全労済は共済事業を行う団体ですが、保険と共済とはどのように違うのでしょうか。また、全労済では人の補償だけでなく火災や自動車事故の損害に対する商品も取り扱っています。今回は全労済の特徴や保障・補償の内容に関して詳しく紹介します。
目次
全労済とは?
営利を目的としない組合の保障
全労済は厚生労働省の認可を受けて事業を行う協同組合で、「全国労働者共済生活協同組合連合会」が正式名称です。消費生活協同組合法(生協法)をもとにして、組合員の生活を守ることを目的としています。
消費生活協同組合法(生協法)には「国民の自発的な生活協同組織を発達させ生活の安定を期する」「営利を目的として事業を行わない」という決まりがあります。全労済でも、生活に関するリスクに対して「相互扶助」の精神で共済事業が行われており、出資金を支払うことで誰でも組合員となり各種共済へ加入することができます。営業を目的としない「非営利」の組織であり、組合員が事業の運営にも参加して全労済の活動が行われています。
労働者福祉事業という位置づけ
全労済は、社会保障などの「公的福祉」や会社組織による「企業内福祉」とは異なり、労働者自身が主体となる「労働者福祉」を目的としています。「労働者福祉」とは自らの資金と組織によって生活上の問題の解決を目指す活動のことをいいます。
また、労働者福祉中央協議会(中央労福協)を中心に労働者福祉の活動が行われ、事業団体としては「共済生協」のほかにも「労働金庫」や「購買生協」「住宅生協」などがあります。「共済生協」には都道府県ごとの地域に勤める労働者が主体となるものと、都道府県の区域を越えて職域の労働者が主体となる共済生協があります。
全労済の活動は、労働組合員によって組織化され運営が成り立ってきましたが、現在では地域の労働者や一般の組合員全体にも活動が広がっています。
全労済は保険でなく「共済」
全労済の共済は、生命の危険・住宅災害・交通事故等など、さまざまなリスクに対して組合員同士が掛金を出し合い助け合うという仕組みによって成り立つ保障事業です。営利目的で運営されている保険会社が提供する「保険」とは区別されています。運営の業績によって剰余金が生じたときは、加入者に「割戻金」が支払われる場合もあります。
共済と保険は制度も似ており、理解しにくい場合があるかもしれません。そのようなときには、わかりやすく説明してくれる保険代理店などで質問してみることをおすすめします。
質問だけでもOK!保険・共済に関する無料相談サービス実施中!
全労済で扱う共済は?
人に対する保障
共済の保障にはいくつかの分野があり、人に対するものとして死亡のときの「遺族保障」や入院に備える「医療保障」、「障がい・介護保障」、「老後保障」があります。これらを保障する商品として「こくみん共済」「新せいめい共済」「いきいき応援」「新総合医療共済」などがあり、それぞれの分野をまたいだ保障内容となっています。
住まいに対する保障
全労済は、新火災共済と新自然災害共済を合わせた住まいへの保障も提供されています。住居が「持家」か「賃貸住宅」かによって必要な保障を選択することが可能で、各種特約を付加すれば賠償責任や盗難などへの補償を追加することもできます。
自動車に対する補償
車での事故による賠償責任や損害の費用などを補償する「くるまの補償」も提供されています。他の保険や共済では20等級までの区分がほとんどですが、全労済では最大22等級までとなっており、割引率も高い傾向にあります。
また全労済には法律で加入が義務づけられており、未加入のまま運転をすると罰則がある「自賠責共済」の取扱もあるため、同時に加入することも可能です。
総合保障「こくみん共済」の特徴は?
