かんぽ生命に対し、「郵便局の保険」というイメージを持っていた人も多いかもしれません。今では民営化されて多くの保険商品の取り扱いがありますが、保障内容や仕組みなどはどのようになっているのでしょうか?今回はかんぽ生命の特徴や保険について紹介します。
目次
かんぽ生命保険って?
日本郵政グループの生保
日本郵政グループの生命保険会社であるかんぽ生命保険の前身は、大正5年に国営企業として創設された簡易生命保険です。簡易生命保険時代には政府保証があり、経営破たんした場合には政府が契約の保護を行うこととなっていました。
その後、2007年10月1日に実施された日本郵政公社の民営・分社化により業務が開始されたのがかんぽ生命保険です。現在では民間の生命保険会社と同じように、「生命保険契約者保護機構」によって保険契約が保護されています。
かんぽ生命の本社は東京千代田区霞が関にあり、従業員数は7400名を超えています(2017年3月現在)。また、同じ日本郵政グループに属する企業として、日本郵政や日本郵便、ゆうちょ銀行などが挙げられます。
無診査で加入可能
かんぽ生命では、基本契約や特約へは原則として医師による診査なしで加入することができ、手続きも比較的簡易である点が特徴です。加入申し込みが承諾されるかどうかは、担当者が行う面接や、健康状態の告知内容などによって決定します。このとき、過去における契約の有無や入院保険金の請求内容なども判断に影響することがあります。
また、通常の生命保険には危険度が高いとみなされる職業の従事者へ加入制限が設けられていることもありますが、かんぽ生命では職業による制限がない点もメリットの一つといえます。
保険金額には制限がある
かんぽ生命は法令にもとづいて業務が行われていますが、保険契約については加入限度額が決められており、被保険者1人あたりの保険金額には制限があります。
被保険者が満15歳以下のときには700万円、被保険者が満16歳以上のときには1,000万円が上限額です。また、特定養老保険については保険金額の上限が500万円で、被保険者が満55歳以上で普通定期保険に加入しているときは、特別養老保険と合わせて800万円が限度額となります。被保険者が満20歳以上から満55歳以下である場合、加入後4年以上経過した契約があることなどの条件を満たせば、加入金額の上限は累計で2,000万円までアップします。
年金保険については、初年度の基本年金額の上限が90万円までであり、特約保険金額の加入限度額は「災害特約」「無配当災害特約」「介護特約」の合計で1,000万円までとなっています。
かんぽ生命の保険へ実際に加入している人の口コミや評判は以下の記事にまとめてあるため、ぜひ一読ください。
かんぽ生命の保険カテゴリって?
定期保険
死亡保障がメインである「定期保険」の保険期間は10年です。保険料は掛け捨てであるため満期保険金の支払いはありませんが、その分保険料は抑えられています。加入対象年齢は15歳から50歳で、加入できる保険金額は200万円から1,000万円までとなります。
「無配当災害特約」を付加すると、不慮の事故で死亡したときに最高2,000万円までの死亡保険金が給付されます。また、不慮の事故による入院や手術・放射線治療を受けた際に保障が受けられる「無配当傷害医療特約」と、病気や不慮の事故による入院・手術・放射線治療の際に保障が受けられる「無配当総合医療特約」については、いずれか一方を付加することができます。
終身保険
かんぽ生命の終身保険「新ながいきくん」では、保険料の払込期間満了後の保障内容が異なる4つの商品から選択が可能です。
「新ながいきくん」の「定額型」・「定額型の低解約返戻金プラン」では、保険料払込期間中と払込満了後の基準保険金額が同額で、保障は一生涯続きます。加入年齢は満15歳から満85歳で、保険金額は100万円から1,000万円までとなっています。
「ばらんす型2倍」・「ばらんす型2倍の低解約返戻金プラン」では、保険料払込期間中の基準保険金額が払込満了後の2倍となっており、保障は一生涯続きます。加入年齢は満15歳から満65歳で、保険金額は100万円から1,000万円の間で選択します。
「ばらんす型5倍」・「ばらんす型5倍の低解約返戻金プラン」では、保険料払込期間中の基準保険金額が払込満了後の5倍に設定されています。加入年齢は満15歳から満60歳で、保険金額は100万円から1,000万円です。
「おたのしみ型」・「おたのしみ型の低解約返戻金プラン」は、終身保障に生存保険金がプラスされたプランです。保険料払込期間が終了すると、一時金として生存保険金を受け取ることができる仕組みになっています。加入年齢は満15歳から満70歳で、保険金額は100万円から1,000万円です。
