国民が加入しなくてはならない年金制度には国民年金と厚生年金がありますが、この2つはどのように違うのでしょうか?このページでは2つの年金制度の違いを比較し、まとめて紹介します。
目次
国民年金と厚生年金の仕組み
年金制度は「3階建て」
「3階建て」の建物に例えられる日本の年金制度の1階部分は、法律によって20歳~60歳未満のすべての国民に加入が義務付けられている国民年金です。2階部分は厚生年金で、会社に勤める正社員や一定の条件を満たす労働者が加入し、職業に応じた給付額が国民年金へ上乗せされます。国が運営する公的年金である1・2階のさらに上には、3階部分として企業年金(所属する従業員のために企業や団体が独自に運営する年金制度)などがありますが、このページでは説明を省略します。
国民年金と厚生年金の保険料
国民年金保険料は定額
所得税や健康保険料は収入に応じて金額が上下しますが、国民年金の保険料には年度ごとに定められた保険料率が一律で適用されます。平成16年の制度改革により、国民年金の保険料は平成17年度~29年度まで毎年280円ずつ引き上げる仕組みが採られました(物価や賃金の伸び率によって最終的な改定率が調整される)。なお、平成29年度の国民年金第1号被保険者と任意加入被保険者の保険料は、一カ月あたり16,490円です。
厚生年金の保険料は収入で決まる
国民年金の保険料は収入に関わらず定額が課される一方、厚生年金の保険料は収入が多い人ほど保険料負担が大きくなります。厚生年金の保険料は加入者とその雇用主である会社とが折半する仕組みになっているため、加入者の負担金額は実際の保険料の半額で済むことになります。
年金の切り替え手続きを忘れずに
転職・退職したら年金を切替える
会社を退職すると厚生年金への加入資格がなくなるため、国民年金への切り替えが必要となります。この手続きを行わないと国民年金保険料の未払いの原因となることがあるため、気を付けてください。
逆に、就職や転職によって厚生年金への加入資格を得た場合は、会社が国民年金から厚生年金への切り替え手続きを行ってくれるため、自身で市区町村の窓口に行く必要はありません。しかし、国民年金の保険料を口座振替で支払っていた場合、口座の解除手続きに時間がかかることがあります。厚生年金へ加入するタイミングによっては、解除手続きが完了していない口座から国民年金保険料が引き落とされ「二重払い」の状態となってしまう可能性もあるため、注意が必要です。
国民年金の特徴
国民年金は前納できる
厚生年金の保険料は給与からの天引きという形で納付しますが、国民年金は口座振替で納付するか、市区町村から郵送される納付書に従って金融機関などの窓口で納付することになります。国民年金保険料を支払う際の特徴として、6カ月分・1年分・2年分の保険料を前納(一括前払い)することにより、保険料の割引が受けられるという点が挙げられます。
前納は口座振替・現金・クレジットカードいずれの方法でも可能です。割引率は2年前納が最も高く、平成29年度の2年前納では口座振替で15,640円、現金またはクレジットカード払いで14,400円の割引が適用されました。
国保に上乗せできる国民年金基金
厚生年金の加入者は国民年金に上乗せして厚生年金を受け取れるため、国民年金のみの加入者との間に受給額の差が生じることになります。この問題を解消し、国民年金の第1号被保険者の年金受給額を増やすことを目的とした制度が「国民年金基金」です。加入は任意で、加入者全員が1口以上の掛金を納めると、口数に応じた金額が年金へ上乗せされることになります。
国民年金未納の人は将来どうなる?
国民年金の保険料免除・納付猶予
国民年金保険料を納め忘れてしまった際には、過去2年まで遡って納付することができます。しかし、保険料未納期間が生じてしまうと、将来の年金受給額が少なくなったり受給資格そのものを失ったりすることがあります。
経済的な理由などから保険料を納めるのが難しい加入者のために、国民年金には保険料の免除・納付の猶予が受けられる制度があります。保険料を納められない状況であっても未納のままにせず、各市区町村の国民年金担当窓口へ相談しましょう。
まとめ
国民年金と厚生年金の制度そのものや、保険料の支払い方などの違いについて紹介しました。いずれの年金においても、手続きに不備がないようにすることや保険料をきちんと支払うことなどが大切となります。2つの年金を正しく理解し、老後に備えるようにしましょう。