定期預金とは、一定の期間を決めてお金を預け入れることで普通預金よりも高い利息を得られることの多い預金です。では、預け入れ時に決めた期日が来る前に解約してしまった場合はどうなるのでしょうか。この記事では定期預金を中途解約したときの利息や手続きについて紹介します。
目次
定期を中途解約するデメリットは?
利息の利率が下がる
多くの場合、定期預金には普通預金よりも高い利率が適用されています。例えば都市銀行やゆうちょ銀行の普通預金(通常貯金)の利率は0.001%ですが、1年定期預金(定期貯金)では0.01%となっています。(2018年2月現在)
定期預金は預け入れの期間が決まっており、途中解約しても原則として元本割れをすることはありません。ただし中途解約時に適応される利率は、預け入れ当初の定期預金の利率よりも低いものとなります。具体的な利率は各銀行により異なるため、解約時に確認するようにしてください。
利率は預金年数で変わる
定期預金は、商品により預け入れ期間が違います。キャンペーンなどを行っている銀行もあるため一概にはいえませんが、預け入れ期間が長いほど定期預金の利率は高くなる傾向にあります。
また定期預金には、預け入れ期間が終了したときに利息を受け取る単利型と、預け入れ期間が終了したときに利息が元金に組み込まれる複利型があります。複利型を選択した場合「元金+利息」に利率が掛かってくるので、定期預金を長く保有することができればより効率的にお金を増やすことができると考えられます。
仕組預金は元本割れの可能性も
仕組預金は預金にデリバティブ(※)を加えた商品で、預金者にリスクを負ってもらう代わりに高い利率を付けることができるという商品です。そのため原則として中途解約できない商品が多く、できたとしても元本割れをする可能性があります。仕組預金を途中で解約したい場合には、窓口でよく相談することが大切です。
※デリバティブ:通貨や債券、株など価格が変動するものから派生した金融商品。具体的には、オプション取引や先物取引、スワップ取引などがある。
中途解約をした場合の利率はいくら?
みずほ銀行の利率
みずほ銀行の定期預金には複数の種類がありますが、今回はスーパー定期(1円~300万円未満の預け入れ)、スーパー定期300(300万円以上の預け入れ)、大口定期(1000万円以上)の中途解約利率を紹介します。
預け入れ期間は1カ月~10年の間で選択できます。仮に1カ月以上3年未満の定期預金を中途解約した場合、適用される利率は以下の通りです。(2018年2月現在)
・6カ月未満での解約:普通預金利率
・6カ月以上1年未満の解約:約定利率(預け入れ時の利率)×50%
・1年以上3年未満の解約:約定利率×70%
ゆうちょ銀行の利率
ゆうちょ銀行の定期貯金は、最低1,000円から1,000円単位で預け入れができ、預け入れ期間は1カ月から5年までを選ぶことができます。定期貯金を途中で解約した場合には、以下の据置期間内払戻金利が適用されます。(2018年2月現在)
・6カ月未満での解約:預入日の通常貯金の利率
・6カ月以上1年未満での解約:預入日の6カ月定期貯金の約定利率×60%
・1年以上2年未満での解約:預入日の1年定期貯金の約定利率×60%
・2年以上3年未満での解約:預入日の2年定期貯金の約定利率×60%
・3年以上4年未満での解約:預入日の3年定期貯金の約定利率×60%
・4年以上5年未満での解約:預入日の4年定期貯金の約定利率×60%
JAの利率
JAの定期貯金の利率は、各店舗により異なります。JAの定期貯金を中途解約した場合は期限前解約利率が適用されますが、こちらは原則として全国のJAで共通となっています。仮に1カ月以上3年未満の定期預金を中途解約した場合、適用される利率は以下の通りです。(2013年3月1日より適用)
・6カ月未満での解約:普通貯金の利率
・6カ月以上1年未満での解約:約定利率×50%
・1年以上3年未満での解約:約定利率×70%
一部だけ解約することは可能?
自動積立は一部解約可能
自動積立は毎月決まった金額を、自動的に普通預金から定期預金へ振り替えて貯蓄していく商品です。中途解約時には、積み立てられたお金の中から一部のみを解約することが可能です。解約した部分には中途解約の利率が適用されますが、その他の部分については定期預金の利率を継続することができます。
自動積立の一部解約は、銀行窓口のほかインターネットバンキングやテレフォンバンキングでも手続きが可能です。ただし、自動積立は定期預金に毎月預け入れが行われるため、預入明細の数が多くなることが考えられます。解約手続きに不安のある人は、窓口で相談するようにしてください。
セブン銀行は一部解約可能
セブン銀行でも、定期預金の一部のみを解約し、残りは定期預金のまま継続するという一部解約が可能です。一部解約をしたいときには、セブン銀行ホームページからログインして利用するダイレクトバンキングサービスか、セブン銀行ATMで手続きをしてください。一部解約した預金は中途解約利率が適用され、普通預金に振り込まれます。
不正取引を防止したい人は、ATMでの定期預金解約取引を停止することもできます。停止の手続きは、ダイレクトバンキングサービスの「各種手続」から行ってください。
自動借入機能で引き出しも可能
普通預金と定期預金が総合口座になっている場合、定期預金などを担保として「自動借入機能」を利用することができます。これにより普通預金口座に残高が無くてもお金を引き出すことができるため、急な出費や口座引き落としへの入金忘れなどに対応することができるようになっています。借入できる金額は銀行により異なりますが、定期預金残高の80~90%を上限としていることが多いようです。
借り入れたお金の返済は、普通預金口座に入金することで完了します。借入した金額には利息がつく(定期預金利率プラス0.5%程度が一般的)ため、早めに返済するようにしましょう。
銀行が破綻したら定期預金はどうなる?
預金保険で1000万までは保証
銀行が破たんした場合、預け入れているお金の全てが返ってくるとは限りません。預金保険機構によって保障されるのは、金融機関ごとに「1人1,000万円まで」と「破たん日までの利息」です。
1,000万円を超えた分の預入金は、破たんした金融機関の財産の状況によって支払われる額が決まります。場合によっては預入金額よりも少ない金額しか戻ってこない可能性がある、ということを覚えておいてください。
定期預金より普通預金が優先
預金保険制度では保障する預入金に優先順位を設けています。預金保険機構によると、破たん時にまず保障されるのは普通預金や当座預金などの「決済性預金」です。決済性預金を保障しても1,000万円に満たなかった場合には、「定期預金」が保障されます。定期預金明細が複数ある場合には満期が早いもの優先的に保障され、満期日が同じ定期預金が複数あったときには金利の低いものから保障されます。
まとめ
定期預金は普通預金よりも高めの利息を得ることができる商品ですが、中途解約した場合には利率が下がってしまうということが分かりました。しかし、一部解約や自動借入機能などを利用すれば、定期預金の利率を継続したまま現金を調達することもできます。より有効に定期預金を使っていきたいという人は、銀行窓口に相談に行ってみてはいかがでしょうか。