス・マイナスすべての財産を引き継ぐこと)されたとみなされます。
相続税の申告・納付は、故人が亡くなった日の翌日から10か月目にあたる日が期限となります。遅延したり虚偽の申告をしたりするペナルティを受ける場合もあるため、期限内にきちんと手続きを済ませましょう。
必要な費用
相続に際しては、戸籍(1通450円)、除籍・原戸籍(1通750円)、住民票(1通300円)等の各種書類の取得費用がかかります。また、相続登記や遺産分割協議書の作成・遺言書の確認等の諸手続きを司法書士等へ依頼すれば、別途報酬が必要となります。料金は依頼先や依頼事項によって異なりますが、概ね5~20万円程度が相場と言えます。
不動産の相続手続きと費用
手続きの流れと必要書類
被相続人名義の不動産については名義変更手続きが必要となります。具体的には、不動産の相続登記、所有権移転登記です。これらの手続きには登記簿謄本や固定資産税評価証明書等の書類が必要となり、それぞれ数百円の手数料がかかります。
必要な費用
登録免許税として「固定資産評価額×0.4%」が必要となります。例えば、5,000万円の土地の所有権移転登記の場合、登録免許税は5,000万円×0.4%=20万円です。
司法書士に代行を頼む時の費用相場
不動産の相続手続きは自分で行うこともできますが、確実性や迅速性を重視したいのであれば司法書士等の専門家に代行してもらうことが可能です。内容にもよりますが、概ね5~7万円程度の費用で手続き代行を依頼できる場合が多くなっています。
預金の相続手続きはどうすればいい?
手続きの流れと必要書類
預金の相続に関しては、金融機関によって手続き内容や必要書類が異なる場合があるため、まずは取引している金融機関に相談してみましょう。銀行の口座名義人が死亡した場合、「遺族やその身内が預金相続の手続きを行い、払い戻しを受ける」というのが一般的です。この際、遺言書や相続人の印鑑証明書等を求められることがあるため、必要書類についても事前に問い合わせておきましょう。
銀行口座の凍結タイミングに注意
銀行口座が凍結されるタイミングは、「銀行が口座名義人の死亡を知った時」です。名義人の死亡を銀行側が知った時点で、預金は「相続人全員の持ち物」とみなされるため、個人による勝手な引き出しや使い込みを防ぐ目的での措置と考えられます。遺族の届け出によって名義人の死亡が銀行へ知らされる場合・訃報などによって名義人の死亡を知った銀行側が遺族へ連絡する場合などが多数であると言えます。
自分で相続手続きをするとどうなる?
時間と手間がかかる可能性も
相続手続きを相続人や身内が行うことも可能ですが、専門的な知識を持っていないと難航してしまうケースもあります。上述のように相続手続きの中には期限があるものもあり、必要書類もそれぞれに異なっています。また、手続きの準備や書類提出などの度に各市町村役場へ足を運ぶ必要があるため、働きながら手続きを行うことが難しい場合も考えられるでしょう。
不明点は弁護士などへ相談
相続手続きの手順が不明・どこから着手してよいのかわからないという人は、弁護士などの専門家に相談しましょう。報酬は発生するものの、手続きの代行まで依頼できる場合や、専門家の見地からアドバイスをもらえることもあります。初回の相談は無料という弁護士事務所も多いため、概要を話して依頼するかどうか決めるのも良いでしょう。
まとめ
相続手続きにはさまざまな過程や必要書類があります。自分で書類を揃え、手続きを行うことも可能ですが、時間や手間を要することも考えられます。費用相場なども踏まえ、必要な手続きは専門家に依頼することも検討しながら、もしもの際に備えましょう。