生命保険では満期という言葉をよく使いますが、そもそも満期とはどんなものか知っていますか?実は保険で満期を迎えても、すべての保険で満期保険金を受け取れるわけではありません。また満期金を受け取った場合の税金も契約者と受取人の関係によって様々です。今回は、満期の仕組みと税金について解説します。
目次
生命保険の「満期」とは
保険契約が終了すること
生命保険の満期とは、保険期間が満了する時期を指します。保険の種類によって満期の時期は様々です。
例えば、定期型の保険は更新する時期を指しますが、貯蓄性のある生命保険の場合、払い込みの満了時期を満期、あるいは保障期間が終わる時を満期と言います。また、終身保険のように保険料の払込期間が終了してからも保障が一生涯続くような保険には、満期はありません。
契約満了で満期金を受け取れる保険も
貯蓄性のある保険で満期があるものは、満期を迎えると満期金を受け取れます。満期到来後、加入している生命保険会社が定める満期の手続きを契約者が行うと、満期金が振り込まれます。満期を迎えたからといって、自動的に保険金が振り込まれるわけではないことを覚えておきましょう。
満期金は満期返戻金とも呼ぶ
満期金は、満期保険金、あるいは満期返戻金とも呼びます。満期返戻金と似た言葉に、解約返戻金があります。
解約返戻金とは、解約をした時に受け取ることができるお金であり、満期保険金とは異なる性質のものです。間違えないように注意しましょう。生命保険の解約返戻金については、「生命保険の解約返戻金とは?3つの種類と掛かる税金を解説」も参考にしてください。
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満期保険金が発生する生命保険とは
養老保険
満期保険金が受け取れる保険と聞いて、多くの人が想像する保険は養老保険ではないでしょうか。養老保険は、契約期間中には死亡保障、そして満期を迎えると満期金を受け取れる保険商品です。死亡保険金と満期保険金は同額となり、契約時に契約期間を設定します。
死亡保障と貯蓄機能を兼ね備えた保険で、将来に向けた計画的な資産作りに向いている保険だと言えます。
生存給付金付き保険
死亡保障を持ちながら、一定期間ごとに生存していた場合にお祝い金として生存給付金や満期保険金を受け取ることが出来る保険です。保険期間中に被保険者が亡くなった場合は死亡保険金を受け取ることができ、満期時には満期保険金を受け取ることが出来ます。
学資保険
学資保険は、子供の教育資金の確保を準備する目的の保険です。契約時に設定した年齢になった時にお祝い金や満期保険金を受け取ることが出来ます。保険会社によって異なりますが、多くの商品では、契約者である親が万が一亡くなってしまった場合は保険料の払い込みが免除になります。
また、被保険者である子供が入院や手術をしたときに給付金を受け取れる医療保障付きの学資保険も販売されています。子供の保障も充実したいと考えている人は、検討するとよいでしょう。
ただし、学資保険を選ぶ一つの基準に返戻率があります。返戻率とは、祝い金や満期金など保険期間中に受け取れるすべての保険金を、支払った総払込保険料で割り100を掛けたものです。
返戻率が100を超えている場合、支払った保険料よりも多くの学資金を受け取れます。100を下回る場合は支払った保険料の方が多く、元本割れしていることになります。
医療保障付きの学資保険は、医療保障が無い学資保険に比べて返戻率は低い傾向にあります。何を目的に加入するのかをよく考えて、学資保険を選ぶことをおすすめします。
満期金にかかる税金や確定申告は?
