リスクに対する保障を得られる商品として各種保険が挙げられますが、共済も同じような機能を持っています。この記事では、共済の仕組みや保険との違い、共済がおすすめの人などについて詳しく紹介します。
目次
共済とは?
組合員の相互扶助による保障の仕組み
共済とは、互いに助け合う「相互扶助」を目的とした保障のしくみです。死亡や入院、火災・自然災害・事故などのリスクへ備えるために加入者が掛金を支払い、共済で決められた支払い事由に該当する損害などが生じた際に共済金が給付されます。掛金→保険料、共済金→保険金と言い換えると、保険とよく似た制度であることがわかります。
現在では農業協同組合(JA)や生活協同組合(コープ)に加え、漁業協同組合・事業協同組合なども共済事業を行っています。
保険との違いは「営利目的かどうか」
保険との違いとして、共済は営利目的で運営されているわけではないという点が挙げられます。掛金が安く設定されている共済も多く、決算時に剰余金が出た場合には加入者へ割戻金として還元される取り組みなどが行われています。
共済と保険には、管理する法令にも違いがあります。保険は「保険業法」、JA共済は「農業協同組合法」、生協などが運営するその他の共済は「消費生活協同組合法」にもとづいて事業が行われています。一方、加入者の権利や義務などについては共済・保険とも「保険法」がもとになっています。
主な共済
都民共済・県民共済
都民共済や県民共済は、厚生労働省の認可によって設立された「全国生活協同組合連合会」という非営利団体が元受けです。2018年5月現在、39の都道府県で都道府県民共済が提供されており、加入できるのは居住地か勤務地がある都道府県民共済です。転居や転職などの際には、移転先に都道府県民共済の取り扱いがあれば契約を引き続ぐことも可能です。
都道府県民共済では「生命共済」と「火災共済」を取り扱っており、「生命共済」では入院時や死亡時の保障、「火災共済」では火災や自然災害時の保障を受けることができます。どの都道府県でも掛金や保障内容はほぼ等しいものとなっていますが、商品名や付属サービスなどが一部異なる場合もあるため、詳細は各都道府県民共済のHPなどを確認するようにしてください。
都道府県民共済の加入者にアンケート調査を行い、結果をまとめた記事がこちらです。
県民共済の評判や満足度は?加入者のリアルな口コミをもとに解説!
全労済
全労済は厚生労働省の認可を受けて共済事業を行う「全国労働者共済生活協同組合」が管理する共済制度で、「消費生活協同組合法」がもとになっています。出資金を支払えば誰でも組合員として各種共済へ加入することができ、47都道府県のすべてに窓口が設けられています。近くに窓口がないときや出向くことが難しいときには、訪問相談も依頼できます。
全労済には各都道府県の共済生協や職域による共済生協があり、「生命保障」「損害保障」「賠償補償」にあたる共済事業を実施しています。6分野・11商品の取り扱いがあり、「遺族保障」「医療保障」「住まいの保障」「くるまの補償」などが提供されています。
全労済が取り扱うこくみん共済などについて、加入者の口コミや評判をまとめた記事も紹介します。
こくみん共済の評判ってどうなの!? リアルな口コミや満足度は?
コープ共済
2008年11月に設立されたコープ共済では「会員生協」が組合員の窓口となり、「日本コープ共済生活協同組合連合会」が運営・共済金支払いなどを行っています。監督官庁は厚生労働省であり、「消費生活協同組合法」に基づいて運営されています。2018年5月時点では全国147の生協で取り扱いがあり、引越しなどで組合を脱退した場合には転居先で新たに組合員となれば契約を継続することが可能となります。
提供されている商品は死亡保障を中心にした「あいぷらす」や、入院・通院も保障される「医療コース」「ベーシックコース」などがあります。終身保障の医療共済・生命共済である「ずっとあい」を取り扱っている点もコープ共済の特徴の一つです。
コープ共済の加入者の声はこちらにまとめてありますので参考にどうぞ。
コープ共済の評判や満足度は?加入者のリアルな口コミとともに紹介!