タイプごとに掛金が一律
全労済の「こくみん共済」には、医療・生命・賠償などに対する保障があります。年齢による保険料の差がなく、タイプごとに掛金が一律となっている点が特徴です。死亡保障と入院の保障を兼ね備えた「総合保障」や保障額が2倍になる「総合2倍タイプ」があり、「大型プラン」では事故による死亡保障が最高3,000万円となっています。
加入時に医師の診断は不要で、更新時にも基本的に掛金が上がらず、毎年の決算時に剰余金があれば「割戻金」として払い戻されるため、経済的な負担の軽減につながることがあります。
こくみん共済についてはこちらの記事に詳しくまとめられています。
総合保障は医療・死亡などをカバー
総合保障では、加入者が死亡した場合に、原因を「交通事故」「不慮の事故」「病気等」に分けて共済金が支払われます。交通事故・不慮の事故などによって体に障がいが残った際には、程度に応じて共済金が支払われます。
総合保障には医療保障もあり、死亡の場合と同じように「交通事故」「不慮の事故」「病気等」に分けて入院日額が支払われます。なお、交通事故で通院したときには通院給付も受けることが可能です。
医療保障は4種類
医療保障には4種類があり、「医療タイプ」では入院や通院と、死亡や重度の障害にも対応しています。女性特有の病気で手術をした場合にも一時金が支払われ、日帰り入院や日帰り手術も対象です。先進医療対応の「医療安心タイプ」と「医療安心Hタイプ」では先進医療保障は通算の限度額がなく、入院や手術のほかにも通院まで対応した医療保障です。入院保障は最高で180日まで給付されます。
がん専用の「がん保険プラス」は基本タイプにセットする保障で初めてのがんなら1回に限り 100万円に一時金が給付され、がんで入院したときは1日目の入院から無制限で支払われます。一生涯保障の「終身医療5000」は入院と手術の保障が一生涯続き、掛金は加入時から変わらず、更新による掛金アップもありません。
医療保障についてはこちらの記事も一読ください。
キッズタイプなど子どもの総合保障
満0歳から加入できる「子どもの総合保障」として「キッズタイプ」と「キッズワイドタイプ」があり、子供の病気やケガに対する保障が行われます。「キッズタイプ」は満0歳から満14歳までが対象となり、月々900円の掛金で入院日額5,000円や通院2,000円が保障されます。交通事故で骨折や腱の断裂、関節の脱臼になったときには一時金として50,000円が支払われます。
月々の掛金が1,600円の「キッズワイドタイプ」では、入院に対して日額10,000円・通院に対して3,000円が支払われ、入院中の手術も1回につき10万円が給付されます。どちらのタイプにも第三者に対する損害賠償がついており、法律で損害賠償を負った場合には最高100万円が支給されます。そのほか「キッズ満期金付プラン」を付加することが可能で、「中学入学準備コース」や「高校入学準備コース」、「大学入学準備コース」の用意があります。
全労済キッズについてはこちらも参照してください。
シニアの保障も終身型と更新型
老後の保障には「シニアの保障」である「終身医療プラン」と「更新医療プラン」があり、終身医療プランは満15歳から満75歳までが対象です。保険期間と掛金払込期間は終身で掛金額は年齢によって変わります。タイプは「ベーシック」「総合」「三大疾病プラス」「女性疾病プラスプラン」の4種類があります。
「更新医療プラン」には「総合」と「三大疾病プラス」「女性疾病プラスプラン」の3種類があり、満0歳から満70歳までが対象です。保障期間は5年更新と10年更新があり、希望により満期金をプラスすることも可能です。
生命共済「新せいめい共済」の特徴は?
終身型と定期型から選べる
新せいめい共済では契約期間を「終身型」「定期型」から選択することができます。「終身生命プラン」では掛金の払い込みが一定期間で満了し、保障が一生涯継続します。病気による死亡保障は200万円から2,000万円の範囲で選択が可能となっており、不慮の事故のときは支払金額が2倍になります。満0歳から満65歳が加入の対象で、病気死亡の場合は一生涯続き災害特約、災害死亡特約は80歳まで保障されます。
「定期型」の「定期生命プラン」では、病気による死亡保障が最高で3,000万円・不慮の事故の場合は最高6,000万円が支払われます。保険期間は5年と10年の更新型で、保障額は100万円~3,000万円の範囲で選択が可能です。加入対象年齢は満0歳から満70歳までとなっています。
終身型は3つのオプション
「総合タイプ」は、入院や手術に通院や先進医療までを保障するプランです。5日以上連続して入院した場合には、1日目から保障対象となり、1回の入院につき最高180日・通算1,000日まで保障されます。保障期間は10年ごとの更新です。
「三大疾病プラスタイプ」は「総合タイプ」へ三大疾病保障をプラスしたタイプで、入院から通院までを保障します。 三大疾病で入院や手術したときには、総合タイプと併せて、三大疾病医療特約の共済金も支給されます。三大疾病医療特約部分ではがんによる入院の場合、支払日数は無制限で支給されます。また、三大疾病と診断されたときには、三大疾病入院日額の100倍が一時金として支払われ、保障期間は10年ごとの更新です。
「総合タイプ」に「女性疾病プラスタイプ」総合タイプに女性特有の病気やがんの保障をプラスしたタイプです。また、悪性新生物と診断された際には女性疾病入院日額の200倍の金額が一時金として給付されます。保障期間は10年ごとの更新です。
保険料(掛金)をシミュレーション
30歳男性・保障額500万円としてシミュレーションした場合の掛金(契約時)は月々1,250円です。10年後に同じ内容で更新すると1,850円となり、更新ごとに掛金は上がっていきます。
終身型で500万円の保障に加入した場合には、払込期間を60歳までにすると掛け金は月々11,450円になります。なお、医療保障の「総合タイプ」の終身型を月々3,570円で付加することが可能です。
なお、独自のアンケートを調査した結果、こくみん共済の終身型は満足度で1位を獲得しています。ランキングや口コミとあわせて参照してみてください。
火災共済「住まいる共済」の特徴は?