生命保険の満期保険金を受け取った場合、契約者と受取人が誰であるかによって税金や確定申告の取り扱いが異なります。それぞれ見ていきましょう。
一時金で受け取る場合は一時所得
契約者と満期保険金の受取人が同一の場合、所得税の課税対象になります。この場合、満期保険金は受取の方法によって、所得税の中の一時所得か雑所得に分類されます。
満期保険金を一時金で受け取った場合には一時所得になります。解約返戻金や学資保険の祝い金なども一時所得です。
一時所得は、満期保険金から総払い込み保険料(掛け金)を引いて、一時所得の特別控除50万円を差し引いた金額となります。課税の対象になるのは、上記の額から1/2にしたものです。
【一時所得の計算式】
一時所得(課税対象) =(満期保険金 - 総払い込み保険料 - 50万円)×1/2
ただし、満期金など一時所得があった場合でも、下記に該当すれば原則として確定申告は不要とされています。
・一カ所から給与を得ている給与所得者で給与が年間2,000万円以下
・給与所得や退職所得以外の所得が20万円以下
20万円を超えた場合は、確定申告が必要です。
学資保険など年金形式は雑所得
学資保険や個人年金保険の保険金を年金形式で受け取った場合、一時所得ではなく雑所得になります。年金形式とは、例えば18歳到達時から一年ごとに50万円の保険金を4回受け取る方法のことです。
雑所得は、該当する1年の中に受け取った年金額から、その金額に対応する払い込み保険料(掛け金)を差し引いた金額です。年金を受け取る際には原則、所得税が源泉徴収されます。
【雑所得の計算式】
雑所得 = 年中に受け取った年金額 - 払い込み保険料(掛け金)
雑所得も一時所得と同じように、一カ所から給与を得ている年間給与2,000万円以下の給与所得者は、20万円以下の所得についての確定申告は不要です。(20万円は給与所得や退職所得を除いたもの。)
ただし、雑所得には一時所得のような特別控除額がありません。受け取る年金額によっては確定申告が必要になる可能性が高いです。
源泉徴収で課税が終わる保険もある
保険契約が金融類似商品に該当した場合、所得税が15.315%、地方税として5%源泉分離課税されます。受け取った満期金には既に課税されているため、金融類似商品は確定申告不要です。
金融類似商品は、保険期間が5年以内の一時払養老保険などを指します。ただし、5年を超える保険契約であっても、一時払い養老保険や一時払い個人年金保険を5年以内に解約すると金融類似商品と見なされます。
契約者と受取人が異なる場合は贈与税
契約者と満期保険金の受取人が異なる場合は贈与税になります。この場合は、満期保険金の受取人が誰かによって一般贈与か特例贈与の課税をされます。
①特例課税
20歳以上の(その年の1月1日において)子や孫が受取人の際に用います。(下記表参照)
基礎控除後の課税価格 | 200万円以下 | 400万円以下 | 600万円以下 | 1000万円以下 | 1500万円以下 | 3000万円以下 | 4500万円以下 | 4500万円超 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
税率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
控除額 | ー | 10万円 | 30万円 | 90万円 | 190万円 | 265万円 | 415万円 | 640万円 |
②一般贈与
特例贈与以外の場合は一般贈与になります。(下記表参照)
基礎控除後の課税価格 | 200万円以下 | 300万円以下 | 400万円以下 | 600万円以下 | 1000万円以下 | 1500万円以下 | 3000万円以下 | 3000万円超 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
税率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
控除額 | ー | 10万円 | 25万円 | 65万円 | 125万円 | 175万円 | 250万円 | 400万円 |
①と②の場合、どちらとも贈与税には年間110万円の基礎控除があるので、満期保険金から110万円を差し引いた金額が課税価格です。そこから上記の税率を乗じ、控除額を差し引いたものが贈与税額になります。
【課税価格・贈与税額の計算式】
課税価格 = (満期保険金 - 110万円)
贈与税額 = 課税価格 × 税率 - 控除額
まとめ
満期によって満期金が受け取れる保険は、契約者と満期保険金の受取人が誰か、また受取方法について課税される税金の種類は異なってきます。一般的には贈与税の税率が最も高いので、贈与税が発生する契約者関係であれば名義を見直す方が良いかもしれません。ただし、満期保険金が贈与税の基礎控除となる110万円以内であれば税金はかからないなど、場合によっては課税されないこともあります。今一度、現在加入している保険を確認してみてはいかがでしょうか。
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