養老保険
「養老保険」は死亡保障と満期保険金が同額となっており、保障だけではなく将来に向けた資産づくりが可能な保険といえます。かんぽ生命の普通養老保険には「新フリープラン」と「新フリープラン(短期支払型)」があり、特別養老保険には「新フリープラン(2倍保障型)」「新フリープラン(5倍保障型)」「新フリープラン(10倍保障型)」があります。また、既往症があっても条件によっては加入ができる「新一病壮健プラン」も提供されています。
養老保険の仕組みについては以下の記事でも紹介されているため、参考にしてください。
学資保険
かんぽ生命の学資保険「はじめのかんぽ」は、小学校・中学校・高校・大学進学時に学資祝金が支給されるため、子供の成長に合わせて学資金を準備することができます。「無配当医療特約」「無配当傷害医療特約」「無配当総合医療特約」の付加が可能で、「無配当医療特約」をプラスした場合には100万円から700万円の死亡保障に加え、基本保険額によって算出された入院保険金が給付されます。
独自のアンケート調査によると、かんぽ生命の学資保険は加入者数ランキングで1位を獲得しています。ランキングの詳細や加入者の口コミについては以下の記事に詳しくまとめてあるので、ぜひ参考にしてください。
個人年金保険
かんぽ生命の個人年金保険「長寿のしあわせ」では、給付された保険金を公的年金への上乗せ分として老後の生活費などに充てることが可能です。死亡保障はありませんが、その分を将来の年金へ割り当てて受取額を大きくしている点が特徴です。
加入対象年齢は50歳から70歳で、60歳・65歳・70歳を年金受け取り開始年齢に設定すると給付期間は20年(最大で30年)となります。75歳・80歳を受け取り開始年齢とした場合、給付期間は15年(最大で20年)です。
かんぽ生命の養老保険の特徴って?
満期保険金や受取り年齢を自由に設定
普通養老保険の「新フリープラン」では死亡保険金と満期保険金が同額となっており、保険期間は10年から50年です。保険金額は100万円から1,000万円で、10万円単位での加入となります。対象年齢は0歳から80歳で、医療保障の特約を付加することができます。
特別養老保険の「新フリープラン(短期払込型)」では、保険料の払込が10年間・保障期間は15年に設定されています。死亡保険金と満期保険金は同額で、0歳から75歳までが加入対象です。
満期保険金は4タイプ
先ほども紹介した通り、かんぽ生命の「養老保険」には4つのタイプがあります。新フリープランの普通養老保険は死亡保険金と満期保険金額が同額ですが、特別養老保険には2倍型、5倍型、10倍型のタイプがあります。
「新フリープラン(2倍保障型)」は死亡保険金額が満期保険金額の2倍となっており、保険期間は10年から20年、保険金額は200万円から1,000万円、加入年齢は0歳から75歳です。
「新フリープラン(5倍保障型)」は死亡保険金額が満期保険金額の5倍で、加入年齢が15歳から65歳、保険期間と保険金額は「2倍保障型」と同じです。「新フリープラン(10倍保障型)」は、死亡保険金額が満期保険金額の10倍で加入年齢が15歳から60歳、保険期間と保険金額は「2倍型保障」「5倍型保障型」と同じです。
不慮の事故等は死亡保険金を上乗せ
かんぽ生命の養老保険の基本保障には、不慮の事故などで死亡した際の保障が含まれており、最大で2,000万円の保険金を受け取ることが可能です。また、災害特約を付加すると、不慮の事故で死亡したときに死亡保険金額が上乗せされ、身体障がい状態となった場合には100万円から1,000万円の障害保険金が支払われます。
なお、かんぽ生命の養老保険の保障内容や解約返戻金についてさらに詳しく知りたい場合、以下の記事を参照してください。
慢性疾患のある人向けの商品も
そのほか、「新一病壮健プラン」が展開されており、糖尿病・高血圧症などの慢性疾患がある人でも条件によっては加入することができます。糖尿病や高血圧症については「投薬治療を行っていて数値が良好である場合」、がんについては「根治治療を受けて5年以上経過した場合」などに加入が可能となります。
「新一病壮健プラン」では、1年目の死亡保険金額が満期保険金の50%、2年目は80%であり、3年目からは同額となります。保険期間は10年、加入対象は40歳から65歳、保険金額は100万円から500万円です。不慮の事故で死亡したときには、満期保険金と同額の災害死亡保険金が給付されます。
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かんぽ生命の学資保険の特徴って?