自然災害に幅広く対応
全労済の火災保険である「住まいる共済」は、火災や爆発・冠水などによって家屋や家財が損害を受けた場合に補償を受けることができます。また、自然災害のリスクにも対応していて、降雪・台風・豪雨・竜巻・洪水などによる被害も補償対象となる場合があります。
特約をプラスして補償を充実させることも可能です。自宅の火事で近隣の住宅や家財に損害が生じたときの「類焼損害保障特約」や、家財が盗難にあったときの「盗難保障特約」、貸主に対して賠償責任を負ったときの「借家人賠償責任特約」、自分や家族が賠償責任を負った場合「個人賠償責任共済」などを付加することが可能です。
必要な保障を組み合わせやすい
住まいが「戸建」か「賃貸」かによって保障を選んで加入できる点も「住まいる共済」の特徴です。戸建ての場合には「ベースプラン」を選択し、火災・風水害・地震・盗難などへ備えることが可能です。マンションへは「マンション専用プラン」が用意されており、風水害を除いた保障に備えることができます。また、賃貸住宅であれば家財保険のみの加入も可能です。
そのほか、太陽光発電システムやオール電化住宅の電気設備などを備えている住宅には「エコ住宅専用プラン」があり、木造住宅・鉄筋・耐火構造によって掛金が割引されます。
掛金がリーズナブル
掛金が比較的安い点も「住まいる共済」の特徴といえます。賃貸マンションの「特別プラン」へ家財50口として加入した場合、借家人賠償特約を付けても掛金は年間5,500円です。火災や落雷などへの補償額が1,150万円であるマンションの「シンプルプラン」では年間の掛金が3,000円・年払いなら2,500円です。
火災や落雷などへの補償額が1,150万円・風水害への補償が345万円である戸建ての「シンプルプラン」で木造構造に100口加入すると、年間の掛金は7,200円となります。
「住まいる共済」のさらに詳しい内容や、加入・請求などの手続き、年末調整の注意事項などについてはこちらの記事にまとめてあります。
自動車共済「マイカー共済」の特徴は?
ノンフリート等級割引が高水準
「ノンフリート等級制度」とは、自動車保険へ加入した後に保険金の請求がなければ毎年1等級ずつ上がっていき、事故を起こすと内容によって等級が下がる制度のことをいいます。等級が上がるほど保険料は割引され、等級が下がれば割引率も下がる仕組みになっています。
通常の自動車保険では等級が20段階に分かれていますが、全労済の「マイカー共済」では等級が最大22に分かれている点が特徴で、掛金の割引率も64%と高くなっています。
割引制度が充実
全労済の「マイカー共済」は割引の種類が多く、夫婦のみで運転するときには「運転者本人・配偶者限定特約」によって掛金が7%割引されます。また、家族以外の人が運転しない場合は「運転者家族限定特約」を付加すると3%の割引が適用されます。車がエコカーなら「ハイブリッド車割引」、車が福祉車両なら「福祉車両特約」によって、それぞれ7%の割引が受けられます。
そのほかにも「盗難防止装置装備車割引」で5%、「新車割引」で普通・小型乗用車なら9%・軽四輪乗用車なら3%の割引が適用されます。「複数契約割引」では3%、また、「人身傷害の被共済自動車搭乗中のみ補償特約」の15%割引などもあるため、詳しくはパンフレットやHPなどを確認してみてください。
安心のロードサービス付き
全労済の「マイカー共済」で人身傷害補償・車両損害補償のいずれかに加入すると、ロードサービスが受けられます。車が自走できなくなり、レッカーけん引や積載車で運搬されるときの費用は30kmまでなら無料です。また、燃料切れの際にガソリンを10ℓまで無料で届けてくれるサービスや、現地で30分以内に完了する作業であれば無料で受けられるクイックサービスなどが用意されています。
ロードサービスを利用したいときには、24時間365日受付されている窓口があるため、連絡先を携帯電話などに登録しておくことをおすすめします。
マイカー共済の詳細は、こちらの記事から確認してください。
まとめ
全労済は営利を目的としていないために、掛金が抑えられていたり割戻金があったり、経済的負担の少ない共済といえます。人・もの・車に対する共済商品の用意があるため、必要に応じて加入を検討してみましょう。他の保険・共済との併用という方法もあります。個人・家庭に合った加入方法やプランについては、ファイナンシャルプランナーや代理店スタッフなど知識のある人へ相談してみることをおすすめします。
自分に合ったプランがわかる!保険・共済のプロによる無料相談サービス実施中!