JA共済
JA共済は「農業協同組合(JA)」と「全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)」が共同で行っている共済事業で、農業に従事していない世帯でも准組合員になれば加入することができます。契約の募集や手続きはJAが行い、JA共済連が審査・査定・運用などを担っています。監督官庁は農林水産省で、「農業協同組合法」に基づいて運営が行われています。
JAは金融事業なども行っているため全国に多くの窓口があり、JA共済連も全国47都道府県に「都道府県本部」を設置しています。そのため、転居をした場合でも移動先の最寄りのJAで契約を継続することができます。
JA共済が取り扱っている商品は『ひと』『いえ』『くるま』の共済に分かれており、『ひと』の共済には「定期生命共済」や「養老生命共済」、「子供共済」「医療共済」などの種類があります。また、『いえ』の共済には火災や自然災害に備える「建物更生共済 むてきプラス」があり、『くるま』の共済には自動車事故の損害に備える「自動車共済 くるまスター」の用意があります。
JA共済についてはこちらの記事にも詳しく記述があります。
共済のメリット
掛け金が安い
共済は「組合員の助け合い」を目的として非営利で運営されている事業であるため、民間の保険会社と比較すると掛金が安い場合が多くなっています。高齢になるほど病気のリスクが高まることから、民間の保険商品では年齢が上がるほど保険料も高く設定される傾向にあります。しかし、共済では掛金が「年齢群団方式(※)」で決められている商品が多く、一定期間は年齢に応じて掛金が上がらない点もメリットといえます。
※年齢群団方式…ある年代をひとくくりとみなすこと。20歳~60歳、70歳~85歳など、一定年代であれば掛金が上がらない仕組みとなっている共済も多い。
割戻金がある
共済は原則として非営利事業であるため、毎年の決算後に剰余金が発生した場合には「割戻金」として加入者へ還元しています。支払われた掛金の総額から、支払い事由に該当した際の「共済金」として給付した金額や「事務費」・「人件費」などを差し引いた額が割戻金にあたります。
割戻金には以下のような支払方法があります。
・加入者の口座へ毎年振り込み
・次年度の掛金と相殺
・年度ごとの割戻金を積み立てて満期時や解約時にまとめて支払い
割戻金の額や支払い方法は商品によって異なりますが、年度末より前に解約すると支払われない場合もあるため注意が必要です。
掛金が一律である商品が多い
生命保険では、年齢や健康状態などによって個別に保険料が決まるケースが多くなっています。しかし、共済では年齢群団方式で掛金が設定されていることが多く、年齢が上がっても掛金が変わらないことがあります。
コープ共済の例を見ると、0歳から満64歳の組合員であれば掛金が一律1,000円もしくは2,000円の医療保険があります。
保険金の請求手続きが簡単
共済では、加入・共済金請求などの手続きが比較的簡単である点も特徴の一つです。新規でも健康状態の告知のみで加入でき、健康診断書の提出などは不要という場合もあります。民間の保険会社の中には保障が適用されるまでに数ヶ月を要するケースもありますが、共済では掛金を支払えば翌日から保障対象となる商品もあります。
生命保険では診断書が必要となる場合が多い入院給付金の請求についても、共済では健康保険証と診察券のコピーのみで請求が可能となることがあります。
共済のデメリット
保障額が限られている
共済には掛金が安いというメリットがありますが、加入できる保障額が限られるというデメリットもあります。生命保険には死亡保障の上限が高額に設定されている商品もありますが、共済の保障額は保険より低い傾向にあります。商品によっては、入院を重点的に保障するために死亡保障が数百万円という例もあります。
子供の教育費・養育費が必要な家庭、これから結婚・出産の予定がある家庭などにとっては保障額が十分とはいえないかもしれません。
カスタマイズできないことが多い
さきほど年齢群団方式で掛金が設定されるメリットを紹介しましたが、掛金が一律であるために保障内容がカスタマイズできないというデメリットもあります。年齢群団方式では幅広い年齢の加入者から同額の掛金を集めるため、保障内容を個人に合わせて変更することが難しいという一面も持っています。
また、共済によっては定期型の取り扱いしかなく、終身型の保障を選ぶことができない場合もあります。高齢となってから新規加入すると、保障額が減るケースがある点などもデメリットの一つといえます。
若い人は割高になることも
年齢群団方式を採用すると、年齢が上がっても掛金が変わらないメリットがあります。しかし、健康リスクが高まる世代と若い世代とが同じ保険料を支払うということは、若い加入者が高齢者のリスクも負担するということを意味しています。そのため、保障と掛金の関係性を考えると、若い世代にとっては掛金が割高となってしまうこともあります。
健康リスクが低い世代はインターネット保険などへも安く加入できる場合が多いため、共済で受けられるメリットが高齢世代より少ないと感じることもあるかもしれません。
高齢になると保障が薄い
共済商品では加入年齢が60歳や65歳までとなっている場合が多く、高齢になると保障が先細りすることがあります。実際に必要となったタイミングで十分な保障が得られない可能性もあるため、加入可能年齢や保障期間についてはあらかじめ確認しておきましょう。
共済が向いている人とは?
経済的な余裕がない人
共済は民間の保険より掛金が安い場合が多いため、経済的に余裕がないものの最低限度の保障だけは確保したい人などに向いています。月の掛金が1,000~3,000円という共済商品は数多くあり、割戻金があればさらに経済的な負担を軽減することができます。高額の保険料を支払うことが困難と考えられる場合、共済への加入を検討するという方法もあります。
大きな死亡保障が不要な人
独身で社会人になったばかりの人や、子育てが終わって自分のために保障を準備したい人などにとっては、それほど大きな死亡保障が必要ではないことがあります。共済には生命保険のような億単位の保障はない場合がほとんどですが、月々数千円でまとまった金額の保障を得ることが可能です。
死亡のリスクよりも入院・通院などへ備えたい場合、高い掛金や保険料を支払って高額の保障へ加入する必要性はあまり感じられないかもしれません。そのような場合、まずは共済へ加入し、生活環境や家族構成の変化によって内容や見直していくことも一つの方法です。
民間保険に保障をプラスしたい人
家族が増えたタイミングや、住宅を購入して保障額を増やしたいタイミングなどに共済に加入するという選択肢もあります。保険へ新たに加入し直したり保障内容を見直したりする場合、年齢や保障額によっては保険料がアップし、負担額が大きくなるケースがあります。
しかし、共済の中には、月々数千円を追加することで入院日額を増額できたり、保険金額を増やしたりすることができる商品もあります。また、子供の保障・自然災害に対する見舞金などは保険より共済の方が幅広く対応している場合もあります。民間保険で不足する部分を補うという使い方もできるでしょう。
まとめ
共済には、掛金が安く支出を抑えられるというメリットがありますが、高齢になると保障が少なくなるなどのデメリットもあります。自分が負担できる掛金額・必要な保障等を考慮し、保険とも比較しながら検討してみてください。
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