一軒家、賃貸マンション、分譲マンション、アパートなど住まいはさまざまですが、火災保険には加入していますか?火災保険は、いつ巻き込まれるか分からない災害に備えるための保険です。この記事では、火災保険の種類や比較方法について解説します。
目次
火災保険とは?
補償の対象は建物と家財
火災保険が補償してくれる範囲は、いったいどこまでなのでしょうか。火災保険には、大きく分けると「建物」と「家財」に対しての補償があります。どこまでを保険の対象にするかで、万が一のときの補償の範囲は変わってきます。
「建物」は、言葉の通りマンションや一軒家などのことです。ただし、建物の本体だけではなく、門や塀などの家の外のものも含まれます。
物置や車庫などのいわゆる付属建物も補償の対象になります。敷地内に別の建物がある場合は、それぞれ火災保険に加入する必要があります。
「家財」は、衣服や家具といった日常生活に使用するもののことです。そのため、店や事務所で業務に使用しているものは含まれません。現金や貴金属などの高価なものについては、保険の加入内容によって補償になることがありますが、証券・プリペイドカードなどは対象になりません。
火災以外の災害もカバー
火災保険というからには、火災が原因の事故でないと補償してもらえないのでしょうか?加入した火災保険の契約内容にもよりますが、洪水によって床上まで浸水してしまったなどの水災や、台風が来て瓦が破損したなどの風災でも補償の対象です。また、落雷によって電気製品が壊れたり、空き巣に入られて窓を割られたりした場合も対象になります。
火災保険が必要な理由
火災は大きな損害を生む
火災はいったいどれくらい起こっているのでしょうか?平成27年の1年間の住宅火災の件数は、全国で12,097件で、全国の総世帯数に対しての比率では0.02%です。つまり、割合としては5,000軒に1軒ということになるため、火災に遭う可能性は、低いようにも感じられるのではないでしょうか。
しかし、いったん火災に見舞われてしまうと大きな被害を受けます。建物が燃えてしまうことはもちろんですが、家具・家電や身の回りのものにも影響が及びます。全焼ではなかったとしても、消火剤や水をかぶってしまうと、使い物にならなくなってしまうからです。
火災が収まったあとも、家を建て直すのに必要な費用、その間の仮住まいの費用、近隣に迷惑をかけてしまった場合にはお見舞いの費用など、出費がかさみます。建物火災の被害の額は平均で341万円となっていますが、全焼で建て直しの場合にはそれ以上かかる可能性が高いです。火災は、それだけ大きな損害を生むのです。
火元の家の賠償責任はない
火災は、自分の家が原因で起こるばかりではありません。近隣の家で火災が起き、その延焼に巻き込まれてしまう可能性もあります。しかし、いわゆるもらい火で家屋に被害が出ても火元となった家の人が補償してくれるわけではありません。
補償されない理由に「失火責任法」という法律があります。法律によると、火元の家に故意や重大な過失がない場合には延焼に関しての損害賠償責任は負わなくても良いことになっています。
普段から火の元に気を付けていても、隣が火事になってしまうかもしれません。火災を他人事と思わずに、しっかりと備えておくことが大切です。
持ち家はローンが残ってしまう
戸建てやマンションなどの持ち家を買うときには、ローンを組むのが一般的です。万が一持ち家で火災が起きてしまうと、家は燃えてしまってローンだけが残ることがあるかもしれません。その場合、既に組んでいたローンと新たな住居費用を支払う必要があります。
災害発生後の生活を守るためにも、火災保険は必要だといえるでしょう。ちなみに、銀行でローンを組む際には火災保険への加入が義務付けられている場合があります。
分譲マンションの火災保険の考え方
自分で加入するのは専有部分
分譲マンションの場合は、火災保険の加入はどのように考えたらいいのでしょうか?分譲マンションの建物には、共用部分と専有部分があります。
共用部分は、その名の通りマンションを所有している人たちで共有しているため、個人で保険をかける必要はありません。管理組合などで責任を負うことになります。
自分で保険に加入する必要があるのは、専有部分です。どこまでが専有部分で、どこまでが共用部分として管理組合が保険をかけているかは、マンションによって異なり、窓やバルコニー・玄関の扉など判断が難しいものもあります。火災保険に加入する前に、マンションの管理規約を確認しましょう。
専有面積の算出方法は2種類
マンションの壁・天井・床なども、共用部分か専有部分かの判断が難しい部分です。専有部分を決める基準には2種類あり、マンションの管理規約がどちらを採用しているかによって異なります。
ほとんどのマンションで採用されているのが「上塗基準(うわぬりきじゅん)」で「内法基準(うちのりきじゅん)」ともいいます。これは、専有部分としては躯体部分を除くというもので、壁・天井・床についてはクロスの内側からということになります。壁の内側や柱は含みません。
もう一つの基準は「壁芯基準(かべしんきじゅん)」といって、壁の中心線までを専有部分にみなすものです。この基準では、壁の内側や柱も一部が専有部分に含まれます。専有である面積が広くなる分、保険料にも影響してきます。
マンションに必要な補償
火災保険では、パッケージ型とカスタマイズ型があります。パッケージ型は、火災以外にも水災や風災・盗難などの補償がパックになっておりさまざまな災害に備えられますが、人によっては不要な補償が含まれている可能性もあります。
カスタマイズ型は、自分の生活に合わせて必要な補償を選んで付けることができるタイプです。例えば、マンションの高層階であれば、洪水の被害は低いでしょう。一方で、水漏れなどは階数に関係なく発生するリスクがあります。
どのような災害が考えられるかをイメージして、内容を検討することが必要です。
火災保険、悩んでいませんか?FPによる徹底解説&無料相談サービス実施中!
