出産をきっかけに退職する際、どのような手続きが必要か知っていますか?この記事では、出産のために会社を辞めるタイミングで発生する手続きや、給付されるお金などについて解説します。
目次
健康保険に関する手続きって?
夫の健康保険の扶養に入る
退職すると、それまで勤務先で加入していた健康保険をいったん抜けなければなりません。何らかの健康保険への加入は義務であるため、別途新たな健康保険へ加入することになります。
夫が一般的なサラリーマンである場合、収入などの要件をクリアすれば健康保険の被扶養者になることができます。また、夫に限らず他の家族の健康保険でも、条件をクリアすれば扶養に入ることができる場合があります。
加入中の健康保険を任意継続する
それまで加入していた健康保険を延長できる「任意継続」という制度があります。任意継続にはいくつか注意点があるため、事前にきちんと把握しておきましょう。
まず、2年間に期間が限定されている点です。また、在職中は会社と折半していた保険料が全額自己負担になるという点、1回でも保険料を納め忘れるとその時点で資格を喪失する点などについても知っておく必要があります。
国民健康保険に入る
国民健康保険への加入は、住んでいる市区町村に申し出て手続きを行います。前年の収入を元に保険料が計算されるため、退職してすぐは保険料が高い場合があります。加入前に試算してもらうこともできるので、任意継続とどちらの保険料が安いかを比較してみるのも良いかもしれません。
出産手当金は退職してももらえる?
条件を満たせば出産手当金の対象
協会けんぽ・組合けんぽの健康保険の被保険者が出産した場合、出産日以前42日から出産後56日までの期間において仕事を休んだ日数に対する出産手当金が支給されます。受給中に退職することとなっても、退職する前の1年間に継続して健康保険の被保険者であれば受給資格があります。
金額は「標準報酬月額平均÷30日×2/3」
出産手当金の額は、標準報酬月額の平均÷30日×2/3で計算することができます。標準報酬月額は給料によって決められていますので、総務部などへ確認してみましょう。
出産手当金・標準報酬月額について、詳しくは以下の記事から確認してください。
出産育児一時金はどうなる?
いずれの健康保険でも対象
勤務先の健康保険・国民健康保険のいずれの加入者であっても、妊娠4か月以上の出産に対しては出産育児一時金が給付されます。退職した場合、以下の2点を満たしていれば元の勤務先の健康保険から支給を受けることができます。
・退職前の1年間に継続して被保険者であったこと
・退職後6か月以内に出産したこと
出産育児一時金は42万円
原則として、どの健康保険においても出産育児一時金の額は「子ども1人あたり42万円」と決められています。ただし、独自の付加給付が設けられている場合もあるため、加入先の健康保険の内容を確認してみてください。
育児休業給付金は?
退職しているともらえない
育児休業給付金は、産前・産後休業が終了した翌日から子どもが1歳になるまでの間(保育所が見つからないなどやむを得ない事情がある場合については、2歳になるまでの間)に育児休業を取得した際に支給されます。育児休業給付金は雇用継続のための制度という側面があるため、退職した場合は支給対象から外れることになります。
支給金額は期間によって変わる
育児休業給付金の基本的な支給額は、「休業開始時の賃金日額の50%」です。賃金日額とは、育児休業を開始する前6か月の賃金を180で割った金額を指します。育児休業の開始から6か月までについては、賃金日額の67%に相当する額が支給されます。
育児休業給付金の概要や計算方法などについては、以下の記事もあわせて確認してください。
そのほかに必要な手続きは?
再就職が前提なら失業給付の延長申請
失業給付とは、雇用保険の基本手当のことです。失業給付を受給するには、退職した翌日から1年経つまでの間にハローワークで求職の申し込みをすることが必要です。しかし、出産で退職した場合についてはすぐに再就職できる状態ではないことが多いため、求職の申し込みはできません。
そのため、妊娠・出産などのやむを得ない事情がある場合には受給期間の延長が認められています。ただし、延長には申請が必要となるため、忘れずに届け出ておきましょう。申請を行うと、退職の翌日から最長4年まで受給期間が延長されます。申請期限は退職から約2か月です。
年度中の退職は確定申告する
会社員であれば、年末調整の際に自分で手続きをする機会はあまりないかもしれません。しかし、退職すると確定申告を行う必要があります。退職時に源泉徴収票が発行されるため、大切に保管しておきましょう。確定申告は手続きがわかりにくいことも多いため、税務署に相談して進めるとよいでしょう。また、以下の記事にも紹介されているので参考にしてください。
翌年は住民税が発生
所得税と同じく、住民税も給与から天引きされている人が多いでしょう。しかし、退職後は市区町村から送付される納付書によって、自分で納めることになります。納め忘れると追徴金を課せられることもあるため、注意が必要です。
まとめ
出産によって退職する際に必要な手続きや、給付されるお金などについて説明しました。妊娠・出産時は体調などにも個人差があり、すべての手続きを自分で行うことが難しい場合もあるかもしれません。制度や手続きについてあらかじめ把握しておき、準備できるものはしておく・協力を仰げる部分はお願いするなどしながら進めるようにしましょう。
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