学資金の受け取りは3コース
かんぽ生命の学資保険「はじめのかんぽ」には、「大学入学時」「小・中・高+大学入学時」「大学入学時+在学中」にそれぞれ学資金を準備するコースがあります。「大学入学時」の学資金準備コースでは、大学受験費用・初年度納付金・引っ越し費用など、大学入学時に発生する初期費用へ備えることができます。被保険者は0歳から12歳、契約者は18歳から65歳の男性および16歳から65歳の女性が対象となります。
「小・中・高+大学入学時」のコースでは小・中・高校入学前の12月に学資祝い金が給付され、大学入学時に満期保険金が受け取り可能となる設計です。被保険者は0歳から3歳、契約者の対象年齢は「大学入学時」のコースと同じです。
「大学入学時+在学中」のコースでは、保険料の払い込みが18歳までとなっており、大学入学時の18歳から4年生となる21歳までの4年間毎年学資祝い金が給付されます。被保険者・契約者の対象年齢については「大学入学時」と同様です。
保険料の払込期間は2タイプ
「はじめのかんぽ」には、「保険料を12歳で払い終えるタイプ」と「保険料を17歳または18歳まで払い込むタイプ」があります。契約者の対象年齢はすべてのコースで同一ですが、加入対象年齢はコースによって異なるため注意してください。
「はじめのかんぽ」についてさらに詳しく知りたい場合、以下の記事をお読みください。保険料のシミュレーションや、各種手続きなどについてまとめてあります。
かんぽ生命に医療保険はある?
単独の医療保険はなく、特約でカバー
かんぽ生命には単独の医療保険はありませんが、各保険の主契約に特約として付加することができる「無配当総合医療特約」があります。病気や不慮の事故で1日以上入院した際に入院保険金が給付されます。
医療保険単体での提供はされていないものの、先述のアンケート調査では医療保険(特約等も含む)の加入者数ランキングで6位、満足度ランキングでは5位にランクインしています。保障内容や口コミなども紹介されているため、以下の記事も参考にしてみてください。
医療保険の加入者数ランキング↓
医療保険の満足度ランキング↓
まとめ
かんぽ生命では、死亡保障を中心とした保険や、満期時に保険金が受け取れる保険、子供の成長に合わせて額資金を準備できる保険、老後の年金を補填できる保険など、ライフステージに合わせて選べる各種保険を取り扱っています。中には、保障内容や仕組みが似通っていてわかりにくいプランや、加入前にきちんと概要を把握しておいた方がよいプランなどもあるため、不明点などがある場合には知識のある人を頼るのもひとつの方法です。他の保険会社の商品と比較しながら検討してみたい場合などには、第三者的な目線から保険を説明・紹介してくれる保険代理店へ行ってみることがおすすめです。相談したいことがはっきりしていなくても安心して足を運んでみてください。
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