大腸がんや大腸ポリープなどの早期発見にも役立つとされている大腸内視鏡検査ですが、どんな検査かよく知らないという人も多いのではないでしょうか。この記事では、大腸内視鏡検査の流れや費用などを詳しく解説します。
目次
内視鏡検査とは?
内肛門からカメラを入れて大腸を検査
大腸内視鏡検査は、肛門から小型カメラのついた内視鏡を入れて大腸を観察し、病変が起きている部分の形や大きさを調べる検査です。内視鏡は太さ11ミリ~13ミリで細長くやわらかい形状をしており、大腸の表面の色や出血の様子を詳しく観察できるため、診断に活用しやすくなっています。
胃や食道の検査は鼻や口から
同じ内視鏡検査でも、胃や食道、十二指腸などを検査するための上部消化管内視鏡検査は、鼻や口から内視鏡を挿入して行われます。この検査は、食道がん・胃潰瘍・十二指腸潰瘍などを発見する際に有効とされています。
経口内視鏡検査の場合は、のどに麻酔をかけたり、胃の運動を抑える薬・緊張を和らげる薬などを投与したりした後に内視鏡が挿入されることになります。経鼻内視鏡検査では、鼻やのどの麻酔・鼻を通りやすくする薬などを使用するケースが多く見られます。
バリウムより見落としが少ない
大腸のバリウム検査では、バリウムを入れた腸のレントゲンを撮って病変を調べます。肛門から入れるという点では内視鏡検査と共通していますが、がんの見落としが少なくなかったことや、X線の影響による放射線被ばくなどを理由に、内視鏡検査の方が多く用いられるようになりました。
ポリープなどはその場で処置できる
大腸内視鏡検査はバリウム検査とは異なり、ポリープなどが見つかり次第その場で切除できることがあります。ただし、ポリープの大きさや出血の危険性などによっては、処置を行わない場合もあります。切除後の検査によってポリープの種類や転移の可能性が分かるケースもあり、治療方針の決定などに役立つこともあります。
大腸内視鏡検査の内容や流れは?
前日や数日前から食事制限
大腸内視鏡検査は腸内を空にした状態で行う必要があるため、当日の飲食は禁止とされています。たばこや薬等も原則禁止となるため、常備薬を服用している人は医師へ事前の相談が必要です。前日も夜遅くの食事は控え、夕食は午後5時ごろまでを目安に、消化の良いものを少なめにとるようにします。
下剤で腸をきれいにする
当日は下剤による前処置を行います。1.5リットル~2リットル程度の腸洗浄液を数回に分けて飲み、大腸の中身をきれいにします。腸洗浄液を飲み終えて1時間程度で便意が生じるため、何度かトイレに行くこととなります。
便が透明なものになり、浮遊物や残渣物がなくなったら準備は完了です。自宅で腸洗浄液を飲む場合は、この状態になってから病院に向かいましょう。
肛門からカメラを入れて検査
内視鏡検査の開始時には、鎮静剤や、場合によっては腸の緊張を和らげる薬などを注射します。その後、肛門から内視鏡を挿入し、カメラが映す腸内の映像を医師が確認しながら検査を行います。一般的な所要時間は15分~20分程度ですが、人によって前後することもあります。
検査後はしばらく横になって安静にし、その日のうちに検査の結果を聞くことも可能です。ただし、組織の採取を行った場合などは検査結果の通知が後日となることもあります。検査当日は車の運転や激しい運動、飲食や入浴などに制限があるため、注意事項をよく確認しておきましょう。
胃や食道の内視鏡検査の流れは?
前日や当日も水はOK
胃・食道の内視鏡検査でも当日の飲食やたばこ、薬の摂取は原則禁止です。ただし水を飲むことは許されています。大腸内視鏡検査と同様、常備薬を服用している場合は、事前に医師へ相談しておくと良いでしょう。
前日も、水以外の飲食は夜9時以降禁止である場合が多くなっています。夕食も軽めに済ませるようにして、早めに就寝することがすすめられます。
消泡剤を飲んで鼻または口に麻酔
当日は、まず胃の中を空にするために液体状の消泡剤を飲みます。鼻から内視鏡を入れる場合、鼻腔への噴霧や注入によって麻酔が行われます。麻酔の方法や回数は医院や施設によって異なり、場合によってはのどの麻酔を行うこともあります。
口から内視鏡を入れる場合は、麻酔薬をゆっくりと飲み干します。麻酔後に胃の運動を止めるための薬が注射されるケースもあります。
鼻または口からカメラを入れて検査
準備が整った後、内視鏡が挿入されることとなります。口から入れる場合はマウスピースを通して挿入されます。鼻からの場合は口を動かすことができるため、検査中に医師と会話することも可能です。所要時間はいずれも5分~15分程度です。
大腸内視鏡検査と同様、当日中に検査の結果を確認できるケースもあり、当日の飲食・運動・運転・入浴などには制限があることがほとんどです。医師の指示に従うようにしましょう。
胃潰瘍で入院する場合や検査方法・治療方法などについてはこちらの記事に詳しく紹介されています。
内視鏡検査の費用の相場は?
自費(保険適応外)なら1~3万円
医師からの勧めがなく自らの意志で受診した場合、内視鏡検査は保険適用外となり1~3万円の費用が掛かります。ただし、検査結果に異常が見つかった際には保険が適用されることもあります。
そのため、大腸がんやポリープが心配な場合は、先に便潜血検査(いわゆる検便)を受けることを検討しても良いかもしれません。便潜血検査は自治体によっては補助が出たり、無料で受けられたりするため、比較的軽い負担で受けられることがあります。この結果によって内視鏡検査を受けるかどうか検討することもできるでしょう。
健診の再検査である場合は6千円前後
健康診断の便潜血検査などで異常が見つかり、内視鏡検査を受けることになると、多くの場合は健康保険が適用されます。3割負担であれば6千円前後で検査を受けることが可能です。
また、このようなケースは自費で受ける場合と異なり、たとえ内視鏡検査で異常が見つからなかったとしても保険適用外となることは原則としてありません。ただし、採血などで別途費用がかかることも考えられるため、必要な費用についてはあらかじめ確認しておくと良いでしょう。
ポリープを切除すると2~3万円
内視鏡検査で切除の必要があるポリープが見つかった場合も、保険が適用されます。3割負担であれば2~3万円が目安ですが、ポリープの大きさ・場所・数によって費用も異なります。ポリープ切除は入院せず日帰りで行えるケースもあるため、以前より経済的な負担は軽減される傾向にあります。
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組織検査になったら1~2万円
内視鏡検査で炎症や潰瘍が見つかった場合、組織を採取して顕微鏡で検査を行います。この場合にも保険が適用され、3割負担であれば1~2万円が費用相場といえます。
多くの場合、組織検査が必要になるかどうかは内視鏡検査を受けなければ判断が付きません。そのため、内視鏡検査を受ける際にはさまざまな可能性を考えて費用を準備しておくと良いでしょう。
まとめ
大腸内視鏡は肛門から挿入されるため、検査に抵抗を覚える人もいるかもしれません。しかし、腸内を隅々まで観察することができ、病気の早期発見・早期治療に役立つ面もあります。検査の場合は医療保険から給付金が支払われることはありません。ただ、異常が見つかった場合は保険が適応される場合がありますので、保障内容や保険金の金額などを確認しながら加入を検討してみても良いでしょう。
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