老後の備えのために加入したという人も少なくない個人年金ですが、市場金利の低迷により販売停止とする会社もあります。平成28年10月に、アフラックの個人年金も販売停止となりました。もし解約した場合、解約返戻金などはどうなるのでしょうか?概要を説明します。
目次
アフラックが社名変更!なぜ?
「アフラック生命保険株式会社」へ
アフラックは、2018年4月2日付で、アメリカン ファミリー ライフ アシュアランス カンパニー オブ コロンバスから、アフラック生命保険株式会社へと名称が変更となりました。同時に、米国法人が運営していた保険事業を、日本法人へと譲渡しています(後ほど詳しく説明します)。このページでは、呼び名を「アフラック」で統一の上、解説を行います。
日本法人に事業譲渡
なぜアフラックに会社名の変更が起こったかというと、親会社のアメリカン ファミリー ライフ アシュアランス カンパニー オブ コロンバスが日本で営んでいた保険事業のすべてを、新しく設立した日本法人に譲渡したためです。このことによって会社の名前は変わりましたが、会社の本拠地、契約内容や保険料、その他のサービス等に変更はなく、既存の契約はそのまま継続となっています。そういった意味で、保険加入者に対する影響はほとんどないといってよいでしょう。
アフラック個人年金はなぜ販売停止?
販売停止や値上げの動きは保険全般に
アフラックの個人年金は日本法人設立前の2017年に販売停止となりましたが、その他の保険会社の商品にも販売停止や保険料値上げの動きが出ています。2017年4月に保険商品の値上げを行った保険会社は多く、特に貯蓄性の高い商品である学資保険・年金保険・終身保険などの一部については2017年以前にも販売停止の動きがありました。
原因1:低金利
保険商品が販売停止や値上げに追い込まれる原因の一つが低金利といえます。2016年から導入された日銀のマイナス金利政策によって低金利が継続しており、保険の種類によっては「加入者から受領した保険料を運用して保険金を準備する」というスタイルの継続が難しくなったという面があります。そのため、資産運用によって支払金額の準備ができない保険の販売を停止したり、継続するとしても運用の原資確保のために保険料を値上げしたりという措置に踏み切った保険会社は少なくありません。
原因2:標準予定利率の引き下げ
また、標準予定利率の引き下げも要因の一つです。標準予定利率とは、金融庁が定めている保険料の運用利率の目安のようなもので、保険会社各社はその数値をもとに予想される運用利回りを決めています。2017年4月に標準予定利率が1%から0.25%に引き下げられ、各社が利率を見直したことが二つ目の原因です。
標準予定利率は保険料への影響大
各保険会社が保険金の支払いに備えて一定の利回りで資金を運用していることを考えると、標準予定利率が保険料に及ぼす影響は小さくないといえるでしょう。特に貯蓄性の高い保険商品においては将来に向けて大きな金額を用意しなければならないため、標準予定利率の改定による影響が強く出る傾向にあると考えられます。
個人年金保険の利率や返戻率についてはこちらの記事も合わせてお読みください。
解約返戻率の計算方法は?解約は損?
販売停止となっているにもかかわらず、アフラックの個人年金保険は個人年金保険の加入者ランキングで8位・満足度ランキングで5位に入っています。このことは、販売停止となった後も保険契約自体は継続中である人が一定数いるということを示しています。
なぜ「解約しない」という選択肢を選んだ人が多いのか、その理由を説明します。
個人年金保険加入者ランキングはこちらからご覧ください。
個人年金保険満足度ランキングはこちらからご覧ください。
途中解約は基本的に損
保険料の値上げなどが見込まれたとしても、個人年金を途中で解約するのは基本的に損であるといえます。個人年金は、長期で運用することが前提となっているため、解約返戻金が払い込んだ元本を上回るのは保険料払込期間の満了以降、という商品がほとんどです。そのため、途中で個人年金を解約すると払い込んだ保険料以下の金額しか戻ってこず、損をする場合が多いのです。
見直しや保険金の減額という選択肢も
保険料が負担となる場合、保障内容の見直し・保険金の減額などを行うことによって保険料の支払金額を減らす、という方法もあります。例えば、将来受け取る保険金を減らせば、積み立てる金額も少なくて済むため、払込保険料は安くなります。このような手段を採れば、個人年金保険を解約せずに済むこともあります。
現在の経済状況などに合わせて保障内容や保険料の見直しをしてみたい場合、保険代理店へ相談に行くとわかりやすくシミュレーションしてもらえるためおすすめです。
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解約返戻率の計算方法を解説
保険商品の返戻率は、保険会社や商品によって異なります。返戻率とは「これまでに払い込んだ保険料に対して、どの程度の保険金や解約返戻金を受け取ることができるか」ということを示した指標です。この数字が高ければ高いほど受け取れる金額が多く、貯蓄性の高い保険ということになります。解約時の返戻率は、「受領できる解約返戻金の総額÷これまでの支払保険料の総額」で計算できます。
解約返戻金シミュレーション
返戻率をもとに、解約返戻金をシミュレーションしてみましょう。払込保険料が500万円・返戻率が110%であった場合、550万円の解約返戻金を受領することができます。払込保険料が同額で、返戻率が90%であった場合には450万円しか受け取ることができないため、損となってしまいます。返戻率は保険会社の窓口や保険代理店などで確認することができるため、問い合わせてみましょう。
返戻金には税金がかかる場合も
返戻率が100%を超える場合、つまり解約によって得をした場合、解約返戻金に税金がかかることがあります。課税されるのは所得税ですが、基本的には一時所得の一部として総合課税の対象となります。ただし、一時所得には50万円の特別控除があるため、「解約返戻金から支払金額を差し引いた額が50万円以下の場合」 は課税されません(例外的に、契約から5年以内に確定年金を解約した場合には解約返戻金の20%について源泉分離課税が行われます)。
個人年金保険にかかる税金についてはこちらの記事にもまとめてあります。
まとめ
アフラックをはじめ、各社で値上げや販売停止が行われている個人年金ですが、保険料が上がったという理由で解約に踏み切ってしまうと損をすることにもなりかねません。保険金額・保障内容の見直し等によって継続が可能となることもあるため、迷った際には保険代理店などで相談してみてもよいかもしれません。
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