失業期間中に給付金を受け取ることができるのが失業保険ですが、受給額によっては扶養から外れてしまう可能性もあります。この記事では、扶養とは何か、また扶養と失業保険の関係などについて紹介します。
目次
そもそも扶養とは?
「税金」と「社会保険」の扶養がある
「扶養」という言葉は、税金面と社会保険面の二つに分かれています。「誰かを養うこと」という意味自体に違いはありませんが、税金と社会保険では扶養が認められる条件がそれぞれ異なります。そのため、どちらかにおいて扶養関係が認められた場合でも、もう一方では認められない可能性があります。
国民健康保険には扶養がない
税金・社会保険において扶養関係が認められると税や保険料の控除を受けることができますが、国民健康保険には扶養関係による優遇措置はありません。そのため、世帯主や一家の大黒柱が国民健康保険に加入している場合、他の家族もそれぞれ国民健康保険に加入して人数分の保険料を支払う必要があります。
失業保険受給中、扶養に入れない理由
受給額が収入制限を超えると入れない
扶養には年収による制限が設けられているため、失業保険等の受給額が上限を超えてしまうと扶養に入ることはできません。失業保険の受給額は退職前にある程度予測することができるため、扶養に入れるかどうかをあらかじめチェックしておきましょう。
扶養に入れる受給額とは
扶養が認められる上限額より失業保険の受給額が低い場合には、扶養に入ることができます。社会保険の扶養は年収130万円未満であることとされているため、日額に換算するとおよそ3,611円になります。
扶養へ入る・外れるタイミングとは
給付待機期間中に扶養に入れる場合も
自己都合によって会社を辞めた場合、一般的には3ヶ月の失業保険給付制限期間が設けられます。仮に受給額の日額が扶養の上限額を超えていた場合でも、給付制限期間中であれば扶養に入れる可能性があります。しかし、社会保険によって取扱いが異なることもあるため、まずは加入先の社会保険へ問い合わせてみるとよいでしょう。
受け取り開始後には扶養から外れる
失業保険の給付制限期間中に扶養へ入った場合、受給が開始されたら扶養からは外れることになります。これは受給額が扶養の上限額を超える場合に限ったケースであるため、上限金額以下であれば引き続き扶養に入ることが可能です。
扶養から外れたら国保や年金の手続き
失業保険の受給が始まって扶養から外れた場合、自分で国民健康保険や年金の手続きを行う必要があります。手続きを行わないと無保険状態になったり、将来受け取る年金額が減少したりする可能性があるため、手順や必要書類などについては前もって確認しておきましょう。
国保や年金に関する手続きの詳細については、以下の記事から確認してください。
受給終了後には再度扶養に入れる
失業保険の受給期間には限りがあるため、期間終了後には再度扶養に入ることが可能です。この場合も、扶養関係が認められるか否かは年収を基準に判断されるため、受給が終了することで上限額以下の収入となる人が扶養の対象です。
失業保険や扶養に関する手続きは?
失業保険受給の必要書類や流れ
失業保険を受給するには、住所管轄地のハローワークに行って手続きをします。その際、必要なものは以下の通りです。
・個人番号確認書類(雇用保険被保険者離職票、マイナンバーカード等)
・身元確認書類(免許証、パスポート等)
・証明写真
・印鑑
・本人名義の通帳もしくはキャッシュカード
手続きの流れとしては、まず「求職の申込み」を行い、その後「雇用保険被保険者離職票」を提出します。離職票は退職後に会社から送付されるのが一般的ですが、もし届かない場合は会社に確認したり、ハローワークへ相談したりしてみましょう。
扶養に入るための手続きや流れ
扶養に入るためには、扶養者が加入している社会保険へ必要書類を送付する必要がありますが、勤めている会社が代わって手続きを行ってくれることが一般的です。そのため、会社へ「被扶養者(異動)届」とその他指示された書類を提出すれば、多くの場合手続きは完了です。
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受給資格があり働く意志があるなら可能
失業保険には「失業者が次の職を見つけるまでの生計を保障する」という意味合いがあるため、受給するには原則として「就労意思」を示す必要があります。家庭に入ることを前提とした結婚退職であれば難しいかもしれませんが、受給資格を満たしており就労意思があれば受給は不可能ではないでしょう。
妊娠や出産が理由なら期間延長できる
失業保険を受給できる期間は予め定められていますが、妊娠や出産等によって失業状態が続く場合には受給期間を延長することができます。最長で「離職日の翌日から4年以内」まで延ばすことができるため、条件に該当する場合は忘れず申請を行いましょう。
まとめ
扶養の種類や概要、失業保険との関連などについて説明しました。扶養・失業保険ともに満たすべき条件が設けられているため、該当するかどうかあらかじめ確認しておきましょう。