賃貸の場合の火災保険は?
大家に対して賠償責任がある
賃貸物件の場合は、建物の所有者は貸主である大家です。そのため、建物に対しての火災保険は大家が加入しています。
ただし、借主である入居者は、貸主に対して原状回復の義務があります。これは失火責任法よりも優先されるため、火災が起きてしまったときに大家に対して賠償責任があるのです。
借家人賠償責任補償を付帯
賃貸契約をする際、火災保険への加入をすすめられることがあります。この際の火災保険には、特約として「借家人賠償責任補償」が付帯されていることがほとんどです。「借家人賠償責任補償」は、入居者が大家に対して負っている原状回復義務に違反した場合の賠償責任に対して補償をするものです。
原状回復とは、部屋を借りたときと同じ状態に戻して返さなければいけないということです。もし火事で燃えてしまったとしたら、火事が起きる前の状態にする必要があります。賃貸における火災保険の重要性については、「火災保険は賃貸アパートで必要?入ってないとどうなる?」でも解説しています。
地震保険にも加入するべき?
地震による火災は火災保険対象外
日本は地震大国です。たびたび大きい地震に見舞われ、甚大な被害がもたらされています。1995年の阪神淡路大震災以降、東日本大震災や熊本地震など各地で大きな地震が発生しています。
水害などにも備えられる火災保険ですが、地震や津波による被害は補償の対象外です。また、火災であっても地震を原因として起こったものについては補償されません。
地震保険は火災保険に付帯して加入
地震による災害に対する備えとしては、地震保険があります。地震保険は単独で加入する保険ではありません。
必ず火災保険に対する特約として加入します。地震保険は住むための住宅であったり、その家財を補償するため、店舗などは加入することができません。
地震保険の保険金額には限度があり、火災保険金の3割~5割の任意の割合で設定することになっています。仮に全壊や全焼してしまったとしても、最大でも半分までしか補償されないということになります。つまり、満額の支払いがあったとしても元通りに戻したり、同等のものは買うことができないということに注意しましょう。
地震保険が必要な人
既に説明した通り、もしも地震や津波で全壊、あるいは全焼しても地震保険の保険金額では同等の家を建てられるわけではありません。しかし、万が一大きな地震が発生した場合、休業を余儀なくされたり、失業する可能性もあります。地震保険に加入していれば、保険金を当面の生活費に充てることができるため、万が一被災した場合に収入を失う可能性が大きい人は地震保険に加入する必要性が高いです。
また、火災保険の必要性でも説明しましたが、住宅ローン契約者は万が一建物が全壊した場合、ローンと新たな住居費用を払わなければいけません。住宅ローンを組んでいる人は、地震保険が必要だといえます。
地震による建物の被害があまりなくても、電化製品などの家財が地震で壊れる可能性があります。もしも複数の家財が壊れた場合、多額の買い替え費用が発生します。預金や貯金、その他の資産が少ない人も、地震保険で備えておいた方が良いでしょう。
火災保険の選び方
建物の補償額は新価にする
火災保険を契約する際には、補償額の上限を設定することになります。建物と家財について、それぞれ別で補償額を設定することができます。そしてもしも被害が出た場合、原則として実際に発生した損害額を補償します。
建物の補償額のことを、保険価額といいます。保険価額は2種類あって、考え方によって異なります。
建物を今新たに建て直したらいったいいくらかかるかというのが「新価」です。一方、その建物を建てたときの金額から、今まで経過した年数に応じての経年劣化や消耗などを考慮して価値を減らしたのが「時価」です。
万が一火事で家を失ってしまった時に、時価を元に補償額を決めていると補償が足りなくなってしまう可能性が高いです。建物の補償額は、新価を基準に決めましょう。
家財の補償額の決め方
家財に関しては、補償額はどのように決めたらいいでしょうか。今持っている家財が全部なくなってしまったとして、もう一度買い直すことができる金額を「積算評価」と呼びます。積算評価を基に基準額を決めれば正確な補償額が決められるかもしれませんが、実際には全ての家財の価格をはじき出すのは、難しいのではないでしょうか。
家の大きさ・世帯の人数・年齢などを元にして、保険会社が所有家財を推定して基準を決めたものを「簡易評価」といいます。家庭によって所有家財は異なるものの、簡易評価は補償額の目安になります。家財の評価額は、簡易評価で決めると良いでしょう。
見積もりの比較ポイント
損害保険会社は、それぞれ火災保険を販売しています。加入を考える際には、複数の会社で見積もりを取って検討しましょう。
ただし、各社の火災保険の補償内容には、それほど大きな差はありません。見積もりを比較する際に気を付けたいのは、どのように補償されるかです。
例えば、費用保険金に注目しましょう。火事等が発生した場合、壊れたものを処分する費用が発生します。これを「残存物取り片付け費用保険金」と呼びますが、火災保険金は、実際の損害に対して支払われるため、残存物の片づけ費用は含まれていません。片づけ費用にも備えたい場合には、費用保険金が充実しているものを選ぶと良いでしょう。
その他の費用保険金として、臨時費用保険金や失火見舞費用保険金などがあります。費用保険金は基本補償に入っている場合と、オプションになっている場合があります。
まとめ
一口に火災保険といっても、補償してくれる災害はさまざまです。自分の住んでいる地域の特性や、自分の生活パターンを元にして、保険料に無駄のないようにしながら、いつ襲ってくるか分からない災害にしっかり備えておきましょう。
おすすめの火災保険とは!?FPによる徹底解説&無料相談サービス